開業準備の手間を解消、ラクーン小売店獲得増加へ動く

　株式会社ラクーン（以下、ラクーン） が運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、店舗づくりの物件探しからデザイン・内装工事・採用・WEB制作までトータルでサポートを行う「IDEAL（イデアル）」を展開する株式会社TRUST（以下、TRUST）と業務提携したと発表した。

「Paid」等スーパーデリバリーの安心BtoBサービス

　ファッション、雑貨の卸・仕入れサイトのスーパーデリバリーは、2016年4月時点で、地域を超えた全国52,372店舗への販路拡大ツールとして効果を発揮し、小売店にとっては1,138社の出展企業とインターネットを通して取引できる環境を整えている。

　こうして、スーパーデリバリーが多くの小売店（実店舗）や企業(メーカー)から利用されている理由の一つには、新規小売店開業に嬉しいサービスが充実していることがあげられる。

　例えば、開業前の小売店であっても店舗物件が確定していれば会員登録を行うだけで仕入れをすることが可能であったり、さらには、掛売り決済サービス『Paid』を利用することで初回取引から後払いが可能となるなど、EC事業参入への入口を広く設けているのだ。

　しかし、入口が広く用意されているのにも関わらず、リアル店舗である小売店の開店準備に時間をかけてしまっては、ECサイトを開設するまでに体力が持たない。

　ましてや、最近では、リアルな店舗を持ちながらECサイトを運営する小売店も増えてきており、リアルとECでの垣根がなくなってきている。実店舗の開業準備に時間を取られていては、出遅れてしまう。

　そこで、遅れを取らないためにも、リアル店舗のデザインや内装工事を中心に、ECサイトの制作やWEB集客までもをフルサポートでサービスを提供するのが「IDEAL」だ。

小売店の強いミカタ「IDEAL」とは？

「IDEAL」HP内「スーパーデリバリー」紹介箇所

　IDEALには、店舗オーナーが開店準備として行わなければならない物件探しや店舗内装工事の業者手配、更にはHP制作やWEB集客など各分野ごとに経験豊富な専門スタッフが揃っており、店舗オーナーの「お金・時間・労力」を大幅に削減、総合的なコストダウンが実現できる。

　今回、ラクーンとTRUSTが業務提携をするにあたっての、具体的な流れは以下の通り。

1) IDEALはTRUSTサイト内にスーパーデリバリーの紹介ページを掲載（上の図参照）し、IDEALの顧客小売店に対してスーパーデリバリーの案内を行う。

2) スーパーデリバリーはIDEALの紹介でスーパーデリバリーに入会した会員に対し、店舗開業に関する情報提供や会費の優遇等の仕入れサポートを行う。

　これにより、スーパーデリバリーはIDEALのサイト内で紹介してもらえるため新規の小売店を獲得することができ、また、IDEALはスーパーデリバリーの充実したサービスを顧客に提供することができる。

　では、企業と小売店を繋ぐスーパーデリバリーの卸のサービスはどのような仕組みなのだろうか。

実は知らない卸売の仕組み、その役割とは？

　卸の仕組みについては、以前解説記事としてあげた「意外と知らない流通の要「卸売」の仕組み【解説】（https://ecnomikata.com/ecnews/9203/）」でも紹介したが、ここでもう一度おさらいしたい。

「卸を介す場合」（協力企業：株式会社ラクーン）

　上の図は、企業と小売店が商品とお金の取引をする中で、間に「卸を介す場合」の解説図になる。基本的に、流通の仕組みはこの流れが一般的であるが、意外と卸が担う役割については理解できていない部分も多いのではないだろうか。

　もし、卸が間に介入してこないと、消費者に届く商品の値段は安くなるものの、企業には代金を回収する手間と、商品を小売店別に発送しなければならない手間が発生してしまう。

　そのため、卸は企業と小売店との間に入り、商品とお金の取引をハンドリングすることで、企業そして小売店の負担を軽減するという役割を担っている。初心者の方に向けた更に詳しい解説はこちらから確認していただきたい。（https://ecnomikata.com/ecnews/9203/）

　小売店を立ち上げる難しさは、まさに今回、スーパーデリバリーとIDEALがフォローしてくれるところにある。EC店舗の立ち上げであればインターネット上で完結してしまうが、小売店はもちろんそうはいかない。

　だからこそ、スーパーデリバリーとIDEALが小売店の立ち上げを支援することで、首都圏だけでない地方の小売店増加による地域活性化が望める。

　また、全国の小売店がIDEALのフォローによりECサイトを開設することができれば、EC業界の盛り上がりも相乗効果として期待できるはずだ。

　店舗だけでなく企業にとっても、全国の名産を全国の消費者へ届けるために「卸」の役割というのは欠かせない。今回の提携は、店舗にとっても企業にとっても注目すべき一報なのではないだろうか。