最終的に「どのように」リーチするのか?でお客様の受入態度が変わる

伝達経路(チャネル)ついてはターゲットの受入特性とチャネル特性を比較して経路を検討。「メール開封が無くになったらDM」などシナリオ中で横断的に使用することも。また必ずしも「デジタルが良い」とは限らない。

若尾和広のコラムはこちら

【第2回】マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6473/
【第3回】マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6720/

こんにちは株式会社ブレインパッドの若尾です。

当コラムも今回が最後となりました。
過去4回に渡って「誰に」「いつ」「何を」伝えるのか?といったシナリオ設計のお話をしてまいりました。

コミュニケーション相手のことを知り、適切なタイミングで伝えたいこと伝えるべきことを伝える…それもお客様からどのように見えるのかで効果が変わってきます。

現在のマーケティングオートメーションでは伝える方法(チャネル)が広がって来ていますので、最も効果的かつ効率的な方法で伝えたいと皆様も考えていると思います。

大きく分けて現在マーケティングオートメーションで活用されているチャネルは以下の5種かと思います。

■5つのチャネル

 1.Eメール       :最もポピュラーなチャネル、低単価でリーチ
             のカバレッジが大きいがスパムも多く開封率
             は低下しつつある。
 2.SNS/SMS       :LINEやキャリアのSMSなどメールよりもより
             パーソナルなチャネル。マーケティング用途
             で使用されるシーンが少なかったため、販促
             プロモーション企画には注意が必要
 3.ダイレクトメール  :オンデマンド印刷の技術が発達したことで、
             HTMLメールなどと同様に対象毎にコンテンツ
             の最適化が可能に。判型が大きく取れるため
             表現力が豊かでサンプルなどの添付も可能
 4.アウトバウンドコール:リーチ可能な時間が限られ高コストだが、
             受注プロセスと一体になっているためクロー
             ジングには効果が高い
 5.営業スタッフ    :コールセンターと同様に最も高コストのチャ
             ネルだがクロージング力は高い

ECなどネットで完結するビジネスであれば主にEメールとSNSなどを使用するかと思います。しかし、必ずしもデジタル系のチャネルのみが有効な訳ではありません。ECサイト会員にオンデマンドDMなどを送付して見ると、メールと比較してかなりの高レスポンスを得ることがあります。もちろん、オンデマンドDMはリーチにかかる時間もメールに対して長く、コストも数十倍になりますのでこれまでと同じプロモーションではROI(コスト対効果)が見合いません。

しかしながら前回の「誰に」「いつ」「何を」の組合せシナリオでもお話しましたが、例えば過去実績の大きな優良顧客の休眠開拓や取引を開始したばかりの初期客の固定化シナリオのみなど、「誰に」の区分で期待されるLTV(生涯収益)に見合うのであれば、これらの高コスト媒体も有効となります。プロモーション単体のCVRだけでなく顧客の育成・維持にも着目してこれらのシナリオ設計をすることが重要と言えます。

また「いつ」の回でもお話しましたが、シナリオによってはリーチに要する時間が重要なケースもあります。

例えばカートドロップ(カゴ落ち)など、トリガーイベントからリーチまでの時間があまり取れないケースでは(カートドロップではお客様が購入意向を持ってカート投入した事実があるため、数時間から数日で購入意欲が減少もしくは他社へスイッチの可能性がある)DMのように数日後に送っているのでは間に合いません。

メールもしくはLINEのような常にお客様がチェックしているチャネルでリマインドを行うことが効果的です。

そして逆に、表現力の面ではSNS/SMSなどでは主としてテキストのみとなり、画像を送ったとしても最小限のコンテンツとなるため図表などを使用した詳細なコンテンツには向いていません。

やはり基本は「誰に(今後の収益性とイベント行動)」を優先に考え、「いつ」に「何を」伝えるシナリオなのか?と考えた上で、「どのように」を決定するのが良いかと思います。

前回もお話しましたが、マーケティングオートメーションでのシナリオ設計は大方針で重点対象を決めて、まずはその対象に対するシンプルなシナリオを実施することで小さくPDCAサイクルを回すことから始めることが重要です。

5回に渡って行ってまいりました当コラムもこれで最後となります。マーケティングオートメーションの世界は日々あらたな技術やシステムが登場し、めまぐるしく変化していますが、その目指すところは究極のOne to Oneマーケティングの自動化です。基本的な考えをご理解いただければ自社に必要なサービスの選択やシナリオの設計に迷うことは無くなるかと思いますので、迷ったら「誰に」「いつ」「何を」「どのように」に立ち返っていただければと思います。

最後に、弊社ではCRMやマーケティングにまつわる各種分析やマーケティングオートメーション導入のためのコンサルティングなど行っております。

顧客分析・販売分析、マーケティングオートメーション導入の際は是非お声掛けいただけますと幸いです。

ありがとうございました。