スタンデージと北陸銀行が提携  地方創生と海外進出を一気通貫で支援

ECのミカタ編集部

スタンデージと北陸銀行が提携 地域特産物の輸出に特化したパッケージプランを提案

デジタル貿易プラットフォームの開発・提供を手がける株式会社STANDAGE(以下:スタンデージ)は、日本各地が誇る農水産物や酒類、伝統工芸品等の輸出支援に注力するため、現行プラン「デジトラッド」をアレンジした貿易支援パッケージを開発したことを公表した。

中小企業の輸出高は都市と地方で格差がある

日本の人口は2008年をピークに減少し続け、国内の市場規模は縮小の一途を辿っている。海外への販路を開拓し、外需を見出そうと動き出す企業が増えるなか、昨今急速に円安が進行したことで、輸出にはさらに強い追い風が吹いている状況だ。

国も輸出高の拡大に向けてさまざまな施策を実行しており、特に農林水産物においては、現状1兆円ほどの輸出額を2025年に2兆円、2050年には5兆円まで伸ばすという目標を掲出。これを受けて農林水産省は2020年に「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」をとりまとめている。

コロナ禍による一時的な落ち込みはあったが、上記のような取り組みによって輸出高は緩やかな右肩上がりで推移していると言えるだろう。しかしながら中小企業の輸出高は、都市部と地方部別の間で格差が広がっている状況だ。その要因としては、小規模、少額の輸出を取りまとめて扱うことのできる商社は限られていることや、中小規模の企業にとって自社で貿易人材を雇用することは現実的でないことなどが考えられる。

地方特産物を扱う事業者を支援

スタンデージはこうした中小企業の輸出参入を促進するため、販路開拓から契約、交渉、決済、物流まで一気通貫で貿易づくりを代行するパッケージサービス「デジトラッド」を22年から正式に提供開始しており、すでに数十社の企業に導入実績がある。このデジトラッドをベースに、内需の縮小や新型コロナウイルスの流行によって事業存続の危機にさらされている食品や酒類、伝統工芸といった地方特産物を扱う事業者を支援するサービスを展開するべく、今回の新パッケージプラン開発に至った。

今回開発したパッケージプランでは、貿易を「まるなげ」できる現行のデジトラッドの機能やシステムを踏襲する一方、契約対象を弊社が設定する「地域特産物」としての基準を満たす事業者に限定することで、より初期費用を抑えた提案を可能にした。

また、日本特有の地域特産物に特化した越境ECサイトを開発し商材を掲載し、当該地域や作り手、特産品のストーリーや歴史、特徴をコンテンツ化し、海外向けのブランディングにも取り組むとしている。販売先は海外の日本食レストランを想定し、現地パートナー会社の協力の元、販路の開拓も同時進行で進めていく。

国内の魅力発信としてまずは北陸地方に注力

スタンデージは、今回の新パッケージにより地方特産品をサポートするにあたって北陸銀行と提携するなど、北陸地方へ注力する形を取っている。その主な理由として、スタンデージは以下のようにコメントしている。

「北陸地方には、国内にはもちろん、海外にも誇るべき地域特産物が多数あり、輸出におけるポテンシャルが非常に高い地域といえます。じゃらんリサーチセンターが今年7月12日に発表した『宿泊旅行調査2022』の『都道府県魅力ランキング』では、『地元ならではのおいしい食べ物が多かった』都道府県で1位が福井県、2位に石川県、3位に富山県と、北陸3県がベスト3を独占する結果となりました(※1)。国内においてその魅力を確かなものとする北陸の農林水産物・食品ですが、『少量多品目』という特徴柄、輸出となると太平洋側に集中する主要輸出港までの国内輸送コストが高くつくため、取りまとめることのできる商社が少ないという課題をかかえています。北陸3県の中小事業者との強固なリレーションをもつ北陸銀行と提携することで、スタンデージのパッケージプランを活用した貿易参入支援を拡大し、北陸3県の輸出高向上を目指します」

急速に進む円安が輸出への追い風となるなか、生産量が少なく取りまとめのできる商社の少ない地方特産品の輸出はハードルが高く、都市部と地方の輸出額格差は依然大きく開いたままとなっている。スタンデージが開発した新パッケージは、こうした課題を解決し、近年海外からの需要が高まる日本の特産品の世界各都市への輸出を促進することが期待される。

初期段階ではスタンデージがコメントしている通り、魅力の高い北陸3県に注力するため、ビジネスマッチングにおいて北陸銀行と提携。各地の事業者への提案を開始している状況だ。将来的には日本全国の地域特産物や伝統工芸品など技術を海外へ広げ、地方創生と輸出高の拡大への貢献を目指すとしている。まずは新パッケージが北陸地方においてどのような成果を残すのか、今後の地方創生に向けた第一歩としても注目すべきと言えるだろう。

(※1)「じゃらん宿泊旅行調査2022」(リクルートじゃらんリサーチセンター調べ)
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2022/07/e3ea958ddb5cc1fbf5d6c9be22a8771b.pdf

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