【第5回】昨今よく聞くShopeeとは?台湾でのエヴァンゲリオンイベント事例も紹介

岩本 夏鈴

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。

コラム第4回では日米中と東南アジアの詳しい市場規模を解説しましたが、今回は具体的に使用されているショッピングサイトについてご説明します。

東南アジアで人気の2大ECモールがShopeeとLazada(ラザダ)です。有名人を起用したブランディング、集客しやすいマーケティング機能、海外の顧客にも商品を届けられる物流インフラなど、消費者の心を掴むためそれぞれ進化を遂げています。東南アジアでの販路拡大を見据えたとき、ECモールへの出店は手堅いものです。中でもどういったモールが自身の企業にあっているのかを見分ける指針となるように、今回はまずShopeeについてご説明します。

【世界・東南アジア】Eコマース市場の成長予測

以前の連載からも触れているようにEコマース業界は世界的に見ても増加傾向にあり、その中でも東南アジアの成長はめざましいものです。

ECの盛り上がりの要因には新型コロナウイルスの感染拡大があります。新型コロナウィルスによってロックダウンや、テレワークなど、家にいる時間が増えました。その結果、通販に頼る生活を送るようになった人々の増加を受けてEコマース市場は増加傾向にあります。下のグラフを見ていきましょう、EC購入額の伸びが顕著です。

出典:BEENOS資料

東南アジアアプリダウンロード数第1位「Shopee(ショッピー)」の特徴

東南アジアで大人気のモールの一つにShopeeがあります。Shopeeとはシンガポール最大のテック企業Seaグループが設立した事業で、Eコマース以外にもモバイル・PCを使ったオンラインゲーム事業や電子マネー事業を行っている企業です。

現在シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの東南アジアと、台湾の7エリアに展開し、6億人以上に販売が可能です。日本での展開も予定されているため出店者の募集や準備を行っている最中で、今後その他の国・地域にも複数拡大していくと予想されます。

「Shopee Singapore」、「Shopee Malaysia」へエヴァンゲリオン公式ECサイト「EVANGELION STORE」が出店

「Shopee Singapore」、「Shopee Malaysia」へエヴァンゲリオン公式ECサイト「EVANGELION STORE」が出店

当日の様子

現在最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が興収70億を突破した人気アニ
メ「エヴァンゲリオン」の商品を取り扱ったECサイトを、BeeCruiseサポートのもと台湾のShopee「Shopee Taiwan(蝦皮購物)」に出店していた「EVANGELION STORE」。その際には出店を記念し台北市三創生活で台北市史上最大級のエヴァンゲリオンイベント「台灣最大網購平台蝦皮商城開店紀念 新世紀福音戦士祭典-人類蝦拼計畫-」を2019年10月26日(土)から5日間開催。大好評を博しました。この追い風を受けてShopeeシンガポール、マレーシアへの出店の運びとなりました。

日本のアニメコンテンツ、カルチャーなどへの関心は高く、東南アジアにおいては需要が高いことが知られています。

2019年10月には、BEENOSグループはShopeeと戦略的業務連携をし、今日までにShopeeのパートナーとして多くの日本企業の出店をサポートしており、今後もさらに日本商材の海外進出が期待できます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000035599.html

Shopeeの人気ぶり

Shopeeのアプリ総ダウンロード数は6カ国で1億以上にもなり、東南アジアでは5つの国・地域(台湾、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア)でNO.1を獲得しているECモールです。2018年の段階では台湾・マレーシア・タイ・ベトナム・インドネシアの5つの国で、アプリのダウンロード数1位になっています。(2020年3月調べ)

Shopeeの成長率

東南アジアで人気のECサイトはShopee以外にも複数ありますが、しかし2015年にサービスを開始したShopeeは、設立たった2年でニューヨーク株式市場に上場。東南アジアでは初10億ドル以上の市場価値を持ったオンライン事業として驚異的な成長スピードを持っています。

【東南アジア最大級のECサイト】Shopeeの特徴とは

東南アジア最大級のECモールになったのは、購入者と販売者双方にとって気持ちのいい取引のできる場だったからです。特徴をこれから述べていきます。

特徴①手数料がかからない
Shopeeの場合は売り手側の販売手数料がかかりません。リスクを抑えながら多くの販売事業者が出品・出店することが可能です。

特徴②配送状態を整備
海外の運送事情は日本よりも雑なことで知られています。配送してから注文したことを忘れるほど遅延したり、商品が届かなかったり・・・。Shopeeでは各国・地域の信頼できるいくつかの配送業者から、安心して早く届けられるような対策がとられています。購入者にとっては送料補助によって支払う配送料は低価格の一律料金。販売国内の発送であれば〇〇円以上で無料というシステムもあります。

特徴③支払いオプションが多数
Shopeeでは数多くの支払い方法が用意されています。例えばアプリ内で使える専用ウォレットShopee Pay、オンラインバンキング、コンビニエンスストアの店頭支払い、ATMでの現金振込、クレジットカード、デビットカードなどがあります。
東南アジアでは銀行口座やクレジットカードを持っている人は少ないため、支払いオプションが多数あることで顧客の離脱を防ぎます。

特徴④多国で同時出店
一つの国だけで出品するのではなく、複数の国に出店も可能です。例えば売れ筋の商品がインドネシアとタイで同じものがあれば、両国で販売した方が売上も上がりやすくなります。

特徴⑤多言語支援と手厚いサポート
出品の際にはターゲット国の言語で翻訳する作業が発生します。自社で翻訳できる人材がいければ、Shopee側に依頼することも可能です。またアプリの使い方といった基本的なことから出品まで、日本語ができるスタッフが全面的にサポート。出店のハードルは格段に下がります。

特徴⑥集客に繋げるマーケティング機能
出品登録、注文数、売上といったことが無料で閲覧できるショッピー店舗管理ツールのセラーセンターがあります。セラーセンターではショップの販売や売上に関わる分析を行うことができ、例えば商品閲覧数、ショップ訪問者数、リピート率などの詳細が確認できます。
さらに売上を伸ばすための販促として、商品、期間、いくつかのプロモーションをクリックするだけで、セールや割引設定を行うことも可能です。分析を行うことで仕入れ数や在庫数のコントロールに役立ちます。

特徴⑦支払い一時停止で安全性を確保
ライバルECモールとの差別化を図るために、Shopee Guarantee(ショッピー ギャランティー)」という機能が追加されました。Shopee Guaranteeとは購入者が商品を受け取るまで販売事業者に支払いがされない機能です。これは物が届かない、偽物が送られてきたといったトラブルに巻き込まれないように購入者を守るため設定されました。また、悪意のある事業者を減らし安全性を維持するため、モールが信頼を得てさらなる顧客を獲得するためなど、メリットは多数あります。

Shopeeの出店費用

初期費用: 無料
月額費用: 無料
販売手数料: 1~2%
送料・物流: 一部送料補助あり、提携物流会社の紹介あり
展開国・地域: シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、台湾
販売者条件: 個人・法人
多言語支援: 翻訳サービス:英語から現地語、カスタマーサービスあり
売上金受け取り: payoneerで外貨によって入金され、日本円で引き出し

Shopeeへの出店により、国内市場だけでなく海外市場への挑戦も夢ではありません。
参考:東南アジアアプリダウンロード数第1位「Shopee(ショッピー)」の特徴
https://beecruise.co.jp/contents/cross-border-ec/article-18/

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著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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