ヤフー宮坂社長が会長に、「日本IT団体連盟」設立

福島 れい

政策提言やIT人材育成に向け、53団体が結集

 7月22日、IT産業に関わる53団を束ねる日本最大級のIT団体の連合体「一般社団法人 日本IT団体連盟」(以下、IT連盟)が設立された。IT連盟は、官民の連携強化やIT人材の育成などの課題に、IT業界が一丸となって取り組むべく設立され、代表理事 兼 会長にヤフー株式会社の宮坂 学氏が就任した。

 これまでのIT業界は、2013年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」が策定され、IoTやAIなど新たな技術開発も進んでいるが、IT団体間の連携が十分に取れておらず、IT業界としてまとまりのある意見を政府に提言できていないのが現状だった。今回は国内には100以上あるIT団体のうち、53団体がIT連盟に加盟、世界最高水準のIT社会の実現に向けて連携を強化する狙いだ。

 IT連盟の主な活動は以下の4つ。まず「53団体を代表する政策提言」だ。IT産業の新サービス・新製品が続々と誕生しているが、その多くは現行法では想定されていない。IT連盟では、これらの新サービス、新製品が健全に発展するよう、IT業界の現状を踏まえた政策提言を行っていく。

 また、2030年には約59万人ほど不足すると言われている「IT人材の育成」において、具体的にどのような人材や政策が求められているのかを政府に提言していく。特にセキュリティ対策、IoT、AI、ビックデータ分野の人材育成には注力していくという。同時に若い世代へのIT教育振興のため、「学校教育課過程のIT教育推進」も行っていく。学校教育におけるカリキュラム策定や必要な環境整備について、政府への提言を行う。

 さらには「海外市場・海外動向の共有」をIT連盟が窓口となり行っていく。これまでは各団体が独自に行っていたが、一本化することで、より効率よく日本のITサービス・製品の海外展開を支援し、また、海外動向の情報共有を行っていく。

 こうした取り組みは、これまでも各IT団体が行っていたものではあるが、IT連盟として53団体が連携することでよりスピード感のある政府への提言、また課題解決、IT業界の発展へつなげていくことができる。世界中で新サービス、新製品が続々と登場するITの分野では、その発展スピードによって、数十年先の経済状況、労働状況にも大きな差が生まれるのではないかという予測もあり、IT連盟がIT業界をリードし、情報共有や政策提言、技術発展を推し進めていくことは、IT業界にとどまらず、日本にとって大きな価値を持つように思う。

「一般社団法人 日本IT団体連盟」の詳細

・名称:一般社団法人 日本IT団体連盟(英語名:ITrenmei、Japan Federation of IT Associations)
・設立:2016年7月22日
・代表理事 兼 会長:宮坂学
・日本IT団体連盟 加盟団体(五十音順)計53団体(加盟企業数 約5,000社)(※)

一般社団法人 IT検証産業協会
特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会
一般財団法人 医療情報システム開発センター
一般社団法人 オープンガバメント・コンソーシアム
一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会
一般社団法人 コンピュータソフトウェア倫理機構
一般社団法人 セーファーインターネット協会
全国ソフトウェア共同組合連合会
一般社団法人 全国地域情報産業団体連合会
一般社団法人 日本インターネットプロバイダー協会
一般社団法人 日本コンピュータシステム販売店協会
特定非営利活動法人 日本情報技術取引所
特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会
メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア&サービス・コンソーシアム
モバイルコンピューティング推進コンソーシアム
※ 団体数、加盟企業社数は「全国ソフトウェア協同組合連合会」及び「全国地域情報産業団体連合会」の会員団体(37団体)を含む

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記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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