LINE活用新戦略、ECショップ向けLINEサービスまとめ

ECのミカタ編集部

スマートフォンの利用と共に急速に普及したコミュニケーションツール「LINE」。今や、一般ユーザー同士のコミュニケーションにとどまらない、様々な機能・サービスが加わっている。そしてその中には、EC企業が顧客との関係性を深めるために有効な機能・サービスも多く含まれており、EC業界におけるLINEの活用法について注目度が高まっている。そこで、今回、EC企業が活用できるLINEのサービスについてまとめた。

大量のユーザーにアプローチ「LINE公式アカウント」

企業が自社の公式アカウントを開設し、友だち登録したユーザーに向けて、一斉にメッセージを送信したり、タイムラインへ記事を投稿したりできる。公式アカウントはLINEのプラットフォームの中にも露出される。

【主な機能】
・メッセージ
自社の公式アカウントを友だち追加したユーザーに対し、一括でメッセージを送ることができる。
・リッチメッセージ
画像やテキスト情報をひとつのビジュアルにまとめ、簡潔でわかりやすい訴求が実現できる。
・リサーチページ
アンケートや人気投票のようなユーザー参加型のコンテンツをLINEトーク内で配信できる。アンケート結果だけでなく、回答者の属性情報を集計することも可能。
・タイムライン
友だち登録しているユーザーのタイムライン上に情報を投稿することができる。ユーザーは投稿に「いいね」や「コメント」をつけることができる。
・PRページ
LINEアプリ上で閲覧できるミニページ。メッセージにはおさめきれない長文情報やクーポンなどを送ることができる。
・キーワード応答メッセージ
ユーザーが話しかけた内容について、定められたメッセージを「完全一致」で返信できる。キーワードをあらかじめ設定し、それに基づいて自動で返信を行う。

One to Oneのアプローチ「LINE ビジネスコネクト」

LINEのシステムと利用企業のシステム間において、APIでメッセージなどの送受信を行うことで、企業とユーザーの1 to 1や双方向のコミュニケーションを可能にする。(LINEは、あくまでメッセージなどのデータを双方向に配信する部分の役割を担う。)

【主な機能】
・自社システムと連携して自由にカスタマイズ
自社の顧客情報やシステムと連携することで、様々な情報を、最適なタイミングで、ユーザーに届けることができる。情報の取得やシステムとの連携は、ユーザーの許諾のもとに行われる。
・手軽でスムーズなコミュニケーション
友だちとメッセージをやり取りする時と同じ操作感覚で、手軽でスムーズなコミュニケーションを実現。

【その他】
・LINE ビジネスコネクト開発パートナープログラム
LINE ビジネスコネクトの利用にあたっては、利用企業がメッセージ送受信等のシステムを設けることが必須で、通常、システム開発・改修が必要となる。そこでLINEでは、ゼロからのシステム構築を省略し、スピーディーな実装を可能にする、パートナープログラムを実施している。パートナープログラム参画企業が提供する、LINEビジネスコネクトに対応したパッケージを導入することで、EC事業者は特別な開発を行わずに、LINEビジネスコネクトの機能を利用できる。

LINEで問い合わせ対応「LINE Customer Connect」

自社のWebサイトおよびLINEアカウントからの問い合わせに対し、LINEアカウント上で対応できる。利用には、LINE公式アカウント・LINE ビジネスコネクト・LINE@(認証済み/プロプラン)のいずれかのアカウント登録が必要。

【主な機能】
・Chat Option(AI/Mannual)
LINE経由の問い合わせに対し、各種AI・チャットシステムを連携して対応できる。連携するシステムにより、カスタマーセンターでの有人対応とAIによる自動応答を相互に切り替えることが可能。
・Call to LINE
混雑時や営業時間外だった場合、音声ガイドで誘導し任意のダイヤル(DTMF)を入力させることで、LINE上での「Chat Option(AI/Manual)」に連携できる機能。※特許出願中。

ユーザー情報を活用しLINEで集客販促「Official Web App」

企業が自社のWebサービスとLINEアカウントを連携させ、LINEアカウントを起点に集客・アクション誘導・リピート促進まで、ユーザーの行動をLINEアプリ上でシームレスに完結させることができる仕組み。利用には、LINE公式アカウント・LINE ビジネスコネクト・LINE@(認証済み/プロプラン)のいずれかのアカウント登録が必要。ユーザーは、他のアプリやサービスの追加インストール・利用登録を行う必要がなく、LINEアプリ1つで様々なサービスを簡単・便利に利用出来る。

【主な機能】
・LINEログイン
LINEアカウントの認証情報(登録メールアドレス・パスワード)を利用し、連携サービス利用時に同意するだけで新規会員登録プロセスを省略する。
※連携時に専用のAPIを活用することで、ユーザーがWebサービスで「LINEログイン」を利用した際に、指定のLINEアカウントを自動で友だち追加させることができる。
・LINE ビジネスコネクト
APIを利用し、利用企業が保有・利用する外部システムと接続することで、特定のユーザーに限定した情報発信や双方向のコミュニケーションを可能にする。
・プロフィール+(Profile+)
商品やサービスの予約・購入・問い合わせの際に、あらかじめLINEに登録しておいた情報をユーザーの意思に基づき簡単に利用・入力できるサポートツール。
・その他
LINEの決済サービス「LINE Pay」やポイントサービス「LINEポイント」、スタンプカード機能「ショップカード」なども連携可能。

実店舗の集客に「LINE@」

店舗や施設向けの集客サービス。様々な種類のメッセージをお客さまやファンに届けることができ、1to1のトークも可能。お問い合わせなどにも気軽に対応でき、LINE内やWEB上に専用ホームページを作成できる。

【主な機能】
・メッセージ
管理画面からメッセージを作成し、友だちになってくれたお客さまやファンに一斉送信。配信の事前予約も可能で、キャンペーンやイベントに合わせて利用できる。
・1 to 1トーク
お客さまやファンがLINEから直接コミュニケーションすることが可能で、各種お問い合わせなどを気軽にやり取りすることができる。
・アカウントページ
LINE内の専用ホームページ。プラグイン機能により、お知らせ・写真リスト・予約ボタンなど、ページ内のコンテンツを簡単にカスタマイズすることが可能。
・タイムライン・ホーム
PUSH型のメッセージ配信以外にも、タイムライン・ホーム機能で不特定多数のユーザーに向けて情報を届けることができる。メッセージ送信時、タイムラインに同時投稿することも可能。
・クーポン
クーポンの開封数や使用数を管理画面で確認できる。認証済みアカウントは、ユーザー側の「Coupon Book」(クーポン管理機能)に反映され、使用率を上げることができる。
・リサーチページ
アンケートや人気投票のようなユーザー参加型コンテンツ。自社商品やサービスの調査をしたり、性別年齢などのお客さま属性を取得したりできる。※PC版管理画面より利用。
・LINEショップカード
ポイントカードを作成・発行できる。紙製ポイントカードと比べ、お客さまが忘れたり紛失したりすることがなく、リピート強化に繋がる。お客さま側は各ショップカードをリスト管理でき、まだ持っていない周辺のお店(認証済みアカウントのみ)のカードを見つけることも可能。
・統計情報
日々の友だち追加数、ブロック数などの数値や、タイムラインへの反応などを確認ができる。期間を指定して数値データをダウンロードすることも可能。

【プラン】
・一般アカウント
個人、法人問わず、誰でもLINE@のアプリ上から取得できるアカウント。基本機能は認証済みアカウントと変わらず、有料プランへの変更、プレミアムIDの購入も可能。無料・有料合わせ3つの料金プランがあり、有料プランでは、より多くのユーザーへのメッセージ配信や、詳細な統計情報の閲覧が可能になる。
・認証済みアカウント
審査を通過することで、認証済みバッジが付与され、LINEアプリ内でのキーワード検索結果にも露出される。さらに一部の機能や決済手段などが拡張される。

EC事業者はどのサービスを利用すべきか?

 では、EC事業者はどのサービスを利用すべきだろうか?

 まず、公式アカウントに関しては、直接的な売上やCVR向上というよりは、不特定多数に向けたブランディングや市場調査の側面が強い。そもそも公式アカウントを利用するためにはかなりコストがかかるため、大企業向けのサービスと言えるだろう。

 LINEビジネスコネクトは、ユーザーとの1 to 1コミュニケーションに特化したサービスだ。自社の情報やシステムと連携することで、パーソナライズされたコミュニケーションを、より手軽に実現する。ただし、このサービスもそれなりにコストがかかり、またシステム開発の必要があるが、LINEビジネスコネクトと連携しているプラットフォームなどEC支援サービスを利用することで、コストを抑え、開発不要で利用することができる。

 LINE Customer Connectも、ユーザーとの1 to 1コミュニケーションに特化したサービスで、既存のチャットシステムやカスタマーセンターとの連携を取ることができる。このサービスは、EC事業者が直接導入するというよりは、このサービスと連携しているチャットシステムなどを活用する形になる。

 Official Web Appは、ユーザーのLINEアカウントを活用して、1 to 1コミュニケーションはもちろんの事、ログインから決済までLINE上で完結できるというサービスだ。Official Web Appについても、カートシステムやECプラットフォームなどのEC支援サービスにおいて連携が進められているので、EC事業者はそういったサービス経由で活用することができるだろう。

 LINE@は、比較的簡単に始められるサービスではあるが、機能としては実店舗寄りになっている。実店舗とEC店舗の両方を展開する事業者にとっては使いやすいサービスかもしれない。

 以上をまとめると、LINEを活用してユーザーとのコミュニケーションを深めたいという場合は、LINEビジネスコネクトやLINE Customer Connectの連携サービスを利用すると良いだろう。さらに、自社の顧客層とLINEユーザー層が合致しており、LINEのサービスの相性が良いようであれば、Official Web Appの連携サービスを利用することで、積極的な集客販促やリピート対策などが可能になる。

 LINEのサービスと連携しているEC支援サービスは徐々に増えつつあるので、そういった点もサービスを選択する基準となるだろう。


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