BASEが、2020年12月期第2四半期決算を公表 営業利益は640百万円(+846.8%)と黒字で着地

ECのミカタ編集部

ECプラットフォーム「BASE」を運営するBASE株式会社は、2020年12月期第2四半期決算を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

売上総利益は同+204.8%

売上総利益は同+204.8%

同社グループは、ECフォーム「BASE」を提供するBASE事業、オンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAYID」を提供するPAY事業を展開している。BASE事業では、新規ショップ開設を加速させるための積極的な投資、より幅広いユーザーの利用を促進するための機能開発、拡張機能の強化等の継続利用ショップの成長を支援するサービスの拡充により長期的な利用とLTV(LifeTimeValue)の向上に努めているとしている。

一方、PAY事業では、スタートアップ企業やベンチャー企業をターゲットにマーケティング活動を進めるとともに、プロダクトを強化し、加盟店数の拡大に尽力。なお、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため実施された外出自粛、休業要請により、EC市場への需要が高まり、新規ショップ開設数及び流通総額が大幅に増加したという。

これらの結果、同社グループの当該第2四半期連結累計期間の売上高は3,681,762千円(前年同期比118.2%増)、営業利益は612,180千円(前年同期は営業損失135,673千円)、経常利益は613,480千円(前年同期は経常損失135,713千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は503,994千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失136,196千円)となった。

売上高は前年同四半期比+177.0%、売上総利益は同+204.8%と大きく増加。販管費はプロモーション強化により、前年同四半期比で+110.4% と大きく増加。営業利益は+846.8%となり黒字で着地している。

セグメント別の概況

セグメント別の概況

◆BASE事業

BASE事業では、新型コロナウイルスの影響により消費者のEC移行、実店舗のオンラインシフトが加速し、新規開設ショップが急増するとともに、新規開設ショップ、既存のショップの流通総額が大きく増加した。また、物流倉庫や配送システムとのシームレスな連携や、より多くのファンに向けて商品を販売する機能などの拡張機能の強化やキャッシュフローの早期化等、継続利用ショップの成長を支援するサービスを拡充していとしている。

この結果、当該第2四半期連結累計期間における流通総額は43,603,658千円(注文ベース)、38,566,505千円(決済ベース)(前年同期比123.7%増(注文ベース)、126.7%増(決済ベース))だった。これらの結果、売上高は3,276,245千円(前年同期比134.7%増)、セグメント利益は774,863千円(前年同期比2,100.4%増)となった。

◆PAY事業

PAY事業では、オンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAYID」を提供しており、当該第2四半期連結累計期間では登録加盟店数は堅調に推移し、流通総額は14,839,338千円(前年同期比39.0%増)となった。この結果、売上高は392,180千円(前年同期比35.2%増)、セグメント損失は52,300千円(前年同期はセグメント損失74,745千円)となった。

◆その他事業

その他事業では、「BASE」を利用するネットショップ運営者等に対して事業資金を提供するサービス「YELLBANK」等を提供しており、2018年12月のサービス提供開始以降、利用者数は堅調に推移。その結果、売上高は13,335千円(前年同期比928.9%増)、セグメント損失は24,299千円(前年同期はセグメント損失28,448千円)となった。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響

同社がまとめた新型コロナウイルスによる感染拡大のBASE事業への影響は、次の通りだ。

[1]
消費者のEC移行、実店舗のオンラインシフトが加速

[2]
あらゆる事業者の事業の継続をサポートするための支援を実施(ネットショップ開設支援、お急ぎ振込の手数料無料化、発送前商品の売上金引き出しサービス、オンラインセミナーの開催、集客支援等)

[3]
アパレルや食料品を販売する実店舗のオンラインシフト、物産展等の催事の中止の影響を受けた食品卸業者や営業自粛をした飲食店の開設が増加

[4]
飲食店による開設の増加に伴う新たなニーズへ対応するため、テイクアウトAppをリリース

[5]
トランザクション増加によるサーバーへの負荷増加や問い合わせ件数の増加へ対応として、サーバーの増強及びCS業務の体制強化を実施

[6]
休止していたリアル店舗出店スペースや中止していたポップアップイベントは順次再開

[7]
2020年第2四半期の「BASE」のショップ開設数は、前年同四半期比+229%増加(前四半期比+159%増加)し、累計ショップ開設数は、2020年5月に100万ショップ、7月に110万ショップを突破

[8]
新規ショップ開設に伴うGMV増加にくわえて、既存ショップによるGMVも大きく増加

[9]
GMVの11%が衛生品(マスク、アルコール消毒等)の販売によるもの

[10]
衛生品を除くGMVの成長率は前年同四半期比+164%と大きく増加

[11]
主力のファッションカテゴリのGMVも前年同四半期比+124%と大幅に増加

[12]
食べ物・飲み物カテゴリのGMVが前年同四半期比+1,087%と大幅に増加し、GMV全体の18%に

下期以降の方針

下期以降の方針

また同社は、下期以降の方針として次のようにまとめている。

◆連結

[1]
短期的な利益ではなく、中長期の利益成長を目指していくための先行投資を継続

[2]
先行投資は営業損益の水準を鑑みたコストコントロールを行い、規律をもって実行

[3]
中長期の成長に向けた戦略的な出資やM&Aを検討

◆BASE事業

[1]
GMV、売上高および売上総利益の成長を重視し、先行投資を積極的に実行

[2]
コロナ禍でお困りの方々をサポートするための支援を引き続き実施

[3]
さらなる認知度向上及び新規ショップ獲得のために、広告宣伝を強化

[4]
ショッピングアプリ「BASE」やクーポンなどを活用し、ショップの販促支援を強化

[5]
サービス拡大のためのプロダクト人員の採用等の先行投資を加速

[6]
プロダクト開発においては、より幅広いユーザーの利用を促進するための機能開発、拡張機能の強化や資金提供、キャッシュフローの早期化等、継続利用ショップの成長を支援するサービスを拡充し、 長期的な利用と LTV の向上に努める

◆PAY事業

引き続きコストは抑制しながらも、プロダクトの強化及び加盟店数の増加に努め、GMVの成長を目指す

売上総利益は同+101.7%~+116.5%の成長を目指す

また2020年12月期 通期業績予想としては、今後の新型コロナウイルス感染症の影響は不確実性が高いため、レンジ方式による業績予想。売上高は前年同期比+95.3%~+110.4%、売上総利益は同+101.7%~+116.5%の成長を目指し、販管費はプロモーション費等の先行投資をさらに加速させるため同+49.7%~+80.7%、営業利益は0~500百万円を見込んでいる。

新型コロナウイルスによる感染拡大による、「ニューノーマル」が社会に浸透する中、好調な業績を示した同社。これまでEC化が進んでこなかった業種や事業体も生き残りをかけて、そこへと繰り出す状況の中、プラットフォームとしての責任も、さらに求められる状況となりそうだ。

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