「初回無料」詐欺的商法に罰則 どんなケースを問題視?特商法改正案

ECのミカタ編集部

「初回無料」「初回格安」などを謳ったうえ、2回目以降に高額な金額を支払わせる「詐欺的な定期購入商法」に対策する法案を、政府は5日に閣議決定した。早ければ来年春に施行される。違反する事業者には懲役刑を含む罰則が科される可能性がある。どのようなケースが問題視されたのか、検討委員会の議論をもとに解説する。

「2回目に高額」被害が増加

「2回目に高額」被害が増加消費者庁の資料より

検討委員会では、「通信販売の広告において、初回に無料又は低額な金額を提示し、2回目以降に高額な金額を支払わせる、いわゆる『詐欺的な定期購入商法』に関する消費生活相談が増加している」と指摘された。

国民生活センターによると、「お試し」「モニター」等という広告を見て申し込んだなどの申出が含まれる相談は約5割、「連絡不能」に関する相談は約3割に上るという。

法案によると、こうした商法への対策として、
・定期購入でないと誤認させる表示等に対する厳罰化
・申し込みの取り消しを認める制度の創設
・通信販売の契約解除の妨害にあたる行為の禁止
などを定めている。

「送り付け商法」対策強化

「送り付け商法」対策強化

また新型コロナウイルスのまんえんで、マスクを一方的に送り付けて代金を請求する「マスク送りつけ商法」も問題化した。

現行ではこうした商品について、消費者が14日間保管後処分が可能だが、改正後は直ちに処分が可能になる。

また一旦契約を結んだ後でも、消費者が申し込みを解除できる「クーリング・オフ」については、メール等でできるようにする。一方で事業者側は消費者の了解を得た上で、契約書類などをメール等で送れるようにする。

「巣ごもり需要」に乗じた悪質商法に対処

規定に違反した場合、個人は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金に処される可能性がある。

消費者庁を管轄する井上信治・特命担当大臣は「近年、通信販売に関し、商品が知らないうちに定期購入になっている、あるいは、いつでも解約可能と表示しておきながら細かい条件がついているなどの消費者トラブルが急増している」と指摘。

今回の法案提出について、「新型コロナ対策の一つとしても作業を急いでいる。消費者の皆様においては、少しでも不安なことがあれば、実際にお金などを払ったりする前に、消費者ホットライン188(いやや)に御相談をいただきたい」と述べている。

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