ニッセン、第2四半期実績とセブン&アイ子会社化の真相

ECのミカタ編集部

第2四半期連結累計期間の業績は前年度を下回る結果に

 株式会社ニッセンホールディングス(以下、ニッセンホールディングス)が平成28年12月期第2四半期前年同期実績との差異及び、通期業績予想の修正並びに剰余金の配当について発表した。

 第2四半期連結累計期間の業績は、経営合理化策の一環として実施した大型家具業からの撤退及び、それに伴うインテリア関連売上が減少した。また、カタログ多頻度発行施策の戦略修正、スペシャルカタログの統廃合等の影響により大幅な減収とった影響が大きく、売上高及び各段階利益ともに前年同期実績を下回る結果となった。

 平成28年12月期の通期の連結業績予想に関しては、在庫処分や大型家具事業の撤退に伴う併売商材の落ち込み等の影響により、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、大幅に損失が膨らむことを見込んでいる。

 また、ニッセンホールディングスは平成28年11月1日をもって、株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ・ホールディングス)の完全子会社である株式会社セブン&アイ・ネットメディア(以下、セブン&アイ・ネットメディア)との株式交換により、セブン&アイ・ネットメディアの完全子会社となり、セブン&アイ・ネットメディアの完全子会社となり、平成28年10月27日付で上場廃止となる。今回の発表は、それを前提に、現時点での入手可能な情報や予測等に基づいての見込みだ。

ニッセンが完全子会社となった経緯

 セブン&アイグループは、6万点以上の国内外店舗ネットワークと、コンビニエンスストア、総合スーパー、百貨店、食品スーパー、フードサービス、金融サービス、IT/サービスなど、多様な事業を擁し、顧客サービスの向上、店舗網の拡充、商品開発力・調達力、ブランド力の強化等に積極的に取り組んでいる。セブン&アイ・ネットメディアは、セブン&アイグループのIT/サービス事業分野を担う中間持株会社として、平成20年7月にセブン&アイ・ホールディングスの完全子会社として設立され、それ以来、当該事業分野の事業機会創出に取り組んできた。

 通販事業においては、マーケット規模は成長する一方で、業種、事態の垣根を超えた競争が激化している。また、平成24年3月にはシャディ株式会社(以下、シャディ)を完全子会社化することにより、ギフト事業者として全国約3,000店舗のネットワークを持つシャディ及びその子会社をグループに迎え入れ、全国店舗ネットワーク、今後大きな市場となるシニア顧客、コスト競争力のあるギフト・生活関連商品などを新たに経営資源に加えた。そして、将来的に大きく飛躍できる企業グループを目指し鋭意取り組みを進めてきた。

 しかし、ニッセンホールディングスグループの通販事業においては、インターネットや携帯電話、最近ではスマートフォンの急速な普及により、マーケット規模は成長する一方で、業種、事態の垣根を超えた競争が激化している。通販への顧客のニーズは、多種多様に広がっており、ヤング層からシニア層まで多くの人が通販を活用するようになる中、一層の商品品質やサービスの強化が求められている。また、ニッセンホールディングスグループのギフト事業においては、冠婚葬祭における返礼ギフトマーケットが成熟する中で、商品やサービス面での量と質を向上させ、顧客に魅力のある提案力とコスト競争力を強化する必要に迫られている。

 両グループが強固な資本関係のもとで協力することが、双方の経営資源のより円滑な相互活用、各々の自力成長を超えたレベルでの企業価値の創造・拡大、セブン&アイグループ全体としてオムニチャネル戦略の推進に資するとの判断に至った。そうしたことから、平成25年12月2日付で資本業務提携契約を締結し、ニッセンホールディングス普通株式に対する公開買付け及び第三者割当ての方法によるニッセンホールディングスが発行する普通株式の引受けを通じて、セブン&アイ・ネットメディアがニッセンホールディングスの議決権323,870個(平成28年6月20日現在の総株主の議決権の数638,282個に占める割合)にして50.74%を保有するに至っている。

今後のニッセンの動きに注目

 ニッセンホールディングスの今後は、アパレル通販事業における競争優位な事業領域(特殊サイズセグメント等)への経営資源の重点シフト、グループ企業間のクロスセルやプロモーションによる相互送客の推進、及びグループのスケールメリットを活かした商品調達・商品開発等によるグループシナジー効果を追求した効率的経営によって、通販事業のビジネスモデルを進化させることを目指している。また、ニッセンホールディングスの持つ3千万人規模の顧客基盤、アパレルSPA(製造小売)のモノづくり機能、通販ビジネスのインフラを始めとした経営資源・リソースを、オムニチャネル戦略等のセブン&アイグループの戦略の中で活用していく。

 これまでの提携関係を超えた事業展開で、グループとしての企業価値向上に取り組むことにより、本株式交換に伴ってセブン&アイ・ホールディングスの株式を取得することになるニッセンホールディングスの株主を含め、セブン&アイ・ホールディングスの株主に期待に応えていく。

 高い人気を誇ってきたニッセンだが、決算を見ると売上は減少してきている。だが、セブン&アイ・ネットメディアのグループとなり、商品が拡充されることにより、さらなる利用者の拡大が見込まれる。セブン&アイ・ネットメディアと力を合わせ、今後成長していくニッセンホールディングスを追っていきたい。


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