ネットショップの重要ポイント

長山 衛

ネットショップの目的は当然ながら商品を売る事です。つまり、ネットショップの重要ポイントは売るために重要なポイントと言えます。

皆さまはネットショップで売るための重要ポイントと聞いて何を思い浮かべますか?

「商品力? ネットショップコンセプト? 広告? 顧客視点?」

どれも正解です。
他にも様々な意見があると思います。それだけネットショップ運営は複雑と言えますが、今回は私の経験に基づいて特に重要という内容に絞ってお伝えします。

大前提として「商品力」は必須です。商品力で全てが決まると言っても過言ではなく、ネットショップ戦国時代の現在では、どこでも買える商品はまず売れません。国内の仕入れ販売は差別化が難しく、一層厳しい状況に立たされています。

さて、私の考えるネットショップ重要ポイントは3点です。

①マッチング
②ライティング
③発想力

マッチングを把握していますか?

「集客→接客→増客」の基本サイクルが全て連動しているのはご承知だと思います。しかし、実際にどれだけ把握出来ているでしょうか。弊社のクライアント様で、集客は外部業者に丸投げしていた店舗もいます。レポート報告を受けるのみで、詳細を把握しておりませんでした。月間で数百万円の広告投資をする会社で実際に起こっていた事です。


商品が売れるには、集客(広告等)→接客(商品ページ)のマッチングを極限まで高めることを追求しなければなりません。外部業者は接客を深く知りませんし、これは仕方ないことです。何故なら店舗からヒアリングした内容でしか商品を判断できないため、本当の商品力を伝えられるのは店舗しか居ないわけです。

つまり、判断を下せるのも店舗になります。どんなに魅力的な商品ページを作っても、集客でターゲット指定が間違っていたら無意味ですよね。逆に狙ったターゲットをしっかり集客出来ても、肝心の商品ページが的外れではやはり意味がありません。「接客→増客」「増客→集客」も全て同じ考え方です。意外と出来ていない店舗が多くいます。本当に理解している店舗は、やはり広告デザイン力も非常に高いですね。

ライティングを意識していますか?

ネットショップで商品の魅力を伝えるには、テキストよりも写真や動画の方が情報として適しています。どちらも重要ですが、私の場合お客様を惹きつけるという意味ではテキストに力を入れています。分かりやすくキャッチコピーです。私は趣味でバンドをやっていますが、有難いことに作曲してほしいというお問合せやメディア取材を頂く機会が増えてきました。そんな私のバンドは「日本一音楽にこだわらないクレイジーなバンド」です。

コンセプトは…
「それほど音楽好きじゃないです。」
「努力しない。それが俺のジャスティス。」
「練習したら負け。」

1stアルバム発売時のキャッチコピーは以下です。
「ゴミ捨て場のカラス除けに最適の一品。」

音楽はなくともインパクトは伝わるでしょうか。写真や動画というものは、直感的に理解するものだと思います。一瞬の記憶に残るものとでも言えますでしょうか。一方で、キャッチコピーは意味を理解しようとします。これは言葉なので、言葉はそれ自体に意味を持つためと私は考えています。専門家ではないので詳細は分かりませんが、人に与える印象はそれぞれ異なると考えています。

例えば、メロンの写真を見て「美味しそう」と感じることがあります。しかし、【写真を見る→みずみずしい果汁がある→だから美味しそう】というフローを一つ一つ理解しているわけではありません。キャッチコピーの場合、【キャッチコピーを見る→ジュルっと滴る真夏の果汁→美味しそう】という言葉を理解して想像するフローの違いがあります。

まとめますと、キャッチコピーは有効的に使うことで写真や動画よりも人に与えるインパクトは大きなものになります。ネットショップで有名な自然の都【タマチャンショップ】さんでは、写真とキャッチコピーの役割分担をしっかりと使い分けているからこそお客様に伝わる商品訴求が出来ているのだと思います。ぜひ、ライティングを意識してください。

発想力こそ差別化に繋がる

ネットショップに限らず、全てのビジネスに共通して言えますが発想力がもっとも重要です。上記のライティングもまさに発想力ですし、マッチングで問題点が見つかった時の解決方法も発想力です。発想で大事なのは、固定概念をどれだけ払拭出来るかだと思います。常識に捉われず柔軟な発想こそビジネス成功の肝と言えるでしょう。

私は求人採用で「メタルインターン採用」を考えて形にしました。結果は想像以上に話題になり、メディアにも多く取り上げられ、実際にインターン募集も多く頂きました。海外から問合せも来た事は驚きましたが、一定の層には刺さるだろうという仮説は正しかったわけです。これは数ある「仮説→実行」の成功例ですが、正直なところ成功の裏には失敗も数多くあります。すべて意味のある失敗です。

店舗が大きくなると人も増えますので、色々な意見が出てくると思います。その時に社長の鶴の一声で意思決定するのではなく、ぜひ失敗を恐れずに発想した内容を実行に移してください。現場で生まれる発想は、お客様の隠れたニーズを掘り起こすことが多々あります。

以上、私の考えるネットショップの重要ポイントを絞ってお伝えしましたが、デザインや回遊性、ユーザビリティなど他にも考えなくてはいけないポイントは数多くあります。しかし、今回まとめた内容の本質(考える力)を理解頂ければ、何を優先判断していくのか必然的に見えてくるでしょう。参考にしてみてくださいね。


著者

長山 衛 (Mamoru Nagayama )

現役ECデザイナーとして撮影からデザイン制作を前線で行い、
楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。ECおせち販促師として
各種メディアに取り上げられ、著書に『食品ネットショップ10倍売るための教科書』(日本実業出版)、
他「日本ネット経済新聞」にて「売れるデザイン演出テク」コラム連載(2012年5月~)。
EC運営者のスキル認定資格「ネットショップマスター認定講座」のカリキュラム監修担当。
経済産業省後援事業「ドリームゲート」認定専門家。
またアーティストとして、さくら水産のテーマソングを作詞作曲しカラオケ化。

企業URL:http://www.netshop-soken.co.jp/