佐川急便も？訪日外国人旅行者向けに新事業を開始

　SGホールディングスグループの佐川急便株式会社は、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会と共に、訪日外国人旅行者向けの新たな取り組みを始めた。また、ヤマトホールディングスでも、訪日外国人旅行者の利便性を向上するためのサービスを始めている。訪日外国人旅行者に日本の商品を気に入ってもらうことは、越境EC市場の成長にもつながる。それを踏まえ、それぞれの取り組みの詳細を見ていく。

訪日外国人が円滑に農畜産物を持ち帰るために

2016年8月～2017年1月にかけて実施（販売時期は事業者によって異なります）
※主な対象国
【農産物】：タイ・台湾（台湾向け梨等、特別な輸出検疫条件のある農産物は除く）
【畜産物】：シンガポール

参照：佐川急便株式会社 プレスリリース

　SGホールディングスグループの佐川急便株式会社（以下、佐川急便）と一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会（以下、JSTO）は、農林水産省の「おみやげ農畜産物検疫受検円滑化支援事業」の実施主体となっている。この事業では、直売所、道の駅等に立ち寄る訪日外国人旅行者やクルーズ船で訪日する外国人旅行者に対して、お土産として購入した農畜産物を国外へ持ち出す際に必要な動植物検疫手続きの円滑化に向けた取組を開始している。

　お土産用農畜産物の持ち帰りに当たって、持ち出す相手国や品目によって動植物免疫の条件が異なることや、手続きが分かりにくいため、訪日外国人の手間となっているという課題がある。動植物免疫手続き上の課題解決を図り、国外への持ち出しに検疫を必要とする外国人が円滑に農畜産物を持ち帰ることができるように、以下の取り組みを実施する。

（1）訪日外国人や販売事業者に対する動植物輸出免疫条件の周知
・直売所や道の駅等、全国15カ所の店頭で、品目別国別に異なる輸出植物免疫の条件表を掲示する。
・直売所等やシンガポール向け畜産物輸出免疫条件を紹介するリーフレットを店頭に設置する。

（2）検疫手続き円滑化の仕組みの構築
・輸出植物検疫の申請書を店頭に設置し、販売事業者が輸出植物免疫を必要とする訪日外国人旅行者に対して、申請書の記載をサポートする。
・訪日旅行客が購入した農畜産物のうち、輸出検査が必要なものについて、物流業者や受検を代行した上で、訪日旅行客の帰国日に合わせて空港に届け、検疫済みの農畜産物を空港で受け渡す取組等を実施する。

2016年9月～11月にかけて実施

参照：佐川急便株式会社 プレスリリース

　クルーズ船客のお土産農畜産物の持ち帰りの際の検疫手続き円滑化に向けたモデルも、以下の通りに新しく構築する。

（1）クルーズ船寄港付近の直売所やショッピングモール等へ、クルーズ船で訪日する外国人旅行者を誘導し、スムーズに検疫手続ができることを案内する。
（販売する農畜産物は、受検することで相手国へ持ち込める農畜産物かるクルーズ会社の船内持ち込み条件を満たすものから選定する。）

（2）販売事業者が、訪日外国人旅行者に対して動植物輸出検疫の申請書記載サポートを行う。

（3）クルーズ船客の訪日観光中に物流事業者等が免疫手続きを代行し、クルーズ船で出国する際にターミナル付近のブース等で検疫済農畜産物を引き渡す。

ヤマトホールディングスも始める「手ぶら観光支援サービス」

　今回の動きは、最終的に訪日外国人旅行者の輸出免疫手続きや荷物の持ち運びにかかる手間が軽減されることに繋がる。荷物の持ち運びに関しては、ヤマトホールディングス株式会社（以下、ヤマトホールディングス）も株式会社ジェイティービーとパナソニック株式会社と連携して開始したサービスがある。

　その名は「LUGGAGE-FREE TRAVEL」。このサービスにより、訪日外国人旅行者を送り状の手書きの手間から解放し、空港や宿泊施設でのスムーズサービスで、ストレスなく快適な環境を提供すると共に、公共交通機関の混雑緩和や安全性の向上にも貢献する。

　物流に強い佐川急便とヤマトホールディングスが訪日外国人旅行者に注目する理由は何だろうか。そこには、日本の良さを伝えたい思いがあるだろうし、同時に、日本の商品を積極的に購入してもらいたいという意図もあるのではないだろうか。

　日本で快適な旅をして日本に好感度を持ってもらい、日本の商品も好きになってもらえれば、帰国後もECを通して購入してもらえるのではないだろうか。それは、商品を選んで購入するEC、その商品を届ける物流と両方にメリットがある。このように、ECと物流をより活性化するためにも、訪日外国人旅行者に向けて様々なサービスが開設されているのではないだろうか。

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