【比較してみた】ヤマトと日本郵便、発送→受取新サービス

今、宅配業界の仕組みが変わりつつある。従来の、持ち込みや集荷で発送して自宅で受け取るというスタイルから、ポストやコンビニ、ロッカーなどを利用した、自宅外での発送、受取スタイルへと発展しているのだ。この動きを積極的に進めているのが、ヤマト運輸と日本郵便だ。EC店舗にとっては、宅配サービスを、料金面だけでなく、お客様にとってより便利なサービスという点で用意することで、購入やリピートにつながっていく。では、どのサービスをどう使えば良いのか、ヤマト運輸と日本郵便、2社を比較してみた。

ヤマト運輸と日本郵便、新サービスピックアップ比較

ヤマト運輸と日本郵便、新サービスピックアップ比較2016年3月時点。各社サイトより調べ。

 上表は、ヤマト運輸と日本郵便の発送および受取のサービスで、基本的な部分は省いた新サービスを比較している。従来こういったサービスはヤマト運輸が先行している印象があったが、特に昨年から今年にかけて、日本郵便も自社の強みを活かしたサービスの展開を行っている。

都合の良い時に送って、受け取る

 日本郵便の強みは、日本全国にある郵便ポストを利用できることだ。郵便ポストは、24時間いつでも都合の良い時に出せば、それだけで届け先に届くという、ある意味非常に合理的なシステムだ。このシステムを活用しているのが、日本郵便の「スマートレター」「レターパック」「ポスパケット」だ。また、郵便受箱を利用することで、受け取り側は24時間いつでも都合の良い時に受け取ることができる。これはヤマト運輸の「ネコポス」でも活用されている。

 また、宅配料金は、サイズとエリアによって変わる。その中で、小さいサイズの荷物をよりお得にお届けするサービスが、日本郵便では「ポスパケット」、ヤマト運輸では「宅急便コンパクト」だ。利用の多い小さい荷物に対して、高い料金を払いたくないという、利用者の気持ちに応えた新サービスといえる。「ポスパケット」もポスト投函が可能、「宅急便コンパクト」はコンビニ発送が可能だ。

自宅外でついでに受け取る

 受取に関しては、日本郵便もヤマト運輸も、ロッカーの活用、コンビニ受取も積極的に進めている。その中で、日本郵便の強みとしては、全国各地にある郵便局も利用できるということだろう。4月1日より、コンビニと郵便局を合わせて全国約45,000箇所で荷物の受取が可能になる。一方のヤマト運輸は、上表には記載していないが、クロネコメンバーズに登録することで、伝票を書く手間が省けたり、個人情報をふせることができたりと、より細やかなサービスを展開している。

 実は、自宅外で受取を行うサービスは、以前から存在していた。日本郵便では局留め、ヤマト運輸では営業所止置きがそれにあたる。ただ、これらのサービスには、本人確認書類が必要になるなど、若干の手間がかかっていた。それが新サービスでは、予め荷物到着がメールで通知され、メールで送られるパスワードを受取時に入力するだけで、荷物の受取が可能になり、EC通販にもより適した形になっている。

比較の結果が意味するところ

 発送と受取に関する新サービスという観点に絞って、日本郵便とヤマト運輸という2社だけでも、今やこれだけさまざまなサービス展開をしている。利用者にとっては、それだけニーズに合ったサービスを選べるともいえるし、逆にここまでサービスが多様化してしまうと、選ぶのが大変、結局何が良いのか分からないということにもなるかもしれない。

 一ついえることは、今や宅配サービスは単純な料金比較ができないということだ。まず、送るものは何なのか、特にサイズが重要で、小さくて軽い荷物であれば、お得に送れる可能性が多い。次に、どういうライフスタイルの中で発送し、受け取るのか。いくらお得でも、なかなか受け取れないのでは安いという利点も打ち消されてしまう。サービスのどの部分を最も重視するのかを前提に、そこから他の部分も比較していくと、分かりやすくなるのではないだろうか。