【番外編】今の販売価格は”生きてる価格?””死んでる価格?” 編〜ネットショップで利益を出す実践方法〜

河野 雄輝

こんにちは!バリュースの河野です。
弊社では、インターネット上の価格調査/価格の自動設定ができるプライスサーチという自社サービスを用いて、様々なネットショップ事業社様の販売戦略のお手伝いをしております。

計4回にわたり、「知ってるようで知らないネットショップにおける利益が出る実践方法」を、よくある事例やお取組みネットショップ様の事例とともにご紹介させていただきました。

大変うれしいことに、様々な方にご好評いただきましたので、
今回、番外編として、基本に立ち返って”価格”にまつわるお話しをさせていただきます。

〜ネットショップで利益を出す実践方法〜

【第1回】これで解決!「売れていた商品、売れなくなった」編
https://www.ecnomikata.com/column/12753/

【第2回】実はお宝在庫が眠っているかも?編
https://www.ecnomikata.com/column/12744/

【第3回】オリジナル商品作っただけ、仕入れただけで満足してませんか?編
https://www.ecnomikata.com/column/12743/

【最終回】価格調査、人では限界です。編
https://www.ecnomikata.com/column/12741/

皆さんの売価 ”生きてますか?”

皆さんの売価 ”生きてますか?”

みなさん、それぞれ取扱い商品の値決め、直近いつされましたか?
今日されましたか?それとも1週間以内?、1か月以内?・・・
そこまで注力していない商品なら、初めて仕入れて以来、価格更新していない商品も多数あるのではないでしょうか?

グラフは、主要モールにおける、ある商品の1週間の価格の値動きです。ご覧の通り、価格は日々上下しています。また、モールによってもそれぞれ価格差があることがわかります。

そもそもなぜ価格は変動するのでしょうか?

答えは簡単です。それは、
「十人十色のお客様がいて、それぞれのお客様が欲しいと思う価格(=納得する価格)が異なり変動するから」です。

例えば、40代をターゲットにした化粧品がおおよそ10,000円くらいで流通していたとして、

多くの男性は仮に1,000円だとしても買わないでしょう。

仮に女性であっても10代や20代の方であれば、商品とお客様ニーズにギャップが生まれるため、10,000円では買わないでしょう。もしかすると5,000円くらいでも買わないかもしれません。

また同じ40代の女性であっても、収入に余裕がある方であれば20,000円でも買うかもしれませんし、その逆であれば、10,000円は高いと感じるかもしれません。

はたまた、そのお客様が楽天カードをお持ちであれば、楽天で10,000円、Amazonで9,000円で売られていても、特典欲しさに楽天で購入されるかもしれません。

性別やお客様の置かれている環境・条件以外でも、
直近1週間以内に商品を購入したお客様や、近しい成分などの類似商品を購入したお客様・購入しているお客様であれば、多少の値引き程度では購入しないかもしれません。逆に今日絶対に買わないといけないと必要に迫られているお客様であれば、10,000円以上の価格でも買うこともあるでしょう。このようにお客様のタイミングでも影響がでてきます。

更に前回紹介した通り、お客様には購入するにあたり、無意識のうちに比較検討を行うプロセスがあり、比較対象の商品価格の影響も受けることとなるため、最終的に購入に至る価格は人によって複雑化していきます。

このように、お客様の性別年代、おかれている状況やタイミングによって欲しいと思う金額( = 納得する金額)は千差万別であり、変動しうることがわかります。

そのため、グラフの値動きのように、さまざまななお客様が購入する金額に常にアジャストするように価格が変動しているのです。

“生きている価格”とはこの“お客様が納得し購入してくれる価格”にアジャストしている、“お客様を見ている価格”のことを言います。逆に”死んでる価格”とは、お客様が納得しない価格です。つまりは”お客様が見えていない価格”です。当然ながら、“死んでる価格”はお客様が見えていないですし、お客様も納得されない価格なので売れる可能性が低いといえるでしょう。

“死んでいる価格”を防ぐには?

防ぐ方法は一つです。
その時その時でお客様の納得する価格に常にアジャストすればよいだけです。

但し、このアジャストすることがネットショップでは非常に難しいです。

リアル店舗ではお客様の購入前にスタッフが対面で直接お話しができるので、この“お客様の求める価格”にアジャストしやすい環境がもともと存在しています。例えば、お客様のご要望をお伺いした上で、お客様の納得いただける価格に対し、利益を加味した価格提示できます。またはご要望によって、商品説明をした上で上位レンジの価格帯商品をお薦めすることだってできてしまいます。

ネットショップでは、基本的にお客様の求めている価格について交渉する機会は存在しません。その時表示されている価格がそのお客様にとって求めていない価格であれば、ただそのサイトを離れていってしまうだけです。そのため、ネットショップでは、常にお客様の納得される価格を予め予測し価格設定を行い、いつ来店されても、お客様が納得いただける価格を提供できる状態を作る必要があるのです。

そのため、市場相場と、自社の売れた時・売れない時の価格とそれぞれの受注数から得られる相関から導きだしたお客様が納得されるでああろう価格に、日々値決めしていくことを怠らないということが必要になってきます。

「受注数 × 利益」を最大化するための価格調査

「受注数 × 利益」を最大化するための価格調査

アジャストするためには、価格調査が必要なのですが、「価格調査すること = 安売りするための調査」と勘違いされる方がいらっしゃいます。このようなお考えをお持ちの場合、そもそも重要な2つの視点が抜けているケースが散見されます。

ひとつめは、
【どんな価格にすれば、受注数 × 利益の掛け合わせによる自社利益の最大化を得られるか?】

ふたつめは、
【利益の最大化を得るためにどんなお客様が買ってくれるか?】という点です。

先ずひとつめの「どんな価格にすれば、自社利益が最大化するか?」観点で考えてみましょう。

極端な例ですが、
 ①安売りすると、利益は100円しかとれないが100件の受注ができる
 ②安売りしないので、利益は1,000円とれるが、10件しか受注しない
の場合得られる利益は10,000円と同じです。

つまるところ、これまでの受注数と売価の相関の中で、貴社にとってどういった売価が利益の最大化につながるのか?を判断し、それぞれで求められるお客様のニーズに沿った価格を設定する必要があります。その点で、必ずしも安売りする必要はありません。

その中でふたつ目の観点で出てきます。
先ほども申し上げた通り、千差万別のお客様がいて、そのお客様が納得する価格にアジャストする必要があるとお話ししました。とすれば、自社の利益を最大化させてくれる観点をふまえ、その価格で納得いただけるお客様を把握することにつながります。

この時に競合の価格調査が必要になるのです。

先ほどの例ととってみると、
①の場合:
 安値を気にするお客様をターゲットとするため最安価格を気にする必要がある。
②の場合:
 安値以外のことを気にするお客様であるが、お客様の希望を満たす同様の付加価値を提供していて同価格帯で販売している競合が存在した場合、お客様は自社と競合の価格を比較することにつながるため、その競合価格は把握する必要がある。

②の場合、決して安売りではないのですが、仮にその競合店が自社よりほんの少しでも安く販売されていたら、お客様が納得される度合いがより高まるため、競合店で購入されることになるでしょう。価格調査が行われていない、本来売れる商品であるはずなのに、“死んだ価格”のため売れていないことに気付かないままです。

競合価格とは、

「 = 最安値価格」ではく、「 = お客様が自社の商品と比較検討される価格」です。

安売り戦略ではなくとも、価格はお客様が納得される度合いに影響がでる以上、価格調査が必要になるのです。

決して、価格調査は安売りするためだけに必要なことではないことにご理解いただけるのではないでしょうか?

また、補足ですが、常に“生きた価格”でい続けるためには、常時新しいデータを基に販売価格のチューニングが必要です。これも、自店都合ではなく、お客様が置かれている状況やタイミング、または競合の都合によって、お客様が納得される価格が変化するためです。

つまるところ、自社の利益を効率的に最大化させる価格戦略の中で、ターゲットとなるお客様が、どのような競合と比較するか?またその競合では、いつ?いくら?で販売しているのか把握しなくてはならず、そのために価格調査が必要なのです。

貴社の売価“死んだ価格”になってませんか?

プライスサーチでは、無料体験をご提供しております。今の価格が“生きている価格”か“死んでいる価格”なのか一度ジャッジしてみては如何でしょうか?


著者

河野 雄輝 (Kawano Yuki)

1982年6月13日 青森県生まれ。20代で起業。その後大手広告会社の新規事業部門で、新規事業開発に携わり、2016年から「バリュース」に入社。現在はプライスサーチのマーケティング責任者として、ネットショップ企業へ”適正価格”を軸とした価値提供を行っている。

プライスサーチ:https://price-search.me/
バリュース株式会社:https://valus.co.jp/