AIと人間の協創で配送業務を最適化。日立製作所と三井物産の挑戦!

ECのミカタ編集部

株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区/代表:東原 敏昭)は、三井物産株式会社(本社:東京都千代田区/代表:安永 竜夫)と、AIを活用した配送業務の最適化に向けて協創を開始。顧客と課題を共有し、ともに解決策を探っていく試みだ。

配送業務改善に向けて

近年、Eコマースの普及や配送ニーズの多様化などに伴い、配送業務はドライバー不足や長時間労働が大きな課題となっている。

一方で配送計画の立案は熟練者の経験に頼っている現状があり、複雑化する条件を満たす最適な配送の実施が困難になりつつある。

AIが計画立案に参画

AIが計画立案に参画

現場実務のデジタルトランスフォメーションに注力する三井物産と、デジタルイノベーションを加速するソリューション「Lumada」を提供する日立は、配送業務の現状を鑑みて、三井物産グループの事業会社の配送業務をAIなどのデジタル技術を用いて最適化・効率化する検討を進めてきた。

今回、三井物産と日立は、最適な配送計画を立案するシステムを構築し、共同実証を行う。
 
具体的には、配送実務を細かく分析し、重要な条件(納品日時、物流センター・拠点位置、走行ルート・時間、渋滞、積荷・滞店時間、車両の種類、ドライバー条件など)を全て必要な数値に変換するとともに、熟練者の経験を取り入れた、配送計画の自動立案アルゴリズムを実運用に適用。配送計画の実効性を高める方針だ。

これらのデータの収集・分析にIoTやAIを用いて計画の精度を継続的に高めるとともに、ダッシュボードでKPI可視化の有効性を検証することで、熟練者の経験だけに頼らない多角的な計画の立案を進めることができる。

見込みは十分。本格導入に向けて

実際に開発中のシステムにより、物流倉庫2センターの半年間の実績データとシミュレーションで比較検証した。結果、従来に比べてトラック台数を最大10%削減でき、かつ短時間に熟練者と同等かそれ以上に実行性のある配送計画の立案が可能との見通しを得た。
 
2018年11月より、三井物産グループの事業会社が手がける小売業向け配送業務とレンタル集配送業務を対象に本システムを導入し、その効果を検証する。

三井物産グループは、2019年度を目途に本システムの本格導入を進める予定。日立は今後、協創を通じて得た成果を、「Lumada」の物流分野向けソリューションに取り込み、さまざまな業界向けにサービスを提供していく所存だ。

AIと人も協創

EC業界においては、もはやAIの存在は必要不可欠。より高度で顧客のニーズにこたえるサービスを展開していくうえで、大きな力となることはすでに多く実例がある。
 
AIの台頭によって仕事がなくなるという声も多いが、AIが作業を効率化することで人は仕事の幅を広げることができる。また、今回は熟練者の経験を生かした施策でもあり、長年蓄積した経験というのは人にしか残されていない貴重な財産だ。

今後もAIと人、それぞれの長所を生かしながら協創していくことが、EC業界の発展につながるだろう。

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