世界40カ国以上でチケット仲介、eBayがTicketbis買収

ECのミカタ編集部

世界40カ国以上に展開するスペインのオンラインチケット売買仲介プラットフォーム「Ticketbis」 とeBay Inc.との間で、5月26日(木)、イーベイによるチケットビス買収が決定した。なぜチケット売買市場なのか、イーベイの狙いはどこにあるのか、今回の買収の背景と、各社CEOのコメントから考えてみる。

買収で何が変わる?拡大するチケット売買市場

 今回の買収により、Ticketbis(以下、チケットビス)は、eBay(以下、イーベイ)のグループ企業であり米国における最大手のStubhub(以下、スタブハブ)の傘下となる。これによりスタブハブは、チケットビスが展開する南米、ヨーロッパ、アジア環太平洋のシェアを獲得し、47の市場シェアを獲得することになり、チケット売買市場のグローバル展開・流通額などにおいて世界規模で最大手となる。買収額は現時点で非公開とされている。

 スタブハブは、チケット売買市場を普及させるべく2002年に開業。現在では、米国のチケット二次流通市場におけるトップ企業となっている。2006年には、出品者と購入者両方の保証を業界初めて提供するなど、業界を牽引してきた。また、業界初となるチケット売買スマホアプリの開発や、チケット関連企業として初となるスタジアム命名権を持つなど米国でその存在感は圧倒的だ。近年は、グローバル展開に力を入れており、イギリス(2012年3月)、ドイツ(2015年9月)、メキシコ(20016年5月)とヨーロッパや中米への進出を果たしている。

 チケットビスは、2010年にスペインで誕生したチケット売買仲介サイトで、ヨーロッパと中南米を中心に現在まで50カ国以上でチケット販売プラットフォームを展開している。2014年の売上高は約5400万ユーロにのぼり、今年3月には約300万ユーロを資金調達するなど急成長を遂げている。2014年には日本法人を設立、2015年の間に売上を50%伸ばし、日本を中心にアジア圏での事業拡大を図っている。また、登録ユーザーが自身で参加できなくなったイベントや余ったチケットを売買できるというC2Cという形をとり、販売を終了したチケットも購入が可能だ。

 今回、チケットビスがスタブハブの傘下に入ることで、ユーザーはより広範囲なイベントチケットへのアクセスが可能となり、世界中のどんなイベントへも参加しやすくなる。またスタブハブは正式に、日本を含めたアジア市場へ参入することとなる。※今回の買収決定を受け、2016年夏頃を目処に取引が完了する予定。

スタブバブ・イーベイ・チケットビス 各社CEOのコメント

 以下、スタブバブ・イーベイ・チケットビスそれぞれのCEOから、今回の買収についてのコメントが発表されている。

スタブハブ 最高経営責任者(CEO) スコット・カトラー(Scott Cutler)氏
「近年、人々の生活においてモノより体験などのコトを重視する傾向にあります。世界中のイベントを体験したい場合、最大の障壁は参加するためのアクセスです。今回は、チケットビスの買収でその障壁を取り払い、世界中にある魅力的な体験により多くの人が参加ができるようになります。」

イーベイ 最高経営責任者(CEO) デヴィン・ウェニ(Devin Wenig)氏
「チケットビスの買収は、ビジネス面では、スタブハブのグローバルにおけるプレゼンスを急激に高めることになります。今後も、イーベイのグローバルにおける認知がスタブハブの顧客獲得へ繋がると考えております。また、今回の買収により、イーベイはスタブハブへの注力を続けていくことを再度明確にするものでもあります。」

チケットビス 最高経営責任者(CEO) アンデル・ミチェレナ(Ander Michelena)氏
「イーベイグループ、スタブハブブランドの一員として、チケット業界のイノベーションの貢献できることを心から楽しみにしております。新体制により、世界中のイベントチケット提供者に対して、今まで以上に大きな価値を提供できると確信しております。特に、チケット売買市場が創世記である国にとって、その効果は計り知れません。世界中のファンがいつ、どこでも、好きなイベントへ参加できるよう、スタブハブとともに、サービス向上をしていきたいです。」

モノからコトまで、イーベイのグローバルな存在感

 チケット売買は、EC店舗とは関わりが薄いように思われることもあるが、商品というモノを扱うか、体験というコトを扱うかの違いで、仕組み自体は非常に似ているのではないだろうか。また、チケット売買市場が拡大していることからも、モノだけでなくコトを買うことに価値を見出すという流れも感じられる。さらに言えば、EC店舗が扱うのは、何もモノだけでなくても良いのだ。

 イーベイは今回の買収により、グローバルな存在感を高めたい狙いだ。モノを買うことでは接触のなかった層が、チケット売買を通じてイーベイに連なるサービスを利用することで、世界中でユーザーが広がることになるだろう。日本をはじめとしてアジア圏で急速な成長を見せているチケットビスがイーベイグループに加わることにより、日本への影響も見られるはずだ。


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