Amazonが「置き配」標準化に向けた実験エリアを東京・大阪・名古屋・札幌に拡大

ECのミカタ編集部

Amazon(所在地:東京都目黒区)は注文時の配送オプションとして提供する「置き配指定サービス」を、標準の配送方法とした際の利便性や効果を検証するため、実証実験を順次開始することを公表した。

東京・大阪・名古屋・札幌に拡大

Amazonは注文時の配送オプションとして提供する「置き配指定サービス」を、標準の配送方法とした際の利便性や効果を検証するため、2019年に岐阜県多治見市で実施された実証実験に続き、東京都3区(江東区、文京区、練馬区)、大阪府3区(都島区、西淀川区、生野区)、名古屋市、札幌市で1月27日より実証実験を順次開始する。

同実証実験では、気象条件が異なり、集合住宅と戸建住宅が混在している人口密集地域で、多様なライフスタイルのユーザーに合わせた置き配の有効性を検証することを目指すとしている。

商品の届け先が対象エリアのユーザー(受取側)に対して「置き配指定サービス」を標準の配送方法とし、在宅・不在にかかわらず、玄関に商品が届けられる。なお実証実験期間中およびその後も置き場所を変更でき、また置き配を希望しない場合には対面での受け取りを選択できる。

「置き配指定サービス」概要

[サービス名]
置き配指定サービス

[サービス内容]
顧客の自宅の指定場所へ注文商品を届け、対面での玄関先での対応やサインなしで商品を受け取り可能にする。

[置き配場所]
「玄関」「宅配ボックス」「ガスメーターボックス」「自転車のかご」「車庫」「建物内受付/管理人」のいずれかを選択

※配送パートナーが指定の配達場所に入れない、配達場所を特定・使用できない、または配達場所が安全でない場合など、置き配指定サービスを利用できない場合もある。

多治見市の先行実験で「成果」

多治見市の先行実験で「成果」

Amazonでは2019年11月6日から12月5日の1か月間、岐阜県多治見市で同社として初の試みとなる置き配指定標準化の実証実験を実施した。期間中、多治見市在住のユーザー約70%が置き配指定で商品を受け取り、通常時の約50%の再配達削減につながったとしている。

またマンションのオートロックにより置き場所にアクセスができない等の理由で配送ができなかった荷物については、多くの場合においてドライバーが受け取り側のユーザーに連絡して配達を完了した。これによりドライバーによる適切な置き配の運用が実施されていることが確認できたともしている。

多治見市の利用者からの評価を受け、東京都3区・大阪府3区・名古屋市・札幌市の対象者にも「置き配指定サービス」の標準化による商品受け取りの利便性を体験してもらう機会を提供することになったのだ。多治見市においても、引き続き置き配指定が標準の配送方法となる。

同社では、さらなる実証実験を通じて配送効率の変化(再配達率等)、毀損・紛失事例、対面での商品の受け取りを選択した人などに関する情報の集計を行い、実証実験期間の前後でユーザーへの顧客調査の実施を予定する。

「社会的課題解決のために重要」

Amazonでは「置き配指定サービス」の標準化は、再配達による負担を軽減し、より便利に商品をお受け取りいただけるだけでなく、ドライバーの負担を軽減し、さらに、再配達に伴う二酸化炭素等の排出削減による環境問題への取り組みにもつながるとしている。

またアマゾンジャパン合同会社 社長 ジェフ ハヤシダ氏は、次のようにコメントしている。

「昨年の多治見市での実証実験では、お客様とコミュニケーションを取って配送サービスを向上させる貴重な機会をいただき、多治見市の皆様に感謝申し上げます。Amazonは、本取り組みが配送に関する社会的課題解決のために重要な役割を果たすと考えています。Amazonは、常にお客様の声に耳を傾け、今後も引き続きお客様へより利便性と安全性の高い配送とお受け取りのサービスを提供できるよう、努めてまいります」

ECのラストワンマイルである宅配での再配達の頻発は社会問題ともなっている。宅配各社をはじめ官民あげてその課題に取り組んでいるところでだが、ECプラットフォームとしても課題解決に向けた責任の一端を担っているのは言うまでもない。Amazonとして「置き配」をその解決手段として重視していることになるが、引き続きユーザー視点での実験と運用が求められることにもなるだろう。


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