ヤマト、マレーシア宅配大手と提携でアジア戦略を加速!

利根川 舞

記者の論点:現地企業との提携により、マレーシアでの基盤を確固なものとする。東南アジアでのヤマトグループの存在はますます大きなものとなるだろう。

提携先はマレーシアで業界トップクラス!

 ヤマトホールディングス株式会社(以下「ヤマトホールディングス」)は、1月21日開催の取締役会において、マレーシア宅配大手GD Express Carrier Bhd.(以下「GDEX社」)と業務・資本提携をすることを決議したことを発表した。

ヤマトグループは、2010年よりアジア各地に宅急便サービスを展開し、アジア地域で小口輸送ネットワークとロジスティクス、フォワーディングを一体化した高品質・高付加価値な物流サービスの提供に取り組んでいる。

特に東南アジアでは、TPPの大筋合意やAEC(ASEAN経済共同体)の発足により、貿易の活発化はもちろん域内物流のニーズが飛躍的に拡大する可能性が高まっている。ヤマトホールディングスはこの地域全体をつなぐラストワンマイルを強みとした物流サービスで確固たる地位を早期に確立するため、業務提携、及びM&Aを積極的に実施し、小口輸送ネットワークの構築や、フォワーディング、ロジスティクスの機能強化をスピーディーに推進していくという。

今回の提携はアジア戦略を加速させる施策の一環であり、まずマレーシアの小口輸送ネットワークの充実と拡大を図る。GDEX社は、マレーシア証券取引所に上場する、マレーシア宅配市場で売上シェア2位の運送事業会社だ。同社はマレーシア全土のデリバリーネットワークを保有しており、業界トップクラスの高い利益率を誇っている。また、マレーシア国内の企業間の小口配送に強みを持っており、近年は同業他社と比較し著しい成長を遂げている。

ヤマトホールディングスも、子会社であるマレーシアヤマト運輸株式会社(以下「YTM」)がマレーシア国内で宅急便サービスを提供しており、ヤマトグループならではの「クール宅急便」や代金引換サービス「宅急便コレクト」を差別化要因として順調に事業を成長させている。今回の提携により、マレーシア市場において更なるサービス拡充を図り、高品質な小口輸送のニーズに応えることでマレーシアにおける両社の存在を高めていくという。

ヤマトグループとGDEX社は、業務提携により次の各事項を推進していく予定だという。

〔1〕YTMの未カバーエリアにおけるGDEX社の全国ネットワークとの連携による切れ目のないサービス提供
〔2〕マレーシア国内の幹線輸送の共有化による両社の経営効率の向上
〔3〕シンガポール・マレーシア間のクロスボーダー物流における連携
〔4〕マレーシアを起点とする東南アジア各国への展開拡充に向けた補完的な協力

そして、ヤマトホールディングスは連結子会社であるヤマトアジア株式会社(以下「ヤマトアジア」)が、GDEX社の実施する第三社割当増資を引受ける。また、その効力発生後、既存株主より株式を取得し、保有率を23%まで引き上げ、早期にGDEX社をヤマトホールディングスの持分法適用関連会社とする予定だという。

ヤマトホールディングスグループでは、台湾や上海、シンガポールなどにも拠点を置いており、日本と変わらない品質を現地で提供している。各国に進出しているヤマトホールディングスグループではあるが、現地企業との提携は、サービスを強化・拡大することで現地での基盤を確固としたものにし、さらに他の国へ進出していく拠点とするには非常に重要なものだ。

「ヤマト運輸の品質がついにアジアでも」という一文がヤマト運輸のホームページにあるのをご存知だろうか?大きな企業と言えども、自国でのサービスと同じ品質を保ったまま他国で提供するということは非常に苦労のいることだ。しかし、そういった熱い気持ちが海外での事業拡大を支えているのではないだろうか。最近、「越境EC」が熱い盛り上がりを見せており、越境ECにチャレンジしようとしているショップは多くなっている。ネットショップが海外へ進出する時にも、少なくとも、今まで通りのクオリティを維持することで、ショップや商品の価値があがり、海外での日本製品の需要がさらにあがるのだ。


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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