レコメンドエンジンの歴史から見る選択のコツ

田中 優

レコメンドエンジンにも種類が多々あり何を選んでいいのか、
何を見ればよいのか、悩ましいところかと思います。
まず、レコメンドエンジンの進化の過程を説明させていただきながら
何が異なるポイントなのか、選定、導入の際の参考になれば幸いです。

次回のコラム「レコメンドエンジンの現在の流行と、カスタマイズ要件から見る選択のコツ」
http://ecnomikata.com/column/detail.php?id=5523

1.レコメンドの進化の歴史


□ I 初期時代のレコメンド
セットで売りたい商品(クロスセル)を、店側が人力でセットしていくエンジンでした。
-特徴-
・人手が掛かる。
・人の感性、経験に依存する。

□ II 協調フィルタリングアルゴリズム時代
購買ログや閲覧ログから統計的に、より買われる可能性の高い商品を自動で抽出する協調フィルタリングと呼ばれるアルゴリズムが登場しました。

-特徴-
・人手の煩わしい作業無く、自動でレコメンドするべき商品が抽出される。
・購買データ、閲覧ログが相当数積み重ねて持たせなければならない。
・費用対効果の難しさ。売上げを数%あげる効果に幾ら払えるか?

その結果、無いよりも、有ったほうがいいだろう的導入は進みましたが、ある程度大規模で、商品数があり、費用を払えるサイト限定となりました。


□ III ハイブリッド型レコメンドアルゴリズム時代。(現在)
協調フィルタリングだけではなく、自然言語解析、ランキング、顧客属性などを組み合わせたアルゴリズムが生まれました。
その結果多彩なレコメンドの出力が可能になりました。

-特徴-
・複数のアルゴリズムを使う。
・そのアルゴリズムは組み合わせて使用できる。
・状況に応じた、多彩なレコメンドを出力することができる。

各アルゴリズムをその適切な場所にて適用し、動的に生成することによりサイトに動いている感、売れている感を出せます。商品数がそれ程無い場合でも適用でき、役に立てるレコメンドに進化しました。

2.レコメンド史から見るレコメンド選びのコツ

2-1 「I初期時代のレコメンド」人手定義時代のエンジンについて

例えば、商品数が少ない場合、優れた人が手間をかけられる場合において、顧客の嗜好、ライフスタイル、購買履歴、商品情報などを、経験や情報力から設定した場合は効果的です。

コンピュータによる計算も、経験豊富な人間の感性に勝つことはできません。

レコメンドに限らず、人間のやるべきところ、コンピュータに任せるところの切り分けが大事です。


2-2
「II協調フィルタリングベースのレコメンド」と「IIIハイブリッド型レコメンド」の見分け方

1ページ内に複数アルゴリズムのレコメンドを貼り付ける事が可能かどうか?が見分けるポイントです。

多彩なアルゴリズムを使用していると謳っていても、利用形式上からは、1ページ内に複数アルゴリズムのレコメンドを
出せないエンジンなどもあるようです。それではサイトに動いている感、サイトが売れている感を出すことが難しくなります

2-3「IIIのハイブリッド型レコメンドの選び方」

商品数の少ないサイトで、有効にレコメンドが使われている実績があるか?をヒントにしてみては如何でしょうか?

IIIのハイブリッド型レコメンドを導入する際は、サイトに動いている感を出すことをイメージしてレコメンドエンジンを、どこにどう入れ込むかを検討する必要があります。商品数が、数十個レベルでも、多彩なレコメンドはかなり有効です。コンバージョンの上昇数にあまり囚われず、いかに、サイトに動いている感を出すかが重要です。

具体的には、
「日々変わる、各カテゴリ内での売れ筋、閲覧数などのランキングの出力」
「在庫切れ時などに、同規格での別商品をレコメンド」
「送料無料になる商品をもう一品」

上記を参考に選択されては如何でしょうか?
もちろん、やりたい事が実現可能であれば、

上記のような実績には囚われることなく選択してください。

次回、「レコメンドの現在の流行と、カスタマイズ要件から見る選択のコツ」について説明させていただきます。


著者

田中 優 (tanaka yuu)

2008年創業。自然言語解析の研究を経て、検索&レコメンドASP自社開発開始。お客様サイトに合ったロジックやアルゴリズム構築、オーダーメイド感覚で様々なカスタマイズ対応。検索100サイト超導入、レコメンド250サイト超導入。

http://exp-data.com/