超一流コンサルタントが初公開。契約を取れる企画書作成のコツとパワポの裏ワザ

古西なつ子

真剣にレクチャーに聞き入る参加者たち

一流講師陣がわかりやすく教えてくれる、と大人気のJECCICA(ジャパンEコマースコンサルタント協会)勉強会が開催されました。第9回のテーマは『ECコンサルの資料作成術』。契約を獲得するためにカギとなる資料づくりのポイントとコツを、松本順士JECCICA理事がレクチャーしてくれました。松本理事は、4年で年商30億円のECサイトを作った経験を持ち、コンサルティング実績は1,000社以上。数々のクライアントを成功に導いてきました。初公開となった一流コンサルの資料づくりの秘訣とは!?

プレゼンが上手なだけでは契約はとれない。企画書が大切なワケ

プレゼンが上手なだけでは契約はとれない。企画書が大切なワケ企画書作成のノウハウをわかりやすく解説する松本理事

トークやプレゼンが上手で、その場で相手を説得できれば契約がとれるでしょうか?
答えはNO。
なぜなら、企画のプレゼンや話をする「担当者」と、実際にプロジェクトの決裁権を持つ「決裁者」が違う、というケースも多いからです。

このように、企画書を作る際に気を付けるべき重要ポイントがあるそうです。
勉強会でレクチャーいただいた内容の一部をご紹介します。


【ポイント1 説得する相手によって企画の方向性や内容を決める】
「誰に対して提案するか」を考えないで作成すると、ズレた企画書になってしまいます。
企画を求めているのは誰なのか把握して、相手のニーズを的確に掴むことが重要です。
担当者の経歴ややりたいことなどを考慮しつつ、決裁権を握る決裁者の希望も打ち合わせで聞いておくことが大切だそうです。

【ポイント2 説得力をアップさせる情報収集を行う】
相手を説得するには、核心をつく企画書を作成しなくてはなりません。そのために情報が重要になります。
裏付けとなる事実が多ければ多いほど、提案する相手に対する説得力が増します。
押さえるべき情報分野をリストアップ。情報を収集してから企画書を作成します。

【ポイント3 プレゼンする状況を事前に確認】
場所や相手の人数でもプレゼン方法は変わってきます。
図での説明が有効なのか、映像での説明が有効か、その場での実演が有効なのか。
紙の資料を使用するのか、プロジェクターを使用するのか。
人数や会議室の広さ、場所の設備、プレゼンの時間に応じて、ベストな手段を検討する必要があります。事前に会議室等の情報を聞いておくと良いそうです。
長時間の場合は、一方的にしゃべらず、相手の意見を途中で聞くなど配慮も大切。
また、企画書データをUSBやクラウドに置いておくと不測の事態にも対応できるそうですよ。
プレゼンのリハーサルも行っておく必要があります。慣れるまでは他の人に聞いてもらうと、良いそうです。

成功する企画書の構成とプレゼンの流れは?

成功する企画書の構成とプレゼンの流れは?企画書の構成

【ポイント4 プレゼンは話が前後しないように】
その場の雰囲気を確認しながらプレゼンを進行します。
まとめの後に、相手の不明点や意見を聞くことも大切だそうです。

【ポイント5 「企画の目的」は事前ヒアリングを】
企画の目的(要件整理)が最重要ポイントになります。
企画の構成は
① 現状分析
② 課題の抽出と目標設定
③ 企画のコンセプト
④ 施策展開案

前提になる情報に間違いがあると失礼にあたるため、社内体制や問題について担当者に事前にヒアリングしておくこと。
予算もその会社ができる範囲で概算を出してあげると良いそうですよ。

【ポイント6 現状分析で課題を明確にする】
プレゼンする人は客観的な視点で現状を認識し、提案される側は主観的な視点で認識しています。このズレを埋めるべく、現状分析で、企画をプレゼンする人と提案される企業の現状認識をすり合わせます。こうすることで、課題(ゴールまでのギャップ)が明確になり、課題を共有できます。また、企画のスタートラインとゴールをお互い共有し、企画の目的を絞ることができます。

デザインは、見やすくすること、相手が見慣れている資料の形に合わせることがポイント。
企画書作成には慣れが重要で、ひたすら作っていると、慣れるそうです。

有益な情報ソースは?効果的な情報収集を行うために

有益な情報ソースは?効果的な情報収集を行うために様々な情報源

企画書を作る前に、「どんな情報が必要か」検討します。
様々な情報源があります。

例えば、企画の対象商品の「口コミ」であれば、「知恵袋」。
社風や社内事情の口コミなら「転職会議」。社長や部長についての口コミが見られます。
また自社レポートはサイトから決算報告書や長期計画、IRレポート等がダウンロードできます。
こうした情報はネットで手に入りますが、ネットの情報の他に帝国データバンクや業界団体の資料、官公庁の発表資料も信頼性の高い資料として有効です。新聞、雑誌、書籍なども情報源として活用します。

企画書を作成する時には、ベンチマークしている会社のレポートを帝国データバンクなどで買うと良いそうです。他社を例に挙げるとわかりやすいためです。競合の動きや支出をクライアントに示せるので、提案するときのベースになるそうですよ。

実際に案件化するのは、一か月みっちり調べてつくった資料が多いと言います。
集めた資料を咀嚼することで、ひらめきが生じ、よいアイデアが生まれるそうです。

この後、松本理事は企画書を作成するフレームワークをレクチャー。
アイデアが出てこない時にアイデアを出すための「オズボーンのチェックリスト」、クライアントの目的を明確化する「5W2H」、自社と競合と顧客をリサーチしてターゲットを把握するための「3C分析」、マーケティングの4つの視点から施策の優先順位を考えるための「4P」、「STP戦略」、3C分析をより俯瞰的に評価する「SWOT分析」など、わかりやすく教えていただきました。
とても濃い内容のレクチャーでした!

効率良いパワーポイント資料作りのコツ

効率良いパワーポイント資料作りのコツ

では、実際に企画書を作成する時に、どうすれば効率よく見やすい資料が作成できるでしょうか?
勉強会では、レクチャーの後実践的なパワーポイントのコツについて教えていただきました!

ポイントはしっかりしたテンプレートをつくっておくこと。
またフォントは、個性的なタイプだと読みづらく、おすすめできないそうです。「メイリオ」など見やすいフォントをカスタマイズで設定しておくと良いそう。こうした設定をしておくと、WEBサイトからコピーした場合にも、ズレが防げます。
また、リボンの内容でも仕事の効率が違うため、リボンもカスタマイズ設定すること、表示のルーラー、グリッド線、ガイドを入れてレイアウトを確認できるようにしておくことも重要だそうです。
資料の色調は「サイトが黒を基調にしていたら黒」など、クライアントの雰囲気に合わせると良いそうです。

ちなみに参加者は、松本理事がカスタマイズした、エクセル&パワポのリボンやテンプレートをプレゼントしてもらえる、という特典付きでした。

内容的に自分の資料に足りない部分を確認したり、アイデアを補うにはどうしたらよいのでしょうか?
レクチャーで紹介いただいたのが「シェアスライド」というサイトです。
https://www.slideshare.net/malcchi/slideshare-13260498
例えば「越境EC」と入れればいろんな企業がつくった越境のスライドが出てきます。
このサイトで同業他社の資料を集めてストックしておくと、自社の資料に足りないところやアイデアをもらうことができるそうです。とても便利!

今回の勉強会は、「目からウロコ」の内容ばかりでした!
ここでご紹介したのはごく一部。「ここまで教えてもらっていいのだろうか」と思ったほど、企画書作成の肝になるノウハウを教えていただきました。

出席して強く感じたのは、一流の資料をつくるためには、徹底したリサーチと分析が重要だということです。教えていただいたノウハウを実践するためには、調査力と分析力が必要になりそうです。
松本理事は質の高い分析ができるからこそ、ニーズに合った企画書が作成できて、契約後に数々のクライアントさんを伸ばせるんだな、と感じました。

【松本順士JECCICA理事(エスアンドティーパートナーズ株式会社代表取締役)】
17歳からWeb業界一筋。大学在学中より数々のECサイトを運営しレディースアパレルECにおいてわずか4年で年商30億円のECサイトを作った経験を持つ。
現在は1,000社を超えるコンサルティング実績を持ち、さまざまな業種にクライアントを抱える。コンサルティングのほか、サイト制作、広告、セミナー、人材育成などインターネットビジネスに関する事業をトータルで手掛けている。
【URL】
https://stps.co.jp/
https://jeccica.jp/page-2/page-34/

次回勉強会は、「誰に何を伝えるか」を分析する「STP」

次回勉強会は、「誰に何を伝えるか」を分析する「STP」勉強会後の懇親会の様子

次回の勉強会は、大学講師の鈴木準さんを講師に迎え、『レスポンスを得るキモは、知れば知るほど「STP」!』の題で開催されます。

ECサイトがどんな顧客のニーズを満たすのか、どのような価値を提供して伝えれば、レスポンスが得られるのか。それを論理的に抽出する「STP(セグメンテーションン・ターゲティング・ポジショニング)の考え方と、ターゲットと訴求ポイントの構築セオリーをレクチャーしていただきます。

■日時 3月30日(金)18時~
■場所 清水さんPCルーム(渋谷)

他では聞けない貴重な話が聞けるJECCICA勉強会はJECCICA会員であれば参加可能です。
http://jeccica.jp/page-36/


勉強会の後は、ビールが美味しいと評判のお店で懇親会が開かれました。
興味深い最新情報を教えていただいたり、わからないことを教えていただいたり…。
和やかに、にぎやかに、楽しい時間が過ごせました!

JECCICAの懇親会は、初参加でも楽しめます。
セミナー後の懇親会、勉強会の懇親会ともにおすすめです。
http://jeccica.jp/page-36/


著者

古西なつ子 (Natsuko Konishi)

出版社などを経て、ライターとして入社した会社でネット通販に携わるように。モール店舗運営、分析、OEM商品開発、LP作成、中国仕入れ、卸、ブログ関係の業務を行う。