【第三回】~自己概念が高いマドンナ~

児玉 達郎 (こだま たつろう)

こんにちは!
株式会社ダーウィンズの児玉達郎と申します。

弊社は通販会社様の支援に特化した、コンタクトセンターとして、
札幌、徳島、東京と3拠点、400名のオペレーターで
サービス提供しております。

連載コラムとして、コールセンター実践の中で、
作りこんできた販売心理学をご紹介しております。

題して、
『心理的に見る、最高の販売員の特徴』

接客、コミュニケーション、マーケティングなどの分野で、
少しでも皆様のお仕事のご参考になると幸いです。


【第一回】~顧客心理から明るい未来を語るマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15338/

【第二回】~5つの要素を使いこなす感情豊かなマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15654/

入社して、一通りの入社研修を受けた後、
知識は完璧に覚えたけれど、販売に苦戦するマドンナがいます。

順調に販売成績を挙げていたが、最近、
じわじわと販売成績が下がっていて、スランプに陥っているマドンナがいます。

こういったことが起こるのはなぜでしょうか。
今回はその原因について、お届けさせて頂きます。


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話は少しそれますが・・・私が子供の頃、

「日本は世界で勝てない、本番に弱い」

とスポーツニュースで取り上げられていました。

今のように海外で活躍する、野球選手やサッカー選手は皆無でしたし、
世界選手権で優勝を重ねたが、オリンピックで負ける選手の
悔しがる映像も記憶に残っています。

ところが近年、その様相は大きく変化しました。

例えば、
リオオリンピックで日本選手団は、
過去最高の41個のメダル数を獲得していますし、
2年前のラグビーワールドカップでは、
当時世界最高勝率82%の優勝候補と言われた、
南アフリカを撃破しています。

トレーニング方法の進化は勿論ありますが、
それ以上に、メンタルトレーニングの導入があるのは間違いありません。

事実、ラグビーワールドカップ期間中、
日本代表チームに、メンタルコーチが帯同し、
選手のメンタルサポートを行っていました。

では、そのメンタルトレーニングとは何をやるのか。

心理学的には、自己概念を高める、
平たく言うと、「自信をつける」のです。

これはスポーツの世界にとどまらず、
ビジネスでも同様です。

コールセンターで働くマドンナにおいても、
常に安定して高い販売成績のマドンナに共通しているのは、

「自信をもって販売している」

これに尽きます。

販売にエンロールメントが起こると

自信をもって販売できているからこそ、
販売に「エンロールメント」が起こる、
と考えています。

エンロールメントとは、
「登録。入会。加入」という意味です。

弊社では、
「お客様に良い影響を与えることができ、
 お客様自ら、購買に主体的、積極的になる状態」
という意味合いで使用しています。

そして、毎月2回のマドンナ品質採点において、
この「エンロールメント」を数値化し、指導しています。

例えば、エンロールメントが起こると、
お客様から、
「今日はあなたと話せて良かったわ、また電話してね」
「買うつもりなかったけど、あなただから買おうと思ったのよ」
「また、あなたから買いたいわ」
といった、言葉を頂くことが増えます。

目指している品質は、お客様とそのような関係性が築けた状態です。

当たり前のことですが、そのような信頼関係を築けたお客様は、
熱烈なファンとなってくださり、商品の継続率も伸びます。

では、そのベースとなる、マドンナ個々人の自信、
をどうやってトレーニングしていくか。

当コールセンターでは、この部分において、メンタル強化に着目し、
新人研修時などでメンタルトレーニングを導入しています。

マドンナが常に自信を強くもって、
明るく楽しく落ち着いて、お客様に商品をご案内できるように。

実は、販売における自信とは、3つの種類があります。

・商品に対する自信
・会社に対する自信
・自分自身に対する自信

それぞれを分解して、ご紹介致します。

具体的なメンタルトレーニング手法

商品に対する自信とは、
マドンナ自身が、
「この化粧品は素晴らしい」
「成分が間違いない!安心できる」
「このサプリメントは私のお守り、大好き」
と心から確信できるようになる、大事なポイントです。

ここが形成されてくると、同じトークスクリプトを使っていても、
マドンナの気持ちがお客様に伝わるようになります。


会社に対する自信とは、
マドンナ自身が、
「こういう方が販売しているから、私もがんばる!」
「開発者の想いを感じる。これをお客様に伝えたい」
「会社の理念が私の誇り、だからお客様にも積極的になれる」
と心から確信できるようになる、ここも大事なポイントです。

ここが形成されてくると、日々の販売成績に左右されず、
長期的に安定したトークができるようになります。


そして、一番大事なのは、
自分自身に対して、どれくらい自信をもてるか、です。

自信の作り方については、いくつかメンタルトレーニング手法があります。

例えば、「心の欲求を充電する」という手法。

これは、自分の心が満たされることは何か、
と自己観察を通して、見出していくことにより、
それをふだんから意識的に仕事や生活に取り入れていくことです。

私の場合、
仕事では、時間の枠組みを意識し、それ通りに仕事を遂行していくこと、
プライベートでは、爆音で好きな音楽を聴くこと、
などにより、心が満たされます。

意識的にこういった行動を入れていくことで、
心がパワフルな状態でいられます。

また、他にも、
・ピークパフォーマンス技法
・感情は伝染する
・生理状態を整える
・役割を演じる
などのトレーニング手法を教えたりしていますが、
一番のおススメを最後にご紹介いたします。

それは、
「デイリーワークシート」
というトレーニングです。

毎日1分間のトレーニング

やり方はとても簡単です。

1分間で、自分の好きなところ、長所だと思うことを
思いつく限り、たくさん書き出してください。

例えば、

・仲間を大切にしている
・変化を楽しんでいる
・期待を超えようとする

などなど、思いつく限り書き続けます。

読者の皆様も一度試してみて頂きたいのですが、
1分間で何個書けますでしょうか?

これは、自分の良い行動を承認し続けることで、
潜在意識(無意識)レベルで、行動が強化され、日常に現れ易くなる。
それが自己信頼、自信につながっていく、というワークです。

「デイリー」というくらいですので、1回やっただけでは
変化はありませんが、毎日続けること、そして就寝前に
やることがおススメです。

就寝前は、まどろみ常態ですので、
意識と潜在意識の境界が曖昧な分、
このワークが効果的に働くと言われています。

興味深いのは、販売成績の良いマドンナほど、
書き出す長所の数が多い、ということです。

マドンナ研修での平均は、1分間で5個です。
しかし日頃から販売成績の良いマドンナがこれをやると、
8個以上書けることがほとんどだったのです。

自信とは、与えられるものではなく、
自身の行動の連続によって、得られるものです。

自らの行動を承認し、自信を築いていく。
そしてその結果、お客様にエンロールメントを起こす、
質の高い販売をする。

当社のマドンナも、無意識にこういった行動を連続し、
お客様に愛されるマドンナになっていくのです。


著者

児玉 達郎 (こだま たつろう) (Kodama Tatsuro)

通販支援に特化した前職において、コールセンターを設立。営業・現場を指揮し、立ち上げた案件は200社以上。2015年ダーウィンズの東京コールセンター長に就任。現在も現場の第一線でコールセンター全てを取り仕切る。また、欧米では、IBM・BMW・コカ・コーラなどが採用するPCM(心理学)認定トレーナーの資格を持ち、オペレーターに対する心理学講習などで離職率を下げる一方、顧客に合わせたコミュニケーションの取り方を教えることで、通販企業の販売率向上に貢献。クライアント先のコールセンターで8時間に渡るセールス研修、PCM認定トレーナーとして外部の心理学セミナーなど、実績多数。

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