不満がお金になる時代?炎上を防いでファンを作るには

ECのミカタ編集部

インターネットは全世界とつながる。それはメリットでありデメリットでもある。そのメリットをどう活かし、デメリットを減らせるのか。BIGLOBEが実施した「ネット炎上に関する意識調査」と、不満買取センターが行っている「不満の買取」という新しいサービスから、EC店舗がユーザーと交流する際に気をつけるべきポイントを考えてみる。

炎上に参加するのは少数派?なぜ炎上してしまうのか

炎上に参加するのは少数派?なぜ炎上してしまうのか

 格安スマホや格安SIMを提供するBIGLOBEが、インターネットを利用する全国15歳~82歳の男女、合計1,288人を対象に、2016年5月6日~5月10日にかけて実施した「ネット炎上に関する意識調査」の結果を発表した。

 調査によると、男女・年齢問わず「ネット炎上」という言葉は広く認知されていることが分かった。だが、その中でネット炎上に参加した割合は、「参加するつもりで投稿した」4%・「参加するつもりはなかったが結果的に参加する投稿になった」5%、合計で9%と決して高い数字ではない。つまり「炎上」とはいうものの、実際に参加している人は少数なのだ。

 ネット炎上に参加した理由としては、「不正や不公平と感じたから」57%・「親切心から忠告してあげたいと思ったから」38%・「誰かが投稿した批判の内容に共感したから」37%が上位を占めている。逆に、ネット炎上に参加しない理由としては、「炎上に興味がないから」42%・「炎上に参加しても良いことはないと思うから」36%・「炎上を見ると、嫌な気持ちになるから」23%が上位を占めている。

 他の質問項目を見ても、ネット炎上については、多くの人が消極的な意見を抱いていることが分かる結果となっている。それにも関わらず、最近のニュースを見ても分かる通り、ネット炎上が頻発しているのはなぜだろうか。

EC店舗も要注意、炎上を防げるタイミング

 調査から感じられるのは、まず積極的にネット炎上に参加する層があり、それに引っ張られる形で結果的に参加していく層がある。つまり、最初の層から次の層へとの広がる前に抑えることができれば、ネット炎上は防げるのではないだろうか。まず、ネット炎上が起きそうだという最初の火だねを察知すること、そこで適切な対応をとることで、炎上の確率は低くなるはずだ。

 EC店舗にとっても、ネット炎上は無関心ではいられない話題のはずだ。SNSを使ったプロモーションや、ECサイト上のレビュー、あるいはカスタマー対応など、炎上の可能性は少なくない。一度炎上してしまうと、店舗イメージにダメージを与え、対応の労力も多大になる。そうなる前に、火だねを察知するにはどうすれば良いのだろうか。

 そこでヒントになるのが、炎上になる一歩手前、ユーザーの不満を理解し解消することではないだろうか。そういった点で興味深い取り組みがある。

その不満、買い取ります。不満データ活用法

 株式会社不満買取センター(FKC)と大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は研究コミュニティーへの研究用データセット提供で提携し、NIIは5月25日より、FKCが運営しているサービス「不満買取センター」で買い取られた「不満」と投稿者のデータを「不満調査データセット」として研究コミュニティーに無償提供することを発表した。

 不満買取センターは、2012年6月19にち設立。2015年3月より、世の中のあらゆる不満を1件1円〜50円で買い取るという「不満買取センター」の提供を開始した。買い取りはポイントで行われ、Amazonギフト券に交換することができる。2016年5月25日時点で買い取られた不満の総数は400万件以上となっている。不満がお金になるという全く新しい発想のこのサービス、不満にはそれだけの価値があるということを表しているのではないだろうか。

 FKCは「不満のない社会の創出」を長期ビジョンに据え、不満意見を収集し、不満意見を利用した意思決定や製品改善の支援を行なっている。「不満買取センター」のサービスは一般生活者の不満意見のみを収集しており、また、意見発信者の情報収集も積極的に取り組んでいる。FKCではこうした特徴がある「不満」データはweb上の評判情報の解析・分析に適したデータセットであると考え、研究コミュニティーへの公開を決めた。

ユーザーの不満を理解し、可能性につなげるには

 EC店舗においては、ユーザーの不満を理解し解消することで、炎上や大クレームにつながることを防ぎ、逆にそこから新たな可能性を開くこともできる。だが、不満を知るためにはどうすれば良いのだろうか。

 例えば、日々の接客で寄せられるユーザーの言葉の端々、あるいは明らかなクレームがあったら、チャンスかもしれない。1つ不満やクレームがあれば、言わないだけで同じ気持ちを抱いているユーザーは他にも多くいるということが多いはずだ。炎上の話題で前述したように、とにかく、最初の火だねを広げないことが重要だ。それを意識して、察知能力を高くすることが、EC店舗の成長につながっていくだろう。


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