消費税増税の行方は?最終判断6月へEC店舗の対策

ECのミカタ編集部

消費税増税の変遷と今後の予測

 2014年4月1日、消費税が5%から8%に増税された。その後、2015年10月に10%へ増税予定だったが、景気低迷などの状況が考慮され、2017年4月に増税が延期された。さらに2016年4月、熊本を中心に発生している九州地方の地震の影響を受け、増税の再延期の可能性がささやかれている。最終判断は、6月開催の国会の会期末までになされる模様だ。

 不透明な状況ではあるが、EC店舗が、何もしないで様子見をすることはおすすめしない。というのも、2014年4月の増税時のことを思い出してほしい。対応には時間も労力も、場合によってはコストもかかったのではないだろうか。6月までにはまだ1ヶ月以上ある。この間にできる準備はあるし、もし増税が再延期になったとしても、その準備はいずれ必ず役に立つものだ。

EC店舗に必要となる増税対策

 消費税増税によってEC店舗の対応が必要なのは、大きく分けて、告知、価格表示、データ整理、決済、セールの5点だ。

 告知については、増税により価格が変わる前に、ウェブサイト、メール、同梱物などで告知を行う必要がある。

 価格表示については、2014年の増税のように、税込・税別の表示について、移行期間が取られるかによっても対応が変わってくる。カートの価格表示だけでなく、価格表やQ&A、価格に関する説明など、またバナーや広告、チラシなどの変更も必要になる。

 データ整理については、価格変更により過去の受注データの価格まで変わってしまわないよう対応が必要で、また増税の際にスムーズに作業が進むよう、商品データを整理しておいた方が良いだろう。

 決済に関しては、増税前後で、購入時・配達時・引き落とし時のいずれの価格を取るのか、事前に確定して分かりやすく告知しておく必要がある。

 セールについては、2014年の増税時は、増税前のセールが大きな効果を発揮した。また増税後は、「消費税還元」などの文言はNGだったので、このあたりも情報を抑えておく必要がある。

 以上のような準備は、増税が確定してから始めるよりも、どういった作業が発生するのかあらかじめ整理しておき、データの準備や支援サービスのある企業への相談など、現時点で対応できる部分は対応しておいた方が、いざ増税となった時に、負担を少なくすることができるだろう。

増税に際しての消費者心理

増税に際しての消費者心理2016年3月、マネーフォワード調べ。

 8%から10%への消費税増税に際して、興味深いアンケート結果がある。2016年3月10日〜3月18日、マネーフォワードが行った【お金に関するニュース】に関する意識や対策などのアンケート調査結果だ。マネーフォワード利用者4,123名を対象に行われた。

 このアンケート結果によると、消費税引き上げ前に大きな買い物を「検討している」のは約2割にとどまっている。これは、2014年の増税前の駆け込み需要を考えると、意外な感じもするが、2014年からまだ2年ほどしか経っていないことを考えると、2014年にいったん需要が満たされて、今回はあえて大きな買い物は必要ないという人が多いのかもしれない。

 とはいえ、8%から10%への引き上げは大きい。大きな買い物がない分、日用品、あるいはちょっとした贅沢品へ需要が向かう可能性は十分に考えられる。ただし日用品に関しては、軽減税率の適用もあるため、駆け込み需要を見込むとすれば、ちょっとした贅沢品が狙い目かもしれない。

 また、消費税引き上げ前に大きな買い物を「検討している」約2割の層で、買いたいと思っているものの内訳は、家電、自動車、住宅、旅行や趣味などの娯楽の順で高くなっている。このうち、家電や娯楽に関する商品は、EC店舗にとって狙いやすいところではないだろうか。

 さらに、いずれにせよ増税までに一定の時間があることを考えると、今のうちにお客様にアンケートなどを実施して、自社のお客様のダイレクトな気持ちを把握しておくことができれば、より効果的な対応ができるだろう。2014年の増税前後のデータが出せれば、それを参考に対策を行うことも、より確実な効果をもたらしてくれるはずだ。このように考えていくと、増税の時期がいつになるにしろ、今、EC店舗にできる対策はいくらでもあり、それを今することが、競合他社との差別化につながるだろう。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事