Amazonが配送重視する真意とバックヤードの未来

ECのミカタ編集部

今年も行われたバックヤードフェス、その中の目玉企画として「ゲストトーク」が行われた。
今回はその様子をお送りしようと思う。

【対談後編】モールで値下げせず、売り上げをあげるたった一つの方法
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【突撃取材】バックヤードに光を。当日の気になる当日の様子はこちら。
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業界大物!貴重な対談

 ゲストは今を駆け抜けるお三方。株式会社コルク 佐渡島 庸平さん、株式会社ピー・ビー・アイ 高木 孝さん、そしてモデレーターのテラオ株式会社の佐々木 伸一さんである。佐々木さんにはECのミカタ内でコラムを書いていただいており、その大好評の第一回目はこちらからご覧頂ける。
どん底から這い上がった男の成功運営ノウハウhttp://urx.red/ucb3

 佐渡島さんは2002年に講談社に入社、『宇宙兄弟』を累計1600万部超のメガヒットに育て上げる。そして「作家の価値を最大化することを使命」とし設立した株式会社コルクは作家のエージェントの会社である。

 高木さんは2008年9月にEC事業の発展を目指して、同社IT・EC事業部を分社化し、株式会社P.B.Iを設立した。企画が有名であり、楽天市場内で「4時間タイムセール」を初めて開催したのも同社が初である。

 佐々木さんは2003年に右も左もわからないまま楽天市場に出店しECを始める。元々どん底にいたが、そこから這い上がり、在籍中に楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを5度受賞。今は嫁の家業であるテラオ株式会社に転職して前年比300%の成長を遂げている。

 そんな3人が話し合うのが、「これからのECの話」である。主にAmazonの立ち位置と未来、そしてバックヤードの立ち位置と未来についてをお送りする。

Amazonの絶対領域にはECサイトは敵わない

Amazonの絶対領域にはECサイトは敵わないテラオ株式会社 佐々木 伸一さん

佐々木「地方や小さい会社や商材が派手ではない会社はよく『Amazonは自動販売機で、私たちは血の通った商売をやっている。』と言います。しかしこれを言う人たちはAmazonよりもいい接客をしていません。」

高木「Amazonは絶対叶わない領域を作る会社で、配送・物流はどこの会社も追わせません。Amazonの絶対領域に叶う訳ないんです。今までやってきたECのやり方を追従してもAmazonや既存店舗を超えられません。超えてくるとしたら今までの概念に囚われないやり方を考えている人だと思います。そういった点で佐渡島さんみたいな方がどのようにECについて考えているのか、気になります。」

佐渡島「私、mixiのコミュニティがすごいと思っていてオフ会では名刺交換などの自己紹介の前に共通の話題で盛り上がってから仲良くなります。そしてそのあとに自己紹介をするのです。安心して熱中できる話題を見つけてから、相手を知る。そうすると親近感が全然違います。人と出会って仲良くなるというのが、全ての行動の中で一番の目的だと思うんです。これを最も起こしやすいのがコンテンツ軸だと。コンテンツ軸でコミュニティを作ってその中で物販をしていくのが新しいECにおいての売り方なのではないかと思います。」

高木「EC事業者は最初、商品に行きがちだけど、本当はそうではないんです。最初にまずコミュニティに行くべきだと。」

佐渡島「そしてコミュニティを作るにはまずコンテンツが必要だと。売れるECでもそうだと思います。その例としてAmazonプライムでのオリジナルコンテンツがあります。元々Amazonが考えていることはどのような順番でやると最も最適化できるかということで、お客様を雑に扱っているというわけではありません。お客様を満足させる接客を先にした後で、配送をやるのは規模感がつかみにくいです。しかしAmazonは配送と安さで満足させた後に、コンテンツを入れ込んでいきます。具体的にはレビューにテコ入れして、質を上げていきます。そして次に接客にテコ入れするとなるとAmazonの資本力があるとbotで全部答えるようにして最高の接客にする、のようなことが可能になってきます。そして今Amazonプライムでオリジナルコンテンツを作り、収益性を期待せずにプライム会員への誘導をしていきます。つまりAmazonは絶対的な配送という安心の上に成り立つコンテンツだからこそ、コンテンツ自体の信頼も絶対的になってくるのです。」

佐々木「プライム会員にならないのが馬鹿馬鹿しいというコメントもありましたね。」

高木「スケールしといてコンテンツやクオリティを上げていくのですね。」

佐渡島「みなさんが言っている理想の世界と、Amazon創業者のジェフ・ベゾス(以下、ベゾス)が言っている理想の世界は実は一緒で、理想の世界へのたどり着き方をベゾスだけが知っているんです。他の皆さんはべゾスが言っている世界はトンチンカンだと思っています。しかし最も正しいことをベゾスがやっている可能性があって、理想主義者が現実を見ないで色々言っているのとべゾスの現実主義者で理想を叶えようとしている人、のように感じます。」

バックヤードの役割と未来

バックヤードの役割と未来左:株式会社コルク 佐渡島 庸平さん、右:株式会社ピー・ビー・アイ 高木 孝さん

佐々木「バックヤードが担うべき役割とはなんだと思いますか?私は効率化であったり、流れをよくすることが重要なのだと思います。ではなぜ効率化するのかと言うと、楽しいことや新しいことをやっていくための時間とお金を作ることが理由でしょう。また、注文したらこの値段でいつまでに届けますよ、ということがお客様に普段意識されていないけど、地面みたいなもので、全ての土台になっているのではないか、と感じています。」

高木「“バックヤード=決済場所”で極論いいのではないかと思います。広げてきたコンテンツがあって、それに対して『欲しい』と興味を持った人が、シームレスに違和感なく買えます。つまりバックヤードは買う方も売る方も違和感をなくすことなのでしょう。」

佐渡島「高木さんの話を聞いて思ったのが、ほとんどの人の努力って決済させるためにやっているではないですか。決済の前段階にみんな注力しています。しかし実際には決済した後の不安が一番大きいです。決済させるためには、決済後が一番安心できるといったサービスを提供し、アピールしていくべきなのだと思います。そっちのほうが勝ちやすいかと。ここで買ってよかったと思ってもらえるようなバックヤードのあり方が必要になってくるでしょう。」

高木「サザエさんの三河屋さんは商品が安いわけではないですよね。サザエさんの家に何があるか把握し、そろそろなくなるタイミングで『いかがですか?』と売りに行きます。三河屋のサブちゃんが来ないと困るというサザエさんの家にとってのライフラインになっているので、ECサイトもこういったようになっていくべきだと思うんです。」

佐々木「ECにおいても5年前には考えられなかったことが今、起きています。ほとんどの人がスマートフォンを持って歩いていくなんて想像がつきませんでした。何が正解か、よりも今何ができるのかということをフォーカスして考えていき、それが人の営みにとって本質であるのならば、世の中が変わってもご飯が食べられるくらいには支持してくれる人は出てくることでしょう。」

 ECにおいてバックヤードがいかに重要なのか、この話を聞いて痛感した。実際どんなに素晴らしい接客をしていても、どんなに素晴らしい商品を販売していても、その全てを支えるのは配送、バックヤードなのだ。Amazonの話でもわかるように、お客様を満足させる大前提としてあるのが、当たり前に感じられている配送である。その安心の配送の上にコンテンツを作るからこそ、そのコンテンツが生きてくるのだ。みなさんにもECにおいてのバックヤードの重要性にお気づきいただけたら幸いだ。

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