EC業界News1週間まとめ〜ヤマト運輸の荷受け量抑制問題の着地点は

石郷“145”マナブ

2/26〜3/4のEC Newsをギュギュっとまとめました!

 こんにちは。
メディア編集部の石郷です。

今、ECのミカタ通信の制作が大詰めを迎えています。
今号はいつもにも増して、トレンドを反映したボリューム満点な内容となります。
まもなくお届けできると思うので、お楽しみに。
さて、今週読まれた記事はこちら。

Amazon動き着々と〜Amazon Payに統一/商品検索に音声認識
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13627/
書籍ネット通販県1位は京都、家電ネット通販県1位は【JADMA調べ】
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13648/
ヤマト運輸、宅配便の荷受量を制限?EC業界への影響と対策
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13644/
うちでのこづちに聞く、350の事例に学ぶCRM施策
https://www.ecnomikata.com/original_news/13197/
「Amazon マケプレアワード2016」発表!グランプリは誰の手に
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13678/

送り主も受取側も満足度が高い クロネコヤマト宅急便

 ヤマト運輸の労働組合が今年の労使交渉で「宅配便の荷受け量の抑制を求めた」ということが大きなニュースとなりました。また、そんなニュースの中で正午から午後2時の時間帯指定をやめるなどの検討に入ったという報道をしているところもあります。

 ヤマト運輸の企業ポリシーは、人と人との間に立って、(荷物というよりは)送り主の気持ちをお届けする、という丁寧な橋渡しをする、といったあたたかなもので、その姿勢は賞賛に値します。40年の歩みの中で、自らの成長と歩幅を合わせて、着実に積み上げてきたものです。

 ちょっと前の話になりますが、日本通信販売協会(JADMA)発行の情報誌「JADMANEWS(ジャドマニュース)」2013年6月号に掲載された「2013配送満足度調査」内、「もし配送会社を選べるとしたらどの配送会社を選びますか?」という設問に対し「ヤマト運輸」と回答した人の割合は、“54%”に登っています。非常に配達のクオリティに関して、評価が高いわけです。

 日常生活を送る一般の個人が、同じく個人の誰かに何かを送りたいというニーズに応えるために工夫を重ね、ヤマト運輸の「クロネコヤマトの宅急便」はあり、このビジネスモデルで、誰もが知る一流企業となったわけです。おそらく一般の人たちにとって、荷物を送ると言ってまず浮かべるのは、たいていがヤマト運輸でしょう。

企業は時代に合わせて変化していく

 ところが、順風満帆な時を迎えても、企業というのは時代に合わせて、どう生き抜くか、その時その時で考えなきゃいけない厳しい課題を抱えていて、だから、企業の経営って難しいんだなと思うわけです。ネットの普及に伴い、それとは趣の異なる、ECが発展して、ヤマト運輸に声がかかることで、そのビジネスモデルがちょっと変質してくるわけです。つまり、個人が企業で買って、それを企業からヤマト運輸を通して、個人のもとに送られる、ということです。

 こうなると、送り主がどれだけ増加するか予測しづらくなるように思うんです。人対人であれば、人口の増え具合などから、その成長はある程度、予測のできるものだったはずだし、急速な成長ということもなかったでしょうから、このような問題は起こらなかったかもしれない。けれど、ECとなると話は違って、リアルにECの現場にいないだけに、彼らはECの利用者がどのペースで増え続け、荷受けがどれだけ増えるかを、予測するのは難しかったはずだと思うのです。

 そして、人対人であれば、「何日に届くから」と伝えて、不在配達も起きづらかったのかもしれないけど、配達の機会そのものが増え、配達されるという意識が消費者の中にも薄くなれば、不在配達も増えてくる。店側も配達時期における競争に巻き込まれて、とにかく早く出荷を、という具合になってきます。こうした現象をヤマト運輸に予測できたかといえば、それは難しいです。

 今、時間指定をやめるとか改善策が提示されています。まずはとりあえずその対策を打つことは大事なことですが、応急処置にならないようにすることが大事じゃないかなと思います。もっと自分たちがどうやって成長してきたか、自分たちが果たすべき企業カラーってなんなのか、という本質的な話に立ち返ってみることも大事なんじゃないかなと思うのです。

拡大するEC業界の中で、ヤマト運輸の進むべき道は?

 おそらくこれからますますECの利用者は増えます。EC業界で取材してきて、各社がECでビジネスを成立させるのが当たり前になってきている実感の中で、出荷数が減少することは想像しがたい。だとすれば、今の状況の打開策は、今の解決でしかなく、本当に近い将来、また同じ問題に直面するように思います。

 自分達は、こういうサービスをしていく。そのための維持には、値上げは必要だし、荷受けの量はこの程度に制限し、クオリティを守らなければならない、と全体を見渡した上で、自分達のサービスが守られる範囲で、着実に成長していくべきだと思います。万能じゃないのが企業なんだと思います。お客様も大事、でも、そのお客様へのサービスを守るのには、社員はもっと大事。ドライバーも、ヤマト運輸のクオリティを支える大事な一員です。

 そうしたときに、おそらく、配達時間の制限もそうですし、再配達の人からはお金をとるなどの話も持ち上がるかもしれない。もしかたら、Amazonが自社流通を始めることだってあるかもしれないです。でも、それこそ、時代の必要なんだと思うし、ヤマト運輸はヤマト運輸のカラーの中で最大化をすればいいんです。素敵な企業理念を持っているからこそ、ヤマト運輸はそんな風にして、全体を見通した中で、自分達は、どういう役割を果たす企業なのかを考えてみたところに、きっと僕らが求める、魅力的なヤマト運輸があるように思います。

 子供の頃から、ヤマト運輸はあったし、また、上京してきた時に、田舎から両親が送ってきた荷物は、全部「クロネコヤマトの宅急便」でした。荷物を運ぶ会社じゃないんです。僕らの思い出とともにあるのが、ヤマト運輸という存在なのです。頑張って欲しいなと思います。

今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますように。
また、来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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