オッジに学ぶ顧客への姿勢~こだわりが売れる商品を生む

ECのミカタ編集部

 1978年から続くチョコレートメーカーであり、ECサイトも運営しているオッジ。顧客からの信頼も厚く、評価が高い。なぜ多くの人を虜にするのだろうか。

 歴史とともに、オッジの信念を探っていく。

飛行機での何気ないやりとりが人生を変えた

 「おひとついかがですか?」

 飛行機でたまたま隣り合わせた婦人がそう聞いた。そこにあったのは、フランスの小さなレストランで作ってもらったというホイル紙に包まれたチョコレートケーキ。このチョコレートケーキが後に松濤 眞美氏の人生を変えることとなる。

 1978年、チョコレートメーカーである株式会社オッジ(以下、オッジ)を創業した松濤 眞美氏。東京で歴史のある寺院の次男として生まれた松濤氏は、中学時代から洋画を学び、東京農業大学の農芸化学科に進学。在学中は、食品における微生物発酵や酵素の役割などについて研究し、卒業後は醸造試験所に就職した。さらにビスケット製造会社に転職し洋菓子の製造技術を勉強した後、30代で独立。独立後も洋菓子製造会社を起業し経営する傍ら、洋菓子の製造・販売を手がける大手メーカーの創業にも参加するなどという経歴を持つ。この経歴から研究熱心だということが伺える。

 そして松濤氏の身に起こった飛行機での出来事は、新しいチョコレートの味のヒントを求めて訪れたフランス旅行の帰りだった。婦人から渡されたチョコレートケーキを何気なく口にした松濤氏。そのとき身体に衝撃が走る。美味しいという言葉では表現しきれないが、あまりに美味しすぎたという。それからまもなくチョコレートケーキの味が忘れられずに研究に没頭することとなる。

 「あんな極上のデザートを日本でもたくさんの人に味わって欲しい」そんな想いで徹底的にレシピを追求。そして遂に導き出された味。それがオッジが誇るロングセラー商品「ショコラ デ ショコラ」だ。

 オッジは1978年の創業以来、多くの人にチョコレートを通して人生へ華を添えてきた。今は目黒の本店を始めとして関東近郊に14店舗、そしてECサイトを運営している。いくつ季節が変わり、時間が過ぎて時代が変われど、オッジの信念は変わらない。“その小さな一片で傍らに寄り添い、お客様の人生を豊かにすること”であり、今もなお引き継がれている。そしてお客様の笑顔が、これまでのオッジを作り上げてきた。

ECも実店舗も、オッジが貫いている信念や本質は同じである。そしてブランドにかける想いは、実店舗へ訪れることができない人にも、ECを通じて届けることができている。なぜ顧客からの信頼も厚く、評価が高いのか。ここで追っていきたいと思う。

 オッジ随一の「ショコラ デ ショコラ」は、他のデザートにはないような独創性に溢れている。見た目はシンプルなチョコレートケーキだが、口に含めばそのイメージは直ちに一変される。舌の上で溶けていく中で感じる濃密なカカオの味わい。そしてきめ細かい舌触りは、食べる人を思わず笑顔にする。まさにオッジの信念でもあるように、お客様の人生をチョコレートによって豊かにしているのだ。

譲れない“手作り”へのこだわり

譲れない“手作り”へのこだわり「ショコラ デ ショコラ」

 オッジは、自社の代名詞である「ショコラ デ ショコラ」を始め、様々なチョコレート菓子を製造・販売している。注目していきたいのは、お菓子作りへのこだわりだ。オッジの商品作りは、妥協のない素材選びから始まっている。世界最高峰の洋酒や素材を惜しげもなく使い、イメージした味に合うクオリティを求め続けているのだ。お客様の人生を豊かにする商品を作るために。

 また、商品は職人によって手作りされて、店頭またはECサイトに並んでいる。手作りだと、もちろん効率が悪くなり大量に生産することができない。作業を機械化し大量に販売する傾向がある現在において、1つ1つ商品を手作りして販売しているのは珍しい。「ショコラ デ ショコラ」においては、一度に120本しか焼くことができない。

 なぜこのような非効率な製造を行うのだろうか。それはオッジのお客様に対する想いが深く関わっている。そう、オッジは生産効率よりも、お客様に感動してもらえる味を最優先しているのである。ECというものは、インターネットの中で買い物を行うことができるため、便利である。

 しかしその反面、人と人の生身の交流がないため、なんとも無機質である。そんな中でオッジは機械的なイメージを感じさせない。その秘密は、徹底的にこだわった商品にあるのだ。職人が1つ1つ愛情込めて手作りしたお菓子は、機械的なインターネットを通しても、しっかりとお客様の口の中でチョコレートとともに溶け出していく。ECという舞台で、商品にておもてなしを実現しているのである。

ECサイトをリニューアル、その真意とは?

 そんなオッジだが、今年ECサイトリニューアルを行った。リアル店舗は東京近郊を中心に展開しており、地方のお客様へも商品を届けたいという想いから10年前にEC事業をスタートした。当時、“全国のお客様へオッジのチョコレートを”という想いからオリジナルで作り上げたECの仕組み。この仕組みは多くの人へ10年間もの間、商品を届けていた。

 しかし今回、最高の商品だけでなく利便性も提供したいという一心で、陳腐化してしまったECサイトをリニューアル。リニューアル後はお客様がより使いシステムになり、手軽に、そしてスピーディーに買い物を楽しむことができるようになった。そして実際にお客様からは、使いやすくなった、見やすくなり買い物が楽しくなったという声が届いている。

 ECでの購入に満足してもらい、最終的にオッジのチョコレートを口に含んでもらい、お客様の人生を豊かにするために行われたサイトリニューアル。今まで以上にECでの購入者を増加させ、今まで以上に全国へオッジのチョコレートが配送されることだろう。ECだからこそ、地域関係なく多くの人を笑顔にすることができるのだ。

 オッジの、お客様を幸せにするための商品への揺るぎないこだわり。最高峰の商品を作り上げることができれば、お客様はその商品を求めるようになる。現在EC業界ではいかに値下げをして購入してもらうか、が主流になりつつある。しかしこだわり抜けばその想いはお客様へ届き、“売れる”ようになるのだ。その商品、いや、その作品にファンが付く。

 オッジの経営は、いつでもお客様のために行われてきた。そしてこれからも。今日もオッジはお客様へチョコレートを通して、華のある人生の1ページを届け続けている。


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