全国銀行協会「振込24時間365日化」 2018年中稼働目指し新システム構築へ

重い腰を上げようやく営業時間改善に

朝日新聞によると、全国銀行協会は、入金振込を24時間365日行えるようにする新たな決済システムを導入する方針を固めた。2018年中の稼働目指し進めていく見通しであるとのこと。
企業間取引が当たり前に24時間行われる世の中となり、ECによるBtoCやCtoCの取引も同じく24時間化。ビットコインなど銀行を通さない決済サービスも広がる中、銀行はユーザーの利便性向上が求められ続けていた。
約一ヶ月前、弊誌内でもご紹介した記事の中にりそな銀行がグループ間銀行で振込の24時間化を行ったものがあったが、一ヶ月遅れることようやく動きが本格的になってきたようだ。

参考記事
・りそな銀行24時間送金可能に グループ内の三銀行が対象に
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=3518

振込ができる全国的な決済ネットワークの導入は、1974年にスタートした全国銀行データ通信システム(全銀システム)以来、実に40年ぶりとなる。全銀システムを運営している全銀連の傘下組織が先週、大手銀行や地方銀行の計11行の意見を踏まえ、新システムを作る方針をまとめた。
大手行の担当者によると、英国で08年に動き出した決済システム「ファスターペイメントサービス(FPS)」をお手本にした新たな決済システムは振込専用とのこと。主にATMやインターネットでの利用を想定している。

開発費は約50億円を見込んでおり、約1,400の金融機関が使っている全銀システムの開発費は800億円。新システムは、振込機能に特化した全銀システムのコンパクト版であるとのこと。

即時決済の需要増す昨今こそ改革のとき

現行のシステムをベースに行っている、営業時間を1時間だけ延長する動きは2015年内にも実現の可能性がある。
しかしこのシステムに関しては、長い歴史を持つが故に基本設計理念が古く、レガシーなシステムを未だ使うことでメンテナンスコストがかさみがちであるという意見もある。そこに改良を重ねているため継ぎ接ぎ状態になっているはずで、この古いシステムの維持コストが我々消費者に高額の手数料という形で転嫁されていると、週刊朝日の中で実業家の堀江貴文氏が語っている。
「例えばGoogleの検索は無料で行われているが、銀行の決済よりもシステムの負荷は高いはずだ。しかし前者は無料で後者は有料である。それは先述の通り、システムが古いままだからなのだ」と続く。

今回、全銀システムのコンパクト版として新システム開発に着手するとの報道だが、ここで言われている古いままのシステムを元にするのでなく、お手本となるFPSは英国で03年スタートしたシステムであるため、願わくば高額な手数料の見直しも同時に行われることを期待したい。

例えば、従来の土日祝日休み9~15時の決済時間の場合、ECユーザーがどうしても週末に必要な物を購入する際など「間に合わないから割高でも実店舗まで行って買おう」となるケースも多かったはずである。これでは即日発送が可能な業者であってもカバーしきれない場合も多く、金融機関の決済対応時間がEC業者のコンバージョン率に与えている影響はそれなりのウエイトを占めている。
今回の全国銀行協会の取組が完了し、入金振込の24時間365日化が完全に導入されれば、ユーザーはよりECを身近に利用できるようになるだろう。「週末夜間限定セール」など、従来ではなかなか実現が困難であった新しい形の企画も増やしていけるだろうし、ユーザーにとってもEC業者にとっても大きなネックであった課題が1つ解決できそうな展開は歓迎したいものである。