「PARCO CITY」終了、新しい接客の形へ

オンラインショッピングはよりユーザーの身近に

株式会社パルコは、運営するファッション通販サイト「PARCO CITY」のサービスを、2015年1月19日(月)をもって終了した。
このニュースはパッと見、バッドニュースのように思ってしまうが実はそうではない。以前より同社が「PARCO CITY」と共に運営していた、「カエルパルコ」というオムニチャネル型ECサイトに主力をつぎ込むための「攻めの決断」であるからだ。
パルコが2014年5月より開始した「カエルパルコ」は、潜在顧客との日常的な接点創出を目指したオムニチャネル施策で、日本国内でいち早くオムニチャネル化の実現を目指した革新的なECサイトである。スマホやブログなどを切り口に、SNSやO2Oサービスの活用でWEB接客を実現している。

参考記事
・パルコが展開するオムニチャネル 潜在顧客と日常的な接点を創出
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=1838
・パルコ、大胆展開のオムニチャネル戦略 対応エリア拡大と新たなスマホアプリ連携
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=3723

ユーザーは、スタッフブログに友人のブログを読む身近さで接し、着こなしやコーディネートなどのアドバイスをもらうこともできる。ただネット上でショッピングができるだけではなく、身近なツールで気軽に商品について問い合わせることができる点が大きな魅力となっている。

パルコが従来のECサイトを終了し尽力に踏み切った「カエルパルコ」に見る「ユーザーが日常的に利用しているタッチポイントから気軽に質問が行える」という接客切り口は、同社がオムニ型百貨店として成功の道を歩んでいることからも分かるように、今後非常に重要になっていくのではないだろうか。

例えば、オムニチャネル化という概念の元見られる同様のサービスでは、トランスコスモスが日本テレビ通販番組に「オムニチャネルサポートPowered by LINEビジネスコネクト」の提供を開始した。
このサービスは、通販番組の視聴者からの問い合わせにLINEのトーク機能での対応を開始したもの。従来のテレビ通販の課題にあった、放送時間が深夜帯になることや、放送時間帯に集中する注文電話を捌き切れないことなどを、LINE対応を可能にしたことでコンタクトチャネルを分散化させ解決に向かわせる。課題解決だけでなく、入電数の削減や新たな顧客の取り組みなど、様々な成果が上がっている。

ポイントはユーザーとの心理的な距離?

ブログやLINEなど、ユーザーの日常に根付いたチャネルから問い合わせを行えるということは、よりユーザーの「購入」という体験も日常に近付くのではないだろうか。従来、友人や親しい人とのコンタクトツールであったものでやりとりを行うことで、販売店とユーザーの心理的な距離も縮まるだろう。
そのような関係性をユーザーと築くことで、従来の販売スタイルでのネット通販などでは考えられなかったモノの売れ方が今後スタンダードになっていくかもしれない。

競合が増えていく中で、ユーザーにとって身近なWEB接客を実現し心理的な距離を縮めていくことは、ユーザーの不安感を無くし心地よいショッピングの場を提供していくことに繋がる。各企業が見せる新しい試みがどのように進化していくのか、非常に楽しみである。