クルーズ、子会社を設立。SHOPLISTで越境EC

ECのミカタ編集部

 クルーズ株式会社(以下、クルーズ)が、新浪日本総合ネットワークグループ株式会社(以下、新浪日本総合ネットワークグループ)、および新潮国際貿易株式会社(以下、新潮国際貿易)と共同出資により、連結子会社であるワールドリンク株式会社(以下、ワールドリンク)を設立することを発表した。また、設立に伴い、越境EC事業も開始するという。

クルーズが子会社ワールドリンク設立

 クルーズは、2012年7月よりファストファッション通販『SHOPLIST.com by CROOZ』(以下、SHOPLIST)を運営している。4年目となる2016年3月期には約150億円規模まで売上高が拡大。クルーズと言えば、今年10月に発表した戦略転換が記憶に新しい。3つの内、特に「高成長のSHOPLISTへ事業構造転換、経営資源集中のため、不確実性の高いゲーム事業を譲渡」が印象に残っているのではないだろうか。

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 新浪日本総合ネットワークグループは、中国において屈強なインターネットメディアである「SINA(新浪)」と「Weibo(微博)」の日本における広告・PR の販売権を持った日本法人として事業を行っている会社だ。現在求められている日本発の質の高い最新の情報を、中国最大級のインターネットメディアを通じて中国と訪日中国人に向け発信している。

 新潮国際貿易は、日中間の貿易商社だ。物流を始め、中国の市場調査やコンサル業務を行なっている。そして近年、訪日旅行客の増加により加速しているインバウンドビジネスや、帰国後も圧倒的な消費力を維持する中国人旅行客をターゲットに、越境ECビジネスを展開している。

 そして今回、新たに設立する子会社ワールドリンクでは、新浪日本総合ネットワークグループが日本で独占的販売権を持っている中国最大級のメディア「SINA(新浪)」、そして日本で唯一、全商品の広告・PR販売権を持つ中国圏最大のソーシャル・メディア「Weibo(微博)」を活用するという。狙いは全世界6億人以上のユーザーへアプローチすること。それを武器にして様々な事業を展開していく。

 「SINA(新浪)」においては、1日の平均アクセス数が12億ページビュー、ユニークユーザー数は6,628万を数えており、中国最大級のインターネットポータルサイトである。「Weibo(微博)」においては、全世界6億人以上のユーザーを抱える中国圏最大のソーシャル・メディアだ。そのため、利用者は中国本土だけでなく香港や台湾、アジアや欧米など幅広い。現在、越境ECやインバウンドプロモーションの1つとして「Weibo(微博)」を利用する日本企業も増加している。そのため、今後の伸びにも期待ができるサービスだ。

SHOPLISTの今後は?

 クルーズがワールドリンク設立にあたり越境EC事業を開始する理由は、クルーズの強みであるファッション関連以外にも、様々なジャンルの日本商品を世界へ向けて発信していきたいからだ。今までのノウハウやデータを活用し、SHOPLISTも日本国内だけでなく世界のユーザーに対して商品を提供していけるような仕組みを構築していく。

 今、中国の消費者が海外企業のECサイトから製品を購入する越境EC市場は2015年度の1兆9536億円から2018年までに8兆6790億円規模と4倍強に拡大すると予想されている。(中国リサーチ会社iResearch調べ)その中で、圧倒的集客力を誇る「SINA(新浪)」と「Weibo(微博)」、そしてクルーズのEC運営ノウハウとECシステムを活用することによって、海外で簡単に商品を販売する越境ECの仕組みを構築することができる。

 そして、クルーズが日本で培ってきたSHOPLISTと同じ事業モデルを中国でも実現することができる。そのためクルーズは、中国をはじめとしたアジア圏での事業拡大を目的にしている日本メーカーやブランドに対して、販売からプロモーションまで一貫して提供することができる。この越境EC事業だが、当期は準備期間として正式リリースを目指すという。

 約2か月前に発表されたクルーズの戦略転換。そこでは、SHOPLISTに今後力を入れていくと発表された。そして今回、子会社ワールドリンク設立と越境EC事業へ参入する。ここから、SHOPLISTが着々と歩みを進めていることが読み取れる。今後越境EC事業が始まって、どのような成長を見せていくのか、楽しみである。


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