佐川急便が通販商品の後払いサービスを開始、アパレルなどのニーズを見込む

商品到着後、気に入れば支払うサービス

佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは、今月24日からインターネット通販で代金を後払いできるサービスを始めることを発表した。商品を実際に確認してから購入を決められるようにして、ユーザーの利便性を高めるものだ。

この新しいサービスの名は「SAGAWA後払い」。SGホールディングスのグループ金融会社が通販事業者に料金を立て替えて、配送を請け負う。限度額は5万円で、与信管理や請求書の発送もSG側が引き受けるという。
督促業務も佐川急便が請け負う。通販事業者の代金回収のリスクを身代わり的に請け負うことで、受注を増やす狙いがあると思われる。
「SAGAWA後払い」は、ネット通販のほか、カタログ通販やテレビ通販にも対応する。

ユーザーは自宅に届いた商品を試して、気に入れば2週間以内に代金を支払う。商品の到着後に届く請求書で指定された銀行口座などに振り込んでもよいし、コンビニで支払ってもよい。インターネットバンキングを利用すれば、自宅にいたまま決済できる。
もし、不満があれば、返品も利く。返品の条件は通販事業者や商品などにより異なるが、一般的には「値札を外さない」「汚れていない」といったことが条件になる。

アマゾンやクロネコヤマトなどを意識したサービス拡大

今回の佐川急便のサービスは、アマゾンを意識したものだろう。アマゾンでは「未開封・未使用」を原則として、商品到着後30日以内の返品を受け付けており、それがユーザーの安心感につながっている。

それにしても督促業務まで受け負うとは、佐川急便も思い切った戦略に出たものだ。
競合のクロネコヤマトは24時間稼働する物流基地を使って東京・中京・大阪を結ぶ計画を進めている上に、来春には佐川急便と同じような後払いサービスを開始する計画もある。また、日本郵便は全国の郵便局をベースとするだけでも、圧倒的優位に立つ。佐川急便としても、手をこまねいてはいられないのだろう。

後払いはアパレル系の通販などと相性がよさそうだ。一回着てみてサイズが微妙に合わないとか、いまひとつ気に入らない場合は返品できるので、ユーザーにとってメリットは大きい。

「SAGAWA後払い」によって佐川急便がどのくらいシェアを伸ばしていくかはわからないが、宅配便業者のサービス合戦が加速することはまちがいない。