『楽天』がドコモ・au・ソフトバンクに続く4番目の携帯電話キャリアになるべく本格始動

ECのミカタ編集部

楽天は、本年2017年12月14日の取締役会において、第4世代携帯電話システム(4G)用周波数(1.7GHz帯及び3.4GHz帯)について、総務省の割当受付開始後に、その申請をすることを決議した。

楽天が4番目の携帯電話キャリアへなるべく申請を決断

楽天は、取締役会において携帯電話の4G、用周波数(1.7GHz帯及び3.4GHz帯)について、総務省の割当受付開始後に、その申請をすることを決議しました。同省から同周波数の割当が認められた場合、楽天グループは、移動体通信事業(Mobile Network Operator、以下MNO)を新たに開始することになる。

つまりこのことは、NTTドコモ(以下「ドコモ」)・au(KDDI、以下「au」) ・ソフトバンク(以下「大手3キャリア」)の3大携帯電話キャリアに続く4番目の携帯通信キャリアとして踊り出るべく総務省にしかるべく申請を出すことを会社として決断したことを意味する。

2017年も残すところわずかになったが、この時期に携帯電話、移動体通信市場を揺るがるビッグニュースが飛び込んできた格好だ。

「期は熟したと」の判断か

日本のスマートフォンやインターネット回線など、家計支出に占める通信費の割合は、年々増加していることが指摘されており、家計に占める毎月の通信料金の負担はけして軽くない。また、移動体通信市場においては、大手3大キャリアによる既市場の寡占状態を叫ぶ声もけして小さくはなかった。政府や総務省としても、公正競争の徹底と利用者利益の確保に向けた検討が随時進められていた。

事実、総務省では、増大し続ける携帯電話トラフィックに対応して速やかに割当周波数の拡大を図ることが不可欠との判断のもと、従来は自治体や警察など公共機関に割り当てられていた電波を整理して民間に明け渡す方針を打ち出していて、第4世代携帯電話システム用周波数についても追加割当を検討している最中だった。

こうした状況をふまえて、楽天としても4番目の携帯電話キャリアとして躍り出るタイミングを見計らっていたとみられ、このタイミングが最適であるとし、総務省への具体的な申請をするという最終的な判断に至ったものと思われる。

新規移動体通信事業に関する計画案

新規に移動体通信事業者として申請を出すにあたり、楽天として以下の計画案を提示している。

(1)  当該事業を担当する部門

新規に会社を設立することを予定。

(2)  サービス開始時期

2019年中のサービス開始を予定。

(3)  当該事業の目標ユーザー獲得数

1,500万人以上のユーザー獲得を目指す。

(4)  資金調達等について

携帯電話基地局の設置工事等の設備投資のための、資金調達を想定。 資金調達残高は2019年のサービス開始時において約2,000億円、2025年において最大6,000億円となり、その後当該残高は逓減していくと想定している。また、資金調達主体は楽天株式会社及び新規設立子会社、手段は全額、銀行借入等の有利子負債にて行う予定とのことだ。

新規移動体通信事業に関する今後の予定

総務省が公表している周波数割り当てに関する今後の予定は下記の通りになっている。

2017年11月17日:開設指針案等公表

2017年12月18日:意見募集期間終了

2017年12月下旬~2018年1月頃:電波監理審議会への諮問・答申

2018年1月頃:開設指針の告示

2018年1月~2月頃:開設計画の認定申請の受付

2018年3月末頃:電波監理審議会への諮問・答申

2018年3月末頃:開設計画の認定(周波数割当)

市場に与えるインパクトは絶大

市場に与えるインパクトは絶大

楽天グループはこれまで、「楽天市場」をはじめ、世界中に存在する12億人を超える会員基盤と、提供するサービスから得られるビッグテータを軸に広範な領域で事業を展開してきた。とりわけ、日本国内においては、楽天ID数は約1億にのぼり、また、『楽天スーパーポイント』の累計発行額は1兆円を超えるなど、オンラインからオフラインに至るまで、当社グループは他に類を見ない強固な経済圏(エコシステム)を構築している。

同社は、こうした過去たる基盤と巨大な集客力、資金力を背景に移動体通信事業に切り込むこととなった。楽天は、これまでMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業)事業、つまり格安SIM事業者として『楽天モバイル』のサービスを展開してきた。MVNOに関しては通信インフラなどを大手3キャリアからいわば間借りする形でスマホを中心とした安価な移動体通信サービスを提供してきたが、そのノウハウや資産を生かして、今度は自らが通信キャリアとして躍り出るべく申請を出す決断をしたことになる。

極めて大きなインパクトを市場に与えるものと思われるが、一方でキャリアとなれば基地局やデータセンター専用線など通信インフラの整備は必須で、日本全国へサービスを行きわたらせるのは、並大抵のことではない。この点に関しても資金調達の概要を同時に公表しており、いかに楽天がこれまで周到に今回の申請の発表に向けて準備していたかがうかがえる。

楽天グループが順調に上記周波数の割当を受けた場合、現在のMNO市場がさらに活性化することが大いに期待でき、その効率性を高め、より低廉で利用しやすい携帯電話の料金を実現や、ユーザー本意のサービス提供がおこなわれることが望まれる。逆に言えば、楽天としてもユーザーから選ばれる4番目の通信キャリアになるべく、大きなチャレンジをする、そのスタートラインに立ったとも言えるだろう。


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