アパレルECの未来~リアルの接客で、世の中のインフラに~

ECのミカタ編集部

CROOZ株式会社 取締役 SHOPLIST事業管掌 SHOPLIST事業担当執行役員 張本 貴雄

拡大するアパレルECの今と、そこでサービスを展開する5社に迫る連載企画!
今回は、オンリーワンの接客を目指すSHOPLISTさんにお話を伺いました。

【目次】
・アパレルECの未来 1章~概論:今を知る~
 (https://goo.gl/uFvr2C
・アパレルECの未来 2章〜メイキップ:オンラインフィッティング編~
 (https://goo.gl/PabmX5
・アパレルECの未来 3章〜エアークローゼット:日常生活で試着編〜
 (https://goo.gl/1PbAlN
・アパレルECの未来 4章〜SHOPLIST:個別接客編〜
・アパレルECの未来 5章〜ブランドゥール:古着EC編〜
 (https://goo.gl/Du27jj
・アパレルECの未来 6章〜フレックスジャパン:国内生産元編〜
 (https://goo.gl/a6PLvY

ネット上でオンリーワンの接客を

 ネットで服を見るのは楽しいが、なかなか思い通りの服に巡り会えない。実際に店舗に足を運んで好みの服を探したほうが早いのではないかと思ってしまうこともある。アパレルECサイトは非常に商品数が充実している。その中には恐らく自分の探し求めている商品があるだろう。しかし商品数が多いあまり、欲しいものが埋もれて見つからない可能性が高い。

 アパレルの実店舗に行けば、店員が自分と1対1で接客してくれる。希望を伝えれば店舗にある商品をピックアップして提案してくれる。このように実店舗では消費者に寄り添った接客をしてくれる。また、アパレルは人それぞれサイズも好みも違う。その中で自分に対して希望の商品を提案してくれることは、商品を購入する大きなきっかけとなりうる。

 今後、商品豊富なアパレルECサイトが実店舗のような接客をしてくれたらどうだろうか。場所を問わず家にいながらもECサイトを訪問する。そしてネットでありながら1対1の接客を受けることができ、自分の求めている商品にめぐり合う。ECサイトで実店舗にいるような接客を受けて服を買うような未来が来れば、ネットで当たり前のように自分好みの服を見つけ出し、服を購入する時代が来るのではないだろうか。

アパレルECサイトが未来の世の中のインフラに

 今回取材したのは、クルーズ株式会社 取締役 SHOPLIST事業管掌 張本 貴雄氏。ファストファッションECサイト「SHOPLIST.com byCROOZ」(以下、SHOPLIST)を運営している。張本氏はアパレルECにおける自社サービスの今後について「『SHOPLIST』を世の中で当たり前に使われるサービスにすることを目指しています。」と未来への想いを語る。
 
そして「当たり前に使われるにはサービスレベルはリアルと同じレベルに質を上げ、加えてネットだからこそのできることを増やしていくべきです。そのためにリアルと変わらない接触をユーザーに提供していきたいと思っています。」と続けた。

 リアルの接客とは1対1かつスピーディー、そして数ある商品の中から自分好みのものを探してくれる接客のことだろう。これをネットで実現するために「SHOPLIST」は今回試験的に人工知能SENSYやチャット接客システムChamo導入をした。人工知能で顧客の好みの商品を提案し、チャットシステムで顧客の疑問や要望にスピーディーに対応する。例えば人工知能は消費者のサービス内での行動等を記憶し、「SHOPLIST」の多くの商品の中から、その人の好みに近い商品を提案してくれる。
 
 また、チャットシステムは現在問いあわせページのみに対応しているが、ゆくゆくは購入者が商品選びに迷ったとき気軽にチャットに質問ができ、「SHOPLIST」のスタッフがまるで実際に対話しているかのようにスピード感を持って返答するようになってくるだろう。つまり自分に合ったものを素早いスピードで提案してくれるため、ネットでも実店舗のような接客を受けることができるのだ。

 アパレルECにおいてどのような未来を目指しているのか?という質問に対し張本氏は「インフラとなるものを作りたい。」と言い切った。「例えばコンビニはわざわざ向かうところではありません。『今からコンビニに行こう』と思い立って行くところではなく、『買い物をしたいからコンビニに行く』という、もはやインフラのようなものです。SHOPLISTも、『わざわざSHOPLISTで服を買う』のではなく『服を買わないと、と思ったからSHOPLISTで服を買う』というインフラのような存在、つまり衣食住の『衣』を担うインフラを目指しています。」と語る。だからこそ現在当たり前に使われるサービスを目指して、「SHOPLIST」をよりリアルのサービスに近づけてきているのだろう。

 アパレルの服選びは、商品の選び方も、選ぶ商品も、多種多様である。実店舗では商品を自分の目で見て肌で感じて選ぶことが出来る。ECでは購入から宅配まで全てネットで完結するという点が大変便利とされ、近年ではECサイトで購入する人が増えている。しかし問題視されているのが、商品数が多いと欲しい商品が埋もれ、見つかりにくくなってしまうことである。その中で今回の「SHOPLIST」の人工知能SENSYとチャットシステムChamoの導入は、ネットでは難しいとされてきた実店舗の接客、つまり顧客個人に寄り添った接客の実現に大きく近づいているだろう。

 今、アパレル業界において実店舗での接客が当たり前になっているように、アパレルECにおいても接客されて商品を購入することが当たり前になっている。これはアパレルECで1対1の接客において服を購入することでインフラになる未来が近づいてきているのだろうか。張本氏の理念を聞くと、「SHOPLIST」はそれを実現しようとする強い意志を感じた。


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