楽天市場の料金体系が心機一転 遅延破損保証など発送面サービス強化も

システム料率の変更及び 一部サービス完全有料化

楽天は9月8日、楽天市場の出品者に対し料金体系の変更を告知した。
配送先CSVの無料ダウンロードなど一部機能を無料化する一方、システム使用料の課金対象を完全税込みに徹底するほか、週1で無料配信していたメルマガを一律有料化するなど、総合的に手数料が値上がりするケースが多い。
楽天の河野奈保執行委員は、「今までCSVや楽天ゴールドなど使用していなかった店舗にはコストアップになる可能性がある。だが、このような機能を自由使用できることにより、より効率的なサイト運営が可能かつ楽天市場のシステムを使い倒せるようになったと考えてほしい」としている。

無料化する機能は、配送先データCSVダウンロード、送り状ダウンロード、出店者向けサーバーデータベース「楽天GOLD」、「受注WEB API」に関する4機能の料金で、2015年1月1日より改正する。

メルマガは、従来週1で無料配信していた枠を廃止。従来の有料版メルマガ配信サービスの機能に統一し、一通あたり0.75円が追加課金される。2015年4月1日より実施。

モバイル経由のシステム利用料率も、出店プランに応じた課金体系に変更。PC経由の料率に0.5%加算した数値が改定後のモバイルシステム料率とする。これにより、従来安価プランで楽天参加していた店舗は実質値上がりとなる。

また、システム構築費用として、PC、スマホ経由問わず、売上の0.1%が追加課金する。2014年11月1日より実施。

物流面保証で安心強化 配送遅延や破損にも保証対応

一方、従来は商品の未着だけに適用していた保証の枠を、遅延や保証にまで範囲を広げ、店舗にかわり楽天が保証する補償サービスの見直しも義務付ける。
また、配送予定日の登録や配送状況の表示を義務付けたり、詐欺による振込被害を未然に防ぐため代金決済を自社グループで請け負う仕組みも始める。
利用者が安心して買い物のできる環境とサービスを充実させる。

その見直しに向け、現在は各店舗の指定した銀行口座の利用が可能だが、11月中旬より、利用者の振込先を楽天銀行の口座に統一する。
楽天を経由させることでセキュリティを高め安全性の向上を計ることが目的だ。

楽天ブランディングの徹底 多方面を自社で固める安心性と継続性

今回楽天が発表した、料金体系と物流補償面の見直しという二代施策には、より一層店舗を自社に根付かせようという意識が感じられる。
より深く自社と店舗の繋がりを構築する仕組みを作り、店舗の楽天離れやライバルモール流出を防ぐ側面を意識しての施策なのではないだろうか。

消費者イメージでAmazonに特化していたであろう、物流面でのスピード感や安心感を充実させることで、さらなる楽天市場の発展を目指していることもう伺える。
しかしその一方、消費者の訴求を統一化してしまうことで、本来配送業者や店舗が負うはずの責任も一元で請け負うというリスクも高まる。
消費者が求める物流面の満足へのハードルを上げることにより、一度上げたハードルを下げること無く維持し続ける難しさも容易な問題ではないだろう。

プラス面ばかりでなくマイナス面につながりがちな点も多いだろう見直し案であるが、そのリスクをいかに活かしていくのか。
楽天が今後どのような動きを見せていくのか、我々消費者は目が離せないだろう。