Amazonが新たな布石か?新しい商品の受け取りサービスAmazon Hubを日本で展開

ECのミカタ編集部

2019年9月18日、Amazon(所在地:東京都目黒区)は、新しい商品の受け取りサービスAmazon Hubを導入する。Amazon Hubの導入により、ユーザーはさらに豊富になった受け取り方法の選択肢からショッピングをより快適に楽しめるとしている。

9月中に東京と神奈川において数十か所のAmazon Hubにアクセスできるようになり、年末までには東京、神奈川を中心に約200か所へ拡大を予定する。さらに2020年以降も日本全国に順次拡大予定とのことだ。

再配達軽減に寄与

Amazonはこれまでに「当日お急ぎ便や・お急ぎ便・お届け日時指定便」など、多くの配送サービスをユーザーに提供することで配送の利便性を向上してきた。今回、商品の受け取りの利便性向上に焦点を当て、置き配指定サービスに加えて、新たに日本でAmazon Hubを導入することとなった。

Amazon HubはユーザーがAmazon.co.jpで購入した多くの商品で利用でき「当日お急ぎ便・お急ぎ便・通常配送」のいずれかから選べる。Amazon Hubのサービスは、すべてのユーザーが追加費用不要で利用可能だ。

今回の新サービス導入際し、アマゾンジャパン合同会社社長 ジェフ ハヤシダ氏は次のように述べている。

「Amazon には長いイノベーションの歴史があり、私たちは常に最先端のテクノロジーによって、商品の配送とお客様のお受け取りの環境向上に努めています。Amazon Hub の導入により、お客様がより快適に商品をお受け取りいただけるようになることを大変嬉しく思います。私たちはお客様の声に耳を傾けるだけでなく、各配送パートナーの皆様から配送環境に関するご意見を伺いました。今年 2月より開始した『置き配指定サービス』に加え、Amazon Hubの導入により、再配達を軽減し、お客様の利便性をさらに向上させ、ドライバーの皆様への大きな支援になると考えています」

ロッカーをファミマや小田急駅にも設置

ロッカーをファミマや小田急駅にも設置

Amazon Hub ロッカーはユーザーが選択した希望の場所で、商品を利便性高く受け取れるサービスだ。ロッカーは誰でも手軽に利用できるとしている。ユーザーはAmazonで商品の注文時に、配送先として希望のロッカーを指定する。

Amazonより商品が発送されてロッカーへ配達が完了するとユーザーに受け取り準備完了の通知メールが送信される。メールに記載されている受取バーコードをロッカーのスキャナーでスキャンするとロッカーが開き、商品が受け取れる。保管期間は3日以内となる。

Amazon Hub ロッカーを設置する提携企業から次のようにコメントが出されている。

株式会社ファミリーマート 代表取締役社長 澤田貴司氏

「ファミリーマートは、Amazon との協業に大きな期待を抱いております。Amazon Hub ロッカーの展開により、お客様へ商品受取の新たな選択肢を提供することによる利便性の向上や、店舗のオペレーションの負荷軽減を実現すると共に社会問題となっている再配達問題の解決も積極的に推進いたします」

小田急電鉄株式会社 取締役社長 星野晃司氏

「国内鉄道会社で初となる Amazon Hub ロッカーの提供により、Amazon 様の商品の受け取り拠点として、当社駅等を活用いただけるようになります。駅を起点とした日常生活動線上で商品を受け取れることは、お客さまにとって利便性向上につながり、また社会課題の解決という視点においても、非常に価値ある施策です。Amazon Hub ロッカーの導入は、小田急沿線のお客さまの沿線生活ライフスタイルを便利で快適にするものであると確信しています」

富士シティオ株式会社 代表取締役会長 菊池淳司氏

「今回 Amazon との業種を超えた Amazon Hub ロッカーでの提携により、富士シティオならびに Amazonのお客様に、新たな利便性をご提供できるようになることを確信しております。富士シティオはお客様の利便性を追求し、これからも地域のお客様の『なじみの店』であり続けます」

店舗で受け取れる「Amazon Hubカウンター」

店舗で受け取れる「Amazon Hubカウンター」

Amazon Hubカウンターはユーザーが普段生活で良く利用する店舗で、スタッフから手軽に商品を受け取れるサービスだ。ユーザーは商品の注文時に、配送先として Amazon Hub カウンターを指定する。

Amazonより商品が発送されて店舗へ配達が完了すると、ユーザーへ受け取り準備完了の通知メールが送信される。メールには、受取バーコードが記載されている。店舗では店舗スタッフがユーザーの受取バーコードをスキャンして商品とユーザー情報を照会して商品を引き渡す。保管期間は14日以内だ。

Amazon Hubカウンターを設置するパートナー企業から次のようにコメントが出されている。

ecbo株式会社 代表取締役社長 工藤慎一氏

「ecboは『モノの所有を、自由に。』する世界を目指し、事業を展開しています。その中で「物流」はecboにとって大きなテーマでした。物流業界が抱えるラストワンマイル配送の大きな課題を解決するべく、日本全国47都道府県にあるecbo cloak加盟店で宅配物を受け取ることができる「ecbo pickup」の開発を進めています。この度、Amazonとのラストワンマイル課題についての思いが重なり業務提携することとなりました。日本最大の EC サイトであるAmazonと業務提携ができることを大変嬉しく思います。ecboが日本全国にあるecbo cloak加盟店を宅配物の受け取り店とすることで、ユーザーにとっては新しい荷物受け取りの選択肢に、そして荷物の受け渡しをするecbo cloak加盟店にとっては新しい集客の機会創出につながります。ecboは、Amazonと協力し、物流のラストワンマイル課題を解決していきます」

株式会社りらく 代表取締役社長兼CEO 二瓶拓穂氏

「Amazonとの連携を通じて、全国の『りらくる』店舗のご近隣地域の皆さまに利便性を提供するとともに、再配達などの社会課題の解決に貢献する機会を得られることを大変嬉しく思います。さらに、これまで『りらくる』をご利用いただいたことがない皆さまにも『りらくる』自慢の『もみほぐし』によるリラクゼーション、癒しを提供し喜んでいただけることも期待しています」

Amazonでは今後も多くの中小企業や小売店などを含むAmazon Hubの導入への協力について期待し、引き続きユーザーに商品を届ける「ラストワンマイル」に関わる業界全体と協力・連携してユーザーにおけるさらなる利便性向上を目指す方針だ。

これまでもECサイトなどで購入した商品は宅配事業者のサービス内において、コンビニなどの店舗や宅配ロッカーなどを受け取り場所として指定することができた。今回、大手ECプラットフォームであるAmazon自身が多様な受け取り方法についてインフラを整備している点が特徴と言える。

ECを支える宅配物流、そのひっ迫するラストワンマイルの課題を解決する有力な施策として歓迎できるが、同時に既存の宅配事業者や宅配ロッカー事業社との住み分け、さらには、はたしてAmazon独自の物流網構築と連携していくのかも含め、今後の展開に各方面からの視線が集まることになりそうだ。


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