『ポッキリ価格』の使い方

出口 康介

今日のテーマは『見せ方(訴求の仕方)を変える』というお話しです。

ECショップを運営されている方は『売れない/売りにくい在庫品をどうやって売り切ろうか…』に苦心されている方も多いと思います。『在庫処分!』や『アウトレット』コナーばかり作っていると『安売りのイメージ』が定着してしまって高い商品が売れなくなってしまいますし、客単価もどんどん下がっていきます。実店舗でもよくある話ですが、在庫は減るけど『特売品』や『アウトレット』しか売れなくなってしまうという危険性もあります。そんな時に役立つのが『ポッキリ価格』という見せ方です。

『¥500ポッキリ!』、『¥1,000ポッキリ!』というやつです。この企画の良い点は、ポッキリ価格企画のために無理やり商品を作る必要が無いところです。これまで在庫処分やウトレットで売っていた商品を『見せ方(訴求の仕方)』だけ変えて充当します。

特にアパレルなどの粗利の高い業態で、『在庫処分セール』などで大幅値引きして商品を売る場合がありますが、『在庫』になってしまう商品なので、消費者にとってはそれ程魅力的では無い場合が多いです。『在庫処分セール』をやったけど結局売れなかった…。というようなこともあると思います。このような場合にこの『ポッキリ価格』を利用する訳です。

普通だったら『在庫処分セール』をしても売れないような商品の見せ方を変えて『¥500ポッキリ!』、『¥1,000ポッキリ!』として売れば、送料無料にするために購入してもらえるチャンスが広がります。つまり、『在庫処分セール商品=ただの安売り』ではなく、『¥500ポッキリ!』、『¥1,000ポッキリ!』というお買い得感のある『価格』を前に出して訴求するやり方です。

私のクライアントでは、『送料無料までもうすぐという方に¥500ポッキリ・¥1,000ポッキリコーナー!』と大きく表示したバナーを作成し、カート直下に設置しているショップが多いです。また、レコメンド機能も使って『¥500ポッキリ!』、『¥1,000ポッキリ!』を並べています。『送料無料まであと●●円です!』と表示させているショップ様がおられると思いますが、あれです。

これは、消費者には『せっかくなので送料無料でご利用ください!』と映るのですが、お店側の意図は『客単価アップや在庫処分』です。商品にもよりますが、これは結構効果があります。

今回ご紹介した方法はちょっとした見せ方のテクニックですが、ちょっと見せ方(訴求の仕方)を変えるだけで『ただの安売り』から脱却して効率的に単価アップや在庫処分が可能になります。もし『在庫処分セール』が上手くいかない場合は、こういった手法にもチャレンジしてみてください!


著者

出口 康介 (Koussuke Deguchi )

大手上場コンサルティング会社で7年に渡りメーカー、卸(問屋)、小売業まで、流通の商流全てのコンサルティングに従事。その後、EC総合支援ベンチャーを経て2013年に出口総合コンサルティングを立ち上げる。小手先のテクニックやノウハウではなく、中小・零細企業がWebを活用して永続的に売上アップを実現するための現場実行支援を得意とする。特に、ECショップ支援については、『商品』、『立地』、『客層』を重視して小売業のマーケティング原理・原則に則ったコンサルティングサービスをご提供しています。『ECの売上アップに必要なのは、集客でもデザインでも価格でもない。お客様をセグメントし、お客様が欲しい商品を、力相応に勝てる立地で、お客様の予算に合わせて売れる仕組みを作ることだ』をモットーとしています。

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