パナソニックの宅配ボックス実証実験に見る再配達問題の行方〜ヤマト他の悩みは消えるのか?

ECのミカタ編集部

 ECのミカタでも多く取り上げてきた再配達問題。様々な業種を飛び越えて知恵を出し合い、解決に向けて取り組んできている。今回はパナソニックから販売されている宅配BOXを取り上げてみようと思う。それが戸建住居用宅配ボックス「COMBO」という商品。

 この「COMBO」という商品、電気の配線工事等も不要なのでエントランスに合わせて設置する事が可能。シャチハタが内蔵されており一度だけ捺印することもできるので再配達の手配や受け取りの心配もいらない。シリンダー錠でしっかりと施錠されており、特殊キーを使っての開錠となるのでピッキングが困難であり、防犯上も安心だ。

 この「COMBO」を使ってパナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、福井県あわら市の進める「働く世帯応援プロジェクト」に参画し、あわら市在住の共働き世帯を対象とした「宅配ボックス実証実験」を行った。

実証実験をまとめた最終結果報告

実証実験をまとめた最終結果報告

 2016年12月~2017年3月末の実証実験をまとめた最終結果報告では、宅配ボックス設置により再配達率が49%から4ヶ月平均で8%に減少したという。それにより、約222.9時間の労働時間の削減、約465.9kgのCO2削減となった。モニター世帯の満足度は98%に達している。

 また、「宅配業者に申し訳ない」「留守中に宅配を子供が受け取るのが心配だ」などといった受け取りに関するストレス解消度も94%にのぼっており宅配ボックスのありがたさを実感しているようだ。

 宅配ボックスを使用しなかった理由の詳細を調査すると、「宅配業者がボックスに入れてくれなかった」「冷蔵・冷凍」、「大きすぎて入らなかった」などの理由があり、今後そのような対応製品の検討が必要なことも見えてきたという。

 また、荷物受取に対するストレスの変化において共働きで受け取れないといった物理的な不満だけでなく、先ほど挙げたような心理的な不満やストレスが今回明確になったことにより、この宅配ボックスが再配達を解消するだけでなく、ユーザーの不満解消にもつながる商品であると再認識したとしている。

再配達問題はピンチをチャンスに変えられるか

再配達問題はピンチをチャンスに変えられるか

 こうした不満や不安を各業界で少しずつ解消していけば、再配達問題はかなり小さなものになるような気がしている。宅配ボックスが設置されていて当たり前といった文化のようなものが形成されていけばと願う。政府は4月から宅配ボックスの設置費用を補助する制度を新設している。これは、駅などの公共施設やスーパーなどが対象なので一般住宅やマンションへの恩恵はまだないようだが、今後は補助金導入等もあるのではないかと睨んでいる。

 とにかく業界を超えてこの再配達問題に取り組んでいる事は素晴らしい事だと思う。この問題が浮上した事によって開発された新しい技術やビジネスも多くある。「ピンチはチャンス」この言葉が当てはまるのが昨今の再配達問題なのではないだろうか。

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