コンバージョン率最適化(CRO)とは?施策から実施方法、事例まで徹底解説!

ECのミカタ編集部

コンバージョン率最適化(CRO)とは?施策から実施方法、事例まで徹底解説!

企業も消費者もWEB利用があたり前になり、競合も多く存在する今日。企業はただサイトを運営するだけでなく、サイトを利用していかに利益を創出するかにも注力しなくてはいけません。WEBサイトを成功に導くためにぜひ取り入れたい、コンバージョン率の向上を目指すCROについて解説します。

コンバージョン率最適化(CRO)とは

語でのCROの正式な呼び名は、Conversion Rate Optimization。これを日本語に訳すと、「コンバージョン率最適化」となります。CROとは、サイトを訪問したユーザーの中で、運営者がしてほしい行動=CVをとってくれる人の割合を増やすために改善策を実施することです。

コンバージョン率(CVR)は下記の計算式で求められます。

CVR(%)=コンバージョン数÷サイト訪問数×100

どんな行動をCVとするかはサイトによって異なります。たとえば多くのECサイトではユーザーに商品を買ってもらうことがCVになりますが、そのほかにも会員登録や資料請求などがCVとして設定されているサイトも多いです。商品の注文をCVとして設定しつつ、商品資料のダウンロードなどハードルの低いマイクロコンバージョンの達成もKPIにおくなど、ひとつのサイトで複数のCV定義が存在する場合もあります。

CROが重要視される理由


なぜ、サイト運営者はCROに取り組むべきなのでしょうか。そもそもコンバージョンとは、広告費やSEO対策などのWEB集客にかけたコストが、成果に転じることをあらわしています。商品を販売する際、売上が仕入れ値や人件費などのコストを上回る必要があるのと同じく、WEBサイトにおいても成果がコストを上回らなくては、健全な運営状態を保ってはいけません。

CVRが低い場合、ユーザーがコンバージョンせずにサイトを離れていってしまうような問題点を、サイトが抱えている可能性があります。反対にCVRが高いのであれば、自社の利益へのサイトの貢献度が高い状態と言えます。 CVRは、サイト運営というWEB戦略がきちんと効果を発揮しているかどうかをはかるひとつの指標なのです。CROに努めることは、自社がWEB戦略でもつ利益創出のポテンシャルを最大限高めることにつながります。

なお、近頃は以前にもましてCROを重視する企業が増えています。背景にあるのは社会環境の変化、とりわけ、2020年以降の新型コロナウイルス流行による影響は大きいといえるでしょう。消費者のWEB利用が一般化した現在、多くの企業がサイトやSNSのアカウントなどなんらかのWEBプラットフォームをもっており、運営者にとっては競合が増えている状態です。多くのサイトで顧客をとりあうことになるので、サイトへの集客コストが高まっている傾向にあります。

顧客獲得単価があがれば、当然それを回収するための収益も伸ばさなくてはいけません。そのため、CROの重要度が増しているのです。

ランディングページ最適化(LPO)との違い


CROはサイト全体でCV率を向上させるための施策を行いますが、中でもランディングページにおいて、ユーザーを効率的にコンバージョンに導くための最適化をLPO(Landing Page Optimization)といいます。

ランディングページとは、WEBマーケティングの用語で、広告やキーワード検索から流入したユーザーがサイトで最初に閲覧するページのことです。会員登録や商品の購入、資料請求などのCVがそのページの中で完結するように作られます。

広告の訴求内容、あるいはクエリ(検索した語句のこと)に表されているのは、ユーザーのニーズです。それらを通してサイトにアクセスしたユーザーは、ニーズを満たすものがあると期待してランディングページを訪れます。もしもランディングページがその期待にそぐわないものだった場合、ユーザーはコンバージョンどころか簡単にサイトを離れてしまうでしょう。

せっかくサイトに来たユーザーを取り逃がさないためにも、CVにつながるランディングページとできるように最適化が必要なのです。

入力フォーム最適化(EFO)との違い


もうひとつ、サイトのCVR向上をめざす一環として、とくに会員登録や商品注文時の入力フォームの最適化を図る施策をEFO(Entry Form Optimization)といいます。

入力する項目の枠が小さすぎる、入力必須の項目が不必要に多い、エラーが起こりやすいなどの問題が入力フォームにあると、ユーザーはスムーズにCVに至れません。いくら「この商品が欲しい!」と思っていても、いざ注文するときのフォームが使いにくくては購買意欲がそがれてしまいます。

また、住所や決済情報といった個人情報を入力するフォームに不具合があると、サイト自体へのユーザーの信頼度が下がってしまうおそれもあります。そうしたリスクを避けるためにも、EFOはぜひ取り組むべき施策です。

CROに取り組む際の流れ

CROの施策としてさっそくLPOとEFOを紹介しましたが、取り組むべきはこの2つだけではありません。サイトにおいては、ほかにも色々な要素がユーザーのCV行動に影響を与えるのです。サイトのどこに問題があるかを見つけ、どのような改善策をとっていけばよいのか、CROに取り組む際の流れを解説します。

仮説を立てる


まずは、なぜコンバージョンが低いのか仮説をたてるところからはじめます。そのためにすべきは、サイト上でのユーザー行動の把握です。判断材料がないと、有効な仮説はたてられません。Google Analyticsやヒートマップなどの分析ツールを使って、いろいろな角度からサイト内の状態をチェックしてみましょう。

たとえば、Google Analyticsではページごとや期間ごと、流入元ごとなどさまざまな条件で絞り込んだユーザーの行動を数値のデータで可視化できます。数値化されているのはPV数やページの滞在時間、直帰率、離脱率などです。

”データ”という判断材料が揃ったら、サイトが抱えている問題を見つけるための分析を行いましょう。例として、あるランディングページについて「広告のランディング先として設定しているこのページは、コンテンツの改修以降直帰率が上がっている/下がっている」など、サイトの中で成果につながっているポイント・逆に課題となっているポイントがわかります。

ただし、データだけでは実際のユーザー感覚を把握するのに限界があります。数値の分析だけでなく、サイト利用者に対してアンケートやヒアリングを行うのも効果的です。

A/Bテストを実施する


仮説に従い、改善策を検討したら、それをA/Bテストにかけます。A/Bテストは、複数のパターンでの成果状況を比較する手法です。改善前をA、改善策を反映したテストパターンをBとして、両方を試してCV率の違いを比べてみましょう。

呼び方として”A/Bテスト”という言葉を使っていますが、比較するパターンは3つ以上あっても問題ありません。ただし、それぞれの比較軸がぶれてしまわないように注意しましょう。

ユーザビリティテストを実施する


よりリアルに近いユーザーの反応を知るためには、ユーザビリティテストも効果的です。ユーザーに普段と同じようにサイトを使ってもらい、その様子を観察したり、使ってみての感想などをヒアリングします。サンプル数が少ないと個人の感覚に偏ってしまうので、テストには複数のユーザーに参加してもらいましょう。

社外にあるユーザーからの意見を受けることで、問題点を客観的に見つけやすくなります。

テスト結果をもとに分析・改善する


仮説、テスト…ときたら、WEBマーケティングや営業活動に携わる人なら次は何をすべきかピンとくるでしょう。結果を元に検証、そして新たな改善を行います。いわゆるPDCAサイクルです。

A/Bテストやユーザビリティテストによって得られた結果をもとに、仮説が正しいのかどうかを分析します。大切なのは、施策を実施する前と後、コンバージョンしているユーザーとしていないユーザーなど、相対する数値同士で何が異なっているかを正しく比較すること。

もし施策にリソースをかけても、実施前に比べて改善が見られないのであれば最初の仮説に修正すべき点があるのかもしれません。コンバージョンの有無でわけたユーザー同士の差異には、新たな改善のヒントを見つけられる可能性があります。

CROは単発での効果を期待するものではなく、このように地道にPDCAを回し続けてWEBサイトの利益拡大を目指す施策なのです。

CROにおいてチェックすべきポイント

CRO実施の流れがわかったところで、続いて分析や仮説の策定の際にチェックすべき点を見ていきましょう。とはいうものの、CROで着手すべき課題点は、サイトの至るところに存在し得るものです。商品ラインナップやコンテンツといった部分はもちろん、ページの読み込み速度が遅くないかなど、ユーザビリティのインフラが整っているかどうかも大切です。

その中で一体何から着手をすべきなのかは、サイトによって置かれている状況次第で異なるでしょう。すぐに対応可能かどうか、対応にどれくらいのリソースが必要なのか、改善を行った場合どれくらいの成果が見込めるかなどの観点にもとづいて判断をしてみてください。

ここでは、とくにユーザーがCVする・しないに直結しやすく、比較的大きな成果を見込める改善ポイントについて紹介していきます。

キーワード設定


”キーワード”とは、具体的にはリスティング広告で設定しているキーワードやSEO対策としてコンテンツに取り入れている語句のことを指します。これらは実際のクエリ(ユーザーの検索語句)はもちろん、掲載する内容自体とも合致していなければいけません。

つまり、運営者側がユーザーのニーズとして想定しているものが、きちんと実態を捉えられているかどうかがチェックポイントとなります。広義にはランディングページ内のテキストライティングや、ディスプレイ広告で設定するタイトル&ディスクリプションなどのコピー類もこの中に含め、最適な状態であるかどうかを検討すべきでしょう。

CTA


CTAとは、「Call to Action(行動喚起)」の略で、サイト内でユーザーを次の行動に導く要素のことです。WEBサイトのCROでは、ユーザーにとってもらいたい行動=CVにつなげるための要素の改善について検討します。商品を「カートに入れる」ボタンや、サービスの「お申し込み」ボタンなどがわかりやすい例でしょう。

CTAはユーザーからCVを引き出す重要なポイントです。それがわかりにくかったり、全体の内容に対してチグハグであったりすると、せっかくCVの目前まで来たユーザーを取り逃がしてしまうかもしれません。ページ全体の流れの中でCTAは効果的な場所に置かれているか、付随するテキストはユーザーの行動を促せるほど十分魅力的かどうかを検証しましょう。

CTAボタンが見えやすいか、押しやすいかなどのデザインも重要な視点です。

事例紹介


制作会社やWEBシステムのベンダーなどプロダクトがサービス系の商材であるサイトの場合、事例紹介がいわゆる商品カタログの役割を果たします。ECサイトで商品ページが魅力的でなくてはユーザーの購買意欲を刺激できないのと同様に、魅力がない・伝わりにくい事例紹介のページでは申し込みを獲得できません。

価格表記


価格表記の良し悪しも、CVに影響を与える要素です。ユーザーは商品やサービスを購入する際、ほぼ必ず価格を確認します。もし表記がページの中で見つけにくかったり、もしくは注文単位がわかりにくい場合、購入に傾いていた心理が逆戻りしてしまいかねません。また、価格表記の明快さはユーザーからサイトへの信頼感にもつながります。

サイトに掲載するほかの内容ももちろんですが、とくに価格に関しては、ユーザーの視点でわかりやすい記載ができているかどうかチェックしましょう。送料やセール時の割引価格といった関連情報も同じくです。

広告


WEB広告やSNS広告など、サイト内ではなく外部へ向けて行う集客施策も、コンバージョン率に大きく関わってきます。集客の目的は読んで字のごとく「サイトの訪問ユーザーをできるだけ多く集めること」ですが、問題は質のよい、つまりコンバージョンの見込みのあるユーザーを集められているかどうかです。

広告出稿には費用がかかりますから、お金をかけて集めたユーザーには利益につながるCV行動をとってもらわなくては意味がありません。広告施策に取り組む際は、配信内容や広告を表示するターゲットの設定、プレイスメントなどが常に適正であるか、コンバージョンの単価が実際に発生する利益に対して高騰していないかどうかをウォッチしましょう。

ランディングページ


ランディングページの改善に取り組むLPOの重要さは、すでに紹介したとおりです。広告やSEO対策でどれだけユーザーを、それもコンバージョン見込みの高いユーザーを集めたとしても、彼らがサイトに訪れた際最初に閲覧するページが残念な状態ではコンバージョン獲得に至れません。

入力フォーム


商品購入や申し込み時の入力フォームは、ユーザーのCVが完了する最終ステップです。しかし同時に、情報をユーザー自らが打ち込まなくてはいけないという煩雑さ、また個人情報を入力する必要があるという心理的なハードルから、実は離脱ユーザーが増えるポイントでもあります。

せっかく入力フォームまでたどり着いたユーザーを取り逃がしてしまわないよう、ユーザビリティのよい状態であるかどうか確認しましょう。

CROに取り組む際の注意点

CROはジャンルや業種に関わらず、基本的にすべてのサイトが改善のために取り組んでよい施策です。ただし、実施をする際には気を付けておきたい点があります。

短期的に成果を出すのは難しい


CROは実施してすぐに効果が出る特効薬ではありません。日々地道にPDCAを回していき、長いスパンで改善に至るのを目指すものです。最初のうちはかけたリソースに結果が見合わないように見え、じれったく感じるかもしれません。何のためにCROに取り組んでいるのか、目的の明確化が社内のモチベーション維持のために大切です。

施策に取り組むには一定のリソースが必須


CROではサイトのあらゆる点を日々チェックする必要があり、かつ改善策の実施のために発生する業務もたくさんあります。さらに言えば、発生する業務にはそれぞれマーケティングやディレクション、デザイン、エンジニアリングなどのスキルを要します。また、場合によっては分析や実際の施策の実施のために外部のツールを導入することもあるでしょう。

せっかく費用や人員を割いて行うCROですから、時間はかかっても成果に近づけていかなくてはいけません。ムダを発生させないため、つねにリソースと成果が見合っている状態かどうかの検証が必要となります。

CROの成功事例

ここからは、実際にCROに取り組んでサイトの成果がアップした事例をご紹介します。

スタジオマリオ


https://www.studio-mario.jp/">https://www.studio-mario.jp/
カメラのキタムラ運営の、子どもの記念日撮影サービスを提供する「スタジオマリオ」HPでは、サイトリニューアルと共にコンテンツマーケテイングに注力をしてコンバージョン数のアップに成功しました。

具体的に取り入れた施策としては、ユーザーにあわせたメインビジュアルの出し分けや、シーン別の撮影例の刷新など。記念撮影という特別なイベントにふさわしく、サービスや衣装ラインナップの充実度が伝わるように改善されています。さらに、そこから申し込みまでスムーズに進めるよう導線も検討しなおされました。

さらに、主要なランディングページでは、ユーザーがいだくイメージとのミスマッチが起こらないよう内容の最適化もはかられ、潜在層向けのコンテンツページで成果を出すに至っています。

Evans Cycles(エヴァンスサイクル)


https://www.evanscycles.com/">https://www.evanscycles.com/
Evans Cycles(エヴァンスサイクル)はイギリスで最大の自転車販売店です。同社は運営するWEBサイトにおいて、商品ページ改善のためにさまざまな角度からのテストを行い、コンバージョン率を伸ばしました。

Evans Cycles(エヴァンスサイクル)が行ったのは、商品在庫の有無の表示やボタンの視認性改善など、一つひとつはシンプルな改修です。しかし、これらの実施によって商品のカートへの追加率は49%アップ、さらに収益も4.3%増加と大きな成果を出しています。

CRO施策における、効果検証の積み重ねの大切さがわかる実例です。

ChooMia(チュミア)


https://choomia.com/">https://choomia.com/
多品目系ECサイトでCRO施策を実施したプチプラアクセサリー通販のChooMia(チュミア)では、実際のユーザーからの意見や要望を積極的に取り入れ、ABテストやヒートマップでのテストを重ねコンバージョン率を大きく伸ばしました。

ChooMia(チュミア)では、商品ページごとに動画説明の充実、レビューやUGCコンテンツを分かりやすくしたりアクセスしやすくしたりするなどUIデザインの改善。そのほかレコメンド機能やカート落ち対策など多岐にわたって実施した結果、コンバージョン率はECサイト全体で見て約2倍にアップしました。

リニューアルといった形で一度に改善を実施するのではなく、ユーザーの声を中心に一つひとつテストを重ねながら、実際のユーザー行動データを分析し、よかったパターンを採用していきました。結果的にユーザーの利便性が上がりCRO施策としても成果が出た事例です。

まとめ

コンバージョン率は、「サイトは今問題を抱えていないか」「サイト運営のやり方は今のままで正しいのか」をはかるひとつの指標です。その最適化は一朝一夕で実現できるものではなく、かつリソースもそれなりにかかりますが、WEBサイトを成功に導きたいのであれば常に意識をもって取り組むべきといえるでしょう。

有効なPDCAを回して最大限の利益に近づけるよう、ぜひこの記事を参考にCROを実践してみてください。


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