【連載コラム 第1回】DeNAのショッピングモール事業は「ユーザの声」から生まれた

DeNAの「e」に込められた想い

現在ではゲーム事業や横浜DeNAベイスターズを通じて皆さまに知っていただく機会が多いDeNAですが、1999年の創業後に初めて提供したサービスは「ビッダーズ」というオークションサイトでした。社名の「DeNA」の「e」には、創業者である南場の「eコマースの新しい遺伝子を世の中に広めていく”DNA”でありたい」という想いが込められています。


私がDeNAに入社したのは2000年の7月。「ビッダーズ」の提供開始から約半年が経過した頃でした。以来、EC事業に従事し続けて16年、ビジネスメンバーでは私が最古株です。

当時のDeNAは社員が30人くらいでオフィスもマンションの一室で狭く、提供しているサービスは前述の「ビッダーズ」だけ。ネット界におけるど真ん中のビジネスモデルで、業界No.1の「Yahoo!オークション(現在はヤフオク!)」さんに対抗しようと奮闘していました。

幸い「ビッダーズ」には多くのユーザが集まり、にぎわいを見せていましたが、カスタマーサポートやシステムの開発、運用面でコストの問題を抱えており、業績は赤字でした。

ユーザの声から生まれたショッピングモール事業

ユーザの声から生まれたショッピングモール事業

そんな中で、「ビッダーズ」を通じて商品を販売する法人や個人事業主の方々から「もっと(自社の商品を)売りたい」という要望が多く寄せられるようになりました。オークションは手軽に商品の売買が行えるメリットがある一方で、法人や個人事業主の方からすると、出品作業や落札希望者からの質問への対応、梱包や入金確認の手間に加えて、案件によって落札価格が異なるオークションでは、収益の見込みを立てることが困難だったのです。そこで、私たちは定額での固定販売をトライアルで行うことにしました。


2000年の11月から12月にかけて行ったトライアルは好評で、手応えを感じた私たちはモール業態での事業を開始することを決定します。DeNAのショッピングモール事業は、ユーザの声から生まれました。


それから約半年でモール機能を開発、2001年5月に「ビッダーズ」をオークション&ショッピングサイトにリニューアルしました。当時の店舗数は200ほどでした。

オークションで集客を行い、モールの店舗で商品を購入いただくという流れを作ることができ、翌年にはショッピング専用サイト「ビッダーズショッピング」を開始。とはいえ、業績はまだまだ赤字。



DeNAが初めて黒字化したのは2003年。ついに、やっと、念願の黒字化。これによって、会社が目指す「上場」へ向けて駒を少し進めることができました。

そしてDeNAは、2005年2月に東証マザーズへ上場を果たします。



その後もDeNAは「モバゲータウン(現在はMobage)」の提供をはじめ、決済代行サービスの株式会社ペイジェントの設立、株式会社エアーリンク(現在は株式会社DeNAトラベル)の子会社化など、事業を拡大させ、現在はゲーム事業やエンターテインメント事業、キュレーションプラットフォーム事業など様々な事業を展開しています。

「DeNAショッピング」の現在とこれから

「ビッダーズ」はオークション機能の提供を終了しましたが、「DeNAショッピング」に改称してショッピングモールとしてサービスを続けており、沢山の店舗さまにご利用いただいています。担当コンサルタントによるサポートや、モールとして初めて導入した「KARTE」が好評いただいているほか、「DeNAトラベル」と共同で横浜DeNAベイスターズの支援企画を実施するなど、前例のない取組みにもチャレンジしています。また、今後はDeNAグループが運営するキュレーションメディアとの連携も積極的に行って行ければと考えています。


次回からは、「DeNAショッピング」ならではの取組紹介はもちろん、店舗さまの成功事例などの紹介、他社様との協業についてお話していく予定です。