自動宅配ロボの実証実験、ENEOSが東京・佃で開始

濱田祥太郎

サービスステーションを出発するデリロ

ENEOSホールディングスは、自動宅配ロボットを利用した国内初のデリバリー実証実験を2月8日から26日まで、東京都中央区の佃・月島エリアで実施している。実験を踏まえて採算性などを検討し、今後本格的な展開を目指すという。

ENEOSサービスセンターから1000戸に配送

ENEOSサービスセンターから1000戸に配送サービスの流れのイメージ

実証実験には、3棟のマンションの計約1000戸が参加。利用できるのは、周辺の飲食店やコンビニ10店舗のメニューや商品だ。食品のほか、日用品も注文することができる。

利用者が専用のブラウザページから商品を注文すると、その情報が配送スタッフに届く。スタッフは店から商品をピックアップし、サービスセンター(SS)にある宅配ロボットDeliRo(デリロ)に入れると、デリロがマンションの玄関まで運んでくれる。
注文者はQRコードをかざすと商品を受け取ることができる仕組みだ。

実験段階では担当者がデリロについていく。1回の利用で297円(税込)がかかる。

2022年にも本格展開へ

2022年にも本格展開へデリロにQRコードをかざすと商品を取り出すことができる

今回の実証実験の意義について、ENEOS未来事業推進部の吉田貴弘氏は「ビジネス化への検証」と語る。
今回は2台のデリロを設置。顧客のニーズや採算性を探り、早ければ来年に佃・月島エリアで本格的なビジネスとして展開する。

その後、その他の人口密度の高いエリアや交通課題がある地方での展開を目指す。

横展開への試金石に

今回の国内初となる実証実験は、本格的な自動宅配ロボの普及につながるかの試金石とも言えそうだ。

デリバリーシステム構築を担当したエニキャリの大石平・執行役員は「横展開も視野に入っている」と話している。

ENEOSは今回、月島サービスステーションを提供しており、宅配ロボ2台の保管・充電を担っている。技術的にはサービスステーションだけでなく、街の拠点に充電器などを置いておくことも可能だという。

現状、フード等のデリバリービジネスは人手不足に直面している。実証実験での成果が大きければ、近距離デリバリーを自走ロボが担う時代が一気に近づく可能性がある。

ECのミカタ通信20号はこちらから


記者プロフィール

濱田祥太郎

新卒で全国紙の新聞記者に4年半従事。奈良県、佐賀県で事件や事故、行政やスポーツと幅広く取材。東京本社では宇宙探査や宇宙ビジネスを担当。その後出版社やITベンチャーを経てMIKATA株式会社に入社。ECのミカタでは行政、規制系・老舗企業のEC事例に興味があります。千葉県我孫子市出身。

濱田祥太郎 の執筆記事