【連載コラム第6回】ネット広告は「クリエイティブ」が勝負の分かれ道〜2016年ネット広告のトレンドワードとクリエイティブ戦略〜

安藤達也

【連載コラム第6回】ネット広告は「クリエイティブ」が勝負の分かれ道〜2016年ネット広告のトレンドワードとクリエイティブ戦略〜

●過去コラム

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ネット広告の「クリエイティブ」で大切なこととは?

 本連載では、「2016年のネット広告の重要キーワードとそのクリエイティブ戦略」というテーマで、「インフィード広告」「動画広告」「データ活用」「ブランディング」という4つのキーワードでその戦略立案のポイントや具体的なノウハウをお話してさせていただきました。最終回となる第6回目の今回は、総括として、これまでのお話でポイントとなる部分を要約しながら、ネット広告の「クリエイティブ」において大切にすべきことについてまとめたいと思います。

要約① ネット広告のクリエイティブの資産は『ノウハウの蓄積』にある

 ネット広告におけるクリエイティブ戦略のポイントについて、これまでの記事で共通してお伝えしてきたことは以下になります。

・媒体のアルゴリズムを捉えること
・表現を媒体、ユーザー(場合によっては国、地域など)で最適化すること
・広告効果を可視化(数値化)して正しく検証していくこと

 まず、第1回目の記事(「媒体技術で考えるネット広告」http://goo.gl/qXKp6A)でお話したように、ネット広告は媒体のアルゴリズムを無視することができませんから、その媒体のアルゴリズムを捉え、正しくクリエイティブが評価されるように運用ルールを設計することが重要です。

 第2回は、インフィード広告を例にとり、そのアルゴリズムやオペレーションルールの設計について触れています。(「インフィード広告の成功の鍵」http://goo.gl/vf1xou)。

 また、それぞれの媒体やターゲットによって好まれる表現も違いますから、それらを正しく最適化していくことも重要です。それぞれの媒体や広告メニューの特性、ターゲットのニーズやインサイトを捉えながら、クリエイティブの最適化を実行していきます。

 クリエイティブの表現については、効果に影響を与える要素・変数(=クリエイティブレバー)を分解し、それらをコントロールすることで効果を追求していきます(「動画広告が勝負所!」:https://goo.gl/JO56SC)。もちろん、細かすぎる変数をかえても意味がありませんから、できるだけ大きな変数から検証し、運用していくことが重要です。

 そして、最も重要なのが、効果の可視化です。掲載した広告クリエイティブについて、「何がよかったのか」「何故よかったのか」という経験を科学的・分析的に知見(ナレッジ)として蓄積していくことができるため、「再現性」のあるノウハウとして資産化していくことができます。

 ネット広告のノウハウは「再現性」があってこそノウハウです。個人の経験はノウハウとして組織やチーム全体に還元され、企業の資産として蓄積することができ、それが競争力となっていきます。もちろん、個人に依存するノウハウというものもありますが、大部分の数値化可能な変数をノウハウとして資産化し、コントロールできることがネット広告のクリエイティブの価値であり神髄だと言えるでしょう。

要約② 質だけでない、量との戦い

 近年の大きなクリエイティブの変化としては、インフィード広告の出現以来の「量(スピード)」との戦いです。広告の疲弊の早さ、リアルタイム性が重視される媒体特性などが背景にありますが、この戦いも避けて通ることはできません。アイデアやクオリティを最大限高めながらも、運用段階での「量」を想定し、初期プランニングの段階で長期的な計画を立てておくことや、その制作・運用を実行できる体制、システムの構築、オペレーションの整備などが非常に重要です。

 中でも、人の手だけでは実現できない「量」「スピード」でクリエイティブの生成・管理を実現する「システム開発」は、今後の企業の競争力となるでしょう。弊社で開発・提供しているサービス「CADY」や「TAIRYO」などのクリエイティブ生成システムは、人の手でどれだけ対抗しても勝てないレベルの広告効果を出せる状態に、すでになっています。

 また、そのようなシステムプロダクトの開発の知見を活かして、クラアイント様の独自のクリエイティブ生成・管理システムの構築をお手伝いする機会も増えてきました。

クリエイティブと言えば目に見えるグラフィックや動画などの表現ばかりに目がいきがちですが、こうした「目に見えない部分のクリエイティブ」が重要になるのも、ネット広告ならではのことですね。

 しかし、注意しなくてはいけないのは、優秀なシステムや仕組みに頼って本来のクリエイティビティやアイデアの重要性を忘れてはいけないということです。そもそもの質が低いものやアイデアの幅が狭いものをいくら大量・高速に運用しても、期待するような成果は得られません。人の技術や頭脳でしかできないアイデアを形にして実行し続けていくことで、システム自体の対応できる幅を広げていくことができるのです。

2016年以降のネット広告は「クリエイティブ」が勝負の分かれ道!

 2016年は、ネット広告の歴史の中でも非常にクリエイティブが注目された年ではないでしょうか。インフィード広告や動画広告などの新しいフォーマットの出現は、ネット広告に新しい表現の可能性を提供しました。また、広告配信のプラットフォームの自動化によって、運用変数の「構造」「入札」「クリエイティブ」の中での「クリエイティブ」の重要性が非常に高くなっています。

 さらに、ネット広告でのブランディング事例が増加する中で、CPAのみに固執しない多様なKPIを対象としたアプローチが生まれ、その表現や体験の幅もどんどん広がってきています。加えて、先にも書いたような「システム開発」や「IoT」「サービス開発」などの広義での広告クリエイティブも、様々な企業が取り組みを加速する分野ではないでしょうか。

 このように変化の激しいネット広告のクリエイティブにおいて、どのように勝負を仕掛け、どんな未来を実現するか。今年、2016年が今後の勝負の分かれ目になりそうです。


著者

安藤達也 (Tatsuya Ando)

株式会社 サイバーエージェント
クリエイティブソリューション局 局長
1983年 兵庫県生まれ。同志社大学卒。  2007年 株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業本部クリエイティブ局にてコピーライター、プランナーとして活躍後、同社大阪オフィスのクリエイティブテクノロジー局の立ち上げに従事。国内外の幅広いクライアントのWebマーケティング戦略の立案と実行を担当。その後、クリエイティブソリューション局局長に就任。現在に至る。