「陣痛タクシープロジェクト」で、感じた「交通」と「物流」と「EC」の未来

ECのミカタ編集部

 少し前のリリースだが、日本交通株式会社(本社:東京都千代田区、以下日本交通)と、日本交通の子会社であるJapanTaxi株式会社(本社:東京都千代田区、以下JapanTaxi)は、企業14社とともに、妊婦さんをサポートする「陣痛タクシープロジェクト」を発足した。

 「陣痛タクシー」は、2012年5月より日本交通が提供しているサービスだ。お迎え場所・かかりつけ病院・出産予定日などを事前に登録しておくことで、通院時や陣痛時に慌てず、簡単にタクシーを呼ぶことができる。サービス開始以来、登録者数は年々増加しており、2017年3月時点の累計登録者は約12万人。東京都内の妊婦さんの30%がこのサービスに登録している計算だ。

 そしてJapanTaxiと企業14社とともに「陣痛タクシープロジェクト」を発足させた。「陣痛タクシー」に登録する妊婦さんのサポート強化、さらなる認知拡大と普及促進を目的としており、プロジェクト第一弾として、新サービス「マタニティギフト」をスタートした。

 「マタニティギフト」は、「陣痛タクシープロジェクト」に賛同した参画企業14社が提供するアイテムをプレゼントする、育児のスターターキットだ。世界有数の高福祉国家であるフィンランドにて、政府からすべての妊婦さんへ無料配布される「マタニティボックス」にヒントを得て生まれたという。

 オムツ、全身シャンプー、哺乳瓶、カフェインレスコーヒー、食品宅配、教育サービス、お水、家事代行サービスなどの出産や子育てに役立つグッズや、救急の連絡先や子どもの事故防止情報などをまとめたファイルを、オリジナルの配送用ボックスに梱包して、「陣痛タクシー」登録者へ無料で届けてくれるサービスだ。

規制緩和ですすむ物流業者と運送業者の連携。新たなEC事業のキッカケになれるか。

 素晴らしい取り組みだなと感じる一方で、ふとある疑問が浮かんだ。お客様の住所を抑えているのだから、ここに荷物が届けられるベースがあるということだ。幼き子を持つ母親は特に、外出が困難だから、ここと連携してECでオムツが届けられたりすると、出産後も救われ便利なのでは。などと思ったりしたのだ。

 もちろんそこには法の縛りがある。タクシーは物流業はできないのだ。しかし、2017年7月に国土交通省は、宅配用の荷物と旅客を同時に運べるようにするため規制を緩和すると発表。路線バスがこれまで以上に多くの荷物を運べるよう重量制限を撤廃するとしたのだ。

 いまのところ地域限定だが、タクシーが荷物だけでも配送できるようになるという。運送・物流業で担い手不足の深刻さが増すなか「貨客混載」と代替輸送によってサービスの効率化を進め、人手不足に対応するということだ。
 
 荷物も運べるような法改正が適用されたならば、タクシーやバスがECの担い手になることは十分に考えられる。妊婦さんだけでなく、外出が難しい高齢者向けのサービスも提供できるだろう。

 そして逆もまた然りで、荷物量が少ない地方の運送業者のトラックがタクシーの機能を果たすということも、法律上では可能になるということだ。

 IoTなどと連携させてアマゾンダッシュボタンのような簡単な操作で注文するとタクシーが荷物を運んでくる。過疎地域では必要とされるサービスになり得るのではないだろうか。そういった時代の到来もそう遠くはなさそうだ。

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