【よなよなエール秘話17000字】ヤッホーブルーイング井手社長〜EBS講演の実況中継

石郷“145”マナブ

 一般社団法人イーコマース事業協会(通称:EBS)が開催した「ネットショップカンファレンス」でのヤッホーブルーイング井手社長の講演が笑いあり、笑いあり、学びあり、そして、笑いありの内容で、僕個人は興味深く聞けたので、全部で17000字、その講演内容を書き起こしてみた。

よなよなエール知ってた方?

よなよなエールの差別化戦略を通して、我々がやってきた取り組みをみなさんにお話して、参考にしていただければと思います。よなよなエール知ってた方?普通はなかなか知らない人が多く、肩身がせまい思いをしているのでもっと頑張らないとと思っています。

最初に自己紹介します。私なんと、テレビを持ってないんです。10年以上。持っていない=見れない。
みなさんの中で10年以上テレビ持っていない人いますか?お一人!すごい!ほかに特徴があるのは、私今日は軽井沢から来ました。避暑地なので、当然冬は寒い。どれくらいかというと、マイナス15度くらい。そんな寒いところに住んでいながら、なんと電気などの暖房器具を持っていないんです。

薪ストーブだけで厳しい冬を乗り越えているんですけど、ここでまた質問です。みなさんの中で暖房器具が薪ストーブしかない人っていますか?いないですね笑。私の習慣として薪割りがあります。こんなふうにチェーンソーで切って、この文明が発達した時代に斧で一本一本、薪を割っていく、そんなことをやっています。

住んでいるのは森の中で、これは私のうちの庭なんです。森の中で、周りに誰も住んでいないんです。うちの子どもはまだちびっこなんですが、私が薪割をしていると、横でちょろちょろ遊んでいるんですけど、最近はあったかくなってきたんで、明るくなると、玄関を開けて、3人のちびっこが外に逃げていくんです。で、外で遊んで、暗くなるとお腹をすかせて帰ってくるという。こんな変わった生活をしているんですね。

自然も大好き、変わったことが大好きなんです。人と違うことが好きなので、テレビを持っていない、薪しか暖をとる機械がないとか。両方、同じ人が誰もいなければすがすがしかったので、お一人いたので微妙な感じでこれから話しますが笑。
ようは人と同じじゃないことが好きです。

あとは仕事が好き。仕事というか、ビジネスがとっても面白くって、プライベートとビジネスの境目がなくて、今もあまり長野県にいることはなく、いろんなところに飛び回って仕事しています。あまり家にいないんで、奥さんから田舎に越してきた意味がないじゃないと小言をいわれながら、仕事をちょっとセーブしながらなんとかいる。

こんな男だと思ってもらえれば十分です。

地ビールブームの波に乗り、抜群のスタート

で、会社は1996年に作りました。開発製品はみなさんご存知のよなよなエールです。97年に、一番最初に我々がつくったビールで、なんと今年で21年目なんです。実はビールで20年生き残っているものって、すごく少ないんですよ。

大手ビールメーカーさんでも、20年以上生き残っているものって、1社1銘柄あるかないかという感じなんですね。
だいたい大手4社で年間に70〜80種類くらいのビールの新製品が出ます。でも、ほとんどが1〜2年後にはなくなって、2〜3年するともう、まったく残らないくらい競争が激しい中で、21年間しぶとくよなよなエールは生き残っている。
コンセプトは「家庭で飲める手頃な本格エールビール」。ブランドキャラクターは「知的な変わり者」なんですね。

この知的というのを大事にしていまして、ただの変わり者だとおバカさんになってしまってあまりかっこよくないんで、我々は知的を大事にしています。
ネーミングとか名前とか、よなよなエールという名前でさえ、今もビール業界じゃないですけど、21年前は「意味不明」みたいな。で、こんなパッケージも今もなかなかない。21年前は当然、衝撃みたいな感じだった。飲んでいただければわかりますが、個性的な味で、キリンさんとかアサヒさんとかとは全然違う。これはなんか違う、そういうビールを世に出したいと。

過去にも地ビールが盛り上がったときがありましたが、97年に地ビールをつくるころには地ビールブームがありまして、全国にいろいろな地ビールができて、多数のメディアに取り上げられて、テレビとかでも特集を組まれて。あっという間に日本すべての都道府県にビールメーカーができてきて、300社くらいあっという前にできたんですね。

私は最初は営業をしていました。7年で卒業して、営業で採用されたんですが、営業なんてしなくてもいい。私の仕事は注文を断ることだったんですね。たとえばよなよなエール100ケース注文入ると、電話をして「大変申し訳ありません。今注文が殺到してまして、100ケースもお受けすることができないんです。今回は20ケースくらいしかお受けできません」といった電話を一件一件かけるんですね。すると問屋さんやスーパーが怒る。じゃあしょうがないな、来週か再来週に100ケース届けてよと。

「来週も再来週も当分この状況は続くと思うので、本当にご迷惑かけて申し訳ありませんがご勘弁ください」と。で、こんなに地ビールって売れるんだと。若かりしころは、このまま地ビールって売れ続けると思っていたんです。
でもビジネスって甘くないですよね。99年をピークに、このように売り上げが下がってきちゃったんです。悲惨ですよ、ぶわーっと下がっていった。ブームが終わってしまったんです。ブームがきたら、必ず終わります。

長くても10年続くブームはない。だいたい1〜2年で消えていってしまいます。我々のビールだけでなく、業界全体が地ビールはもういいやとなって、ブームが去って、そこに、我々も飲み込まれてしまって。99年のピークの売り上げは、我々だけでなく、地ビール業界全体が直面した問題でした。あれよあれよと、地ビール事業から撤退する会社、倒産する会社が出てきまして、一時期300社くらいあったのが、160〜170社まで減り、あっという間に100社くらいまでになりました。

こんな状況で、営業やっていたので目を覚まして、一生懸命営業をやり始めました。でもいわれることは同じで、一週間とか、問屋さんに営業にいって、よなよなエールもう一回扱ってくださいと。でも「もう地ビールは売れないんだよ。もうブーム終わったから」と。もう売れないから扱わない、帰ってくれと。

でもこれであきらめると営業としてはダメなんで、しぶとく営業としていくわけなんですけど、酒屋さんとかにいってもいついってもいない。こんにちは、よなよなエールの井手ですと。でもいつも、うちのお父さん外出してていないのといわれる。でもそれがうそだと気づいた。なぜかというと、私がいつもその酒屋さんを通ると、ご主人はつらつといる。でも2〜3時間たっていくと、居留守を使われている。たぶん僕の車を見て居留守を使われていた。
そんなことで悔しい思いをして、営業なのに営業させてもらえないと。

ブーム終息 ビールを廃棄しすぎて腱鞘炎になる

で、何をやろうと考えたときに、ビールメーカーってキャンペーンやるじゃないですか。景品を出したり。それを見てキャンペーンをやろうと思った。でやろうと思ったときに、ひらめいたんです。現金が当たるキャンペーンをやろうと。

人はものよりもお金が欲しいと思ったんですね。ユーモアを交えて、よなよなエールから、4747円が、47人に1人当たるキャンペーンをやったんです。「よなよなが47人に1人当たる」と。われながら名キャッチコピーだと思いながら。ポスターをつくって営業にいくわけです。今度のキャンペーンはすごいですよ!現金が当たるんですから。

このポスターを貼って、よなよなエールにチャンスをくださいと。すると何件かに1件は「じゃあ井手さんがそんなにいうなら久しぶりに扱ってみるかな」「あとで届けておいて」とかいってくれる。そこで僕は「いやいやこのキャンペーンはめちゃめちゃ反響があるからあっという間に在庫なくなっちゃうんで、機会損失もったいないです。5ケースくらいお届けします」と。で勝手に残りの4ケースを倉庫においていったり。

ある酒屋さんは申し訳なさそうにショーケースにほこりを被って並んでいる状態だったのを、このキャンペーンをきっかけに、ぼんと入れるから、5列くらい並べましょうよ、私積んでおきますから、なんならレジ横にも、、、なんて、勝手にお店を変えて、よなよなエール並べてキャンペーンに備えたわけです。

いざキャンペーンが始まって、どのくらいハガキが来ているかなと思って、毎日毎日会社の入り口のポストを見るんですが、いつ見ても、返ってこない。ずーっと帰ってこない。長野県でやったキャンペーンだったんですが、そのとき思いましたよ、長野県の人はお金持ちなんだなと。でもそんなお金持ちにはみえない。農家やられてて軽トラックで走ってたり。でもお金がもらえてもいらないものは買わないんだなと、現実の厳しさを痛感したんです。こういうこと、いろいろ考えていっぱいやったんです。

ビールというのは仕込みの作業をやってから缶に詰めるまで1ヶ月くらいかかるんです。原料を注文して海外から輸入、麦芽、ホップとかを入れるとこからだと2〜3ヶ月かかる。

で、売れると思っているから、いっぱいつくって、お願いといっていた。どんどん1ヶ月たって出てくるが、まったく売れないどころか、売り上げが下がっているこの傾向のままずっといっている。なので、ビールはどんどん倉庫にたまっていく。ビールというのは、1ヶ月たったらかならずタンクから出さないと、風味が悪くなる。なので売れないのに、ビールがどんどんできてきちゃって倉庫がいっぱいになってくる。賞味期限もだんだん短くなってきてしまう。

外部倉庫も借りようとしても赤字。それなのにいろんなことをやっていてお金がない。だから結局ビールを雨ざらしにするわけです。新しいビールが出てくるから、古いビールを出して。幸い長野の土地がいっぱいあって、社員が数人いましたので、駐車場が広かった。車も数台しかとまっていないので、駐車場にビールが段ボールのまま売れないビールがたまっていって、その数なんと数千ケース。それが雨ざらしです。

雨が降ると当然段ボールがやぶけて、ビールが転がってくるんです。で、ころがってきて、本当に東北の震災みたいな感じで、駐車場によなよなエールがごろごろしている。邪魔だし、行き先がないので、僕らは仕事の合間にそれを、プシュッと缶を開けて排水溝に流したわけです。大手さんのように一気に流す機会はないので。社員が1本1本、ビールを開けて、排水溝に流していくんですよ。ずっと続けてると腱鞘炎になるんです。何本くらいあけると腱鞘炎になると思います?だいたい100本あけるとなります。人差し指がなると、次に親指、中指、、、1000本くらいあけると指が動けなくなって廃棄作業ができなくなる。でも1ヶ月くらいたつと腱鞘炎が治ってまた廃棄が始まる。

いまでこそ笑い話ですが、悲惨ですよ。自分たちが愛情こめてつくったビールが、売りに出される前に、敷地にごろごろころがって、自分の体を痛めつけて排水溝に流している。悲しい、何やってんだ俺、こんな悔しいことはない。いろんな感情が出てきた。全部捨て終わるのに3〜4年かかりましたよ。

どん底で気づいたこと

こんな状況ですから当然会社の雰囲気は悪くなって、何人もやめていくし、僕自身もこんなことやってて人生いいのかなと思って、どん底でした。どん底が数年続いて、売り上げが下がりつづけるうちに思ったんです。
モノマネをしているうちはだめだと。営業とか、大手さんは普通に営業するわけです。しかも、気合いと根性だけの、私のように一人で営業やっているのとは違って、全国に何千人と営業マンいるかわからないし、私とは違って口のうまい、エリートが営業している。それには勝てないと。キャンペーンも、安易にお金がいいと思ったが、通常キャンペーンの景品てとても欲しいものだったり、これいくらするんだろう、欲しいなというのを考えてつくられているから、私が考えた現金が当たるキャンペーンなどは、大手さんがやっているものを田舎の素人が真似しているだけで、しょぼい。

真似てしょぼいことを俺が一人でやっているからだめなんだと思いました。
そこでオリジナルのことをかんがえようと思いましたが、思いつかない。なぜだろうと考えた時に、バカだからだと思ったんです。俺バカだから考えても思いつかないんだと思って。そこにたどりつくまでに、ある方がいったんです。「いでさんて、頑張ってるようだけど、ビジネスってセオリーがあるんだよ。こういう風にやったらうまくいく可能性が上がるってのがあるから勉強したほうがいいんじゃない」といわれて、初めて勉強してやってみようという気持ちが出てきたんです。

本屋にいくと、ビジネス書とかある。私は存在を知らなかったし、大学も出てないし。本屋でも漫画を見るくらいで、ビジネスのコーナーには行ったことがなかったんです。マーケティングとか、チームビルディングとかいろんなことがあって、すごいなと。そういうのを買って読んだり、通信教育で勉強したり、セミナーに行ったりして、少しずつやることがうまくいくようになってきました。そういうことを積み重ねていったんですが、それをわかりやすくいうのは売り上げかなと思うんで売り上げのグラフをご紹介します。

13年連続増収増益

13年連続増収増益

途中から急上昇して、13年連続増収増益。地ビールブームがあって売れていたときも、実は赤字だったんですね。創業から8年間赤字でいつつぶれてもおかしくない状況から、一歩一歩ビジネスを基本から学んでやっていったら、いまなんとか経営が成り立つようになってきた。

日本のビール市場はほぼ大手4社さんが市場を牛耳っているんですが、それでも20年以上マーケットは縮小しています。いまは地ビールからクラフトビールという呼び名がかわってちょっと業界が盛り上がってはきているんですけど。一時160〜170社だったのがまた300社と盛り上がっている。ただ、すべてのビール事業者をみても、このようなIT企業のように成長している企業ってなくて、我々だけ、というのは、我々は特殊なことをやっているというのもあるんですが、じゃあ何をやってこういうふうになったか事例をまじえながらお話しします。

いろいろやっている中で、差別化戦略、ブランディングについてお話しします。うちはいろいろなビールを出しているんですが、連続的に出しているビールの一部なんですが、こういう製品開発をするときに、製作方針がある。適当につくっていない。たとえば、当たり前ですが差別化を行おうと。当然大手さんのビールはすごいから、真似はしない。他社が何かしらの理由で躊躇することをやり、ターゲットはせまめに。ターゲットをせまくしたらビジネスチャンスを失うと思うかもしれませんが、我々田舎の中小企業は割り切って、それをやろうと。教科書にも書いてありますが、ちっちゃな会社はそれがいいと。それを忠実にやりながら、あとはブランディングを意識しながらやっていくと。

うちの会社は水曜日のネコという製品があります。ご存知の方どれくらいいますか?8〜9割くらい。
これは5年位前につくったビールなんですが、この事例をお話しすると、コアターゲットのペルソナっていいますが、ターゲットはどんな人かっていうのを事細かく設定するんです。今回の場合は、30代前後の女性に飲んでもらおうと。職場でバリバリ仕事をこなしていて、独身もしくは結婚していても子供がいない人を想定しようと。

住まいは東横線、日比谷線沿線、駅でいうと中目黒、自由が丘。関西の方はピンとこないかもしれませんが、ちょっとおしゃれないいとこに住んでいる女性。お酒やおいしいものが好きで、ファッションにももちろんこだわりがあって、職場ではがんばっていても、家にかえったらお酒を飲んで、素になる瞬間があって、これが次の日の活力になるような。こんなふうに、住むところまで指定しちゃうくらい、かなりせまく、ペルソナ像を指定してやるわけです。

ビールなのに猫のイラスト??

ビールなのに猫のイラスト??

さらに個性的な取り組みとして我々はキャラクターを立てるようにしています。今回の場合は、水曜日のネコであったり、鬼、歌舞伎ものだったり。キャラクターを立てると何が起きるかというと、わかりやすい。ネコはネコですから。でもアサヒさんやキリンさんのデザインを見て、感じるのは人それぞれ。でもネコはネコ、鬼は鬼であって、わかりやすいので感情移入しちゃってるわけです。感情移入しやすい。インターネットで水曜日のネコとか、ブログとかフェイスブックとかでつぶやいている人がいる。「今日ネコちゃんかってきたにゃー」とか「今日ネコちゃんと晩酌」とか、気持ちまでビールにも写っている。ブログで、水曜日のネコとお話ししている文章とか、「あー疲れたなー」「今日ネコちゃん何してたの?」みたいな。たかがビールなのに、お友達とか家族みたいな存在になって、自分の大切な時間を共に過ごす存在になっていって、一気に仲間になるという効果を我々は感じ取っているのでこういうことをやっています。

我々小さな会社なので、大手さんのように広告をバーンと出したりはできない。お金をかけるより、どうやって買ってくれる方の心に入っていくか、距離感を近づけていくか、そういう面で、キャラクターを立てるというのはとてもいいアイデアのひとつだと思っています。

あとネーミング。今回は「水曜日のネコ」。ネーミングはどうやって作っているんですかとよく聞かれますが、全部社内でやってるんですよ。なぜかというとお金がないから。代理店とかに依頼する余裕がないんです。正確にいうとなかった。だから自分たちで全部、ネーミングの5〜6人くらいのプロジェクトチームを作って、千個以上の案を出して、何回もブレストして減っていって、最終的に残った案がこれ。水曜日のネコが最終的には僕がむむっと、これとこれをくっつけたらおもしろいよねとつけた。

これ裏話をいうと、僕らお金がないから街角インタビューにいくんです。オピニオンリーダーといわれる世の中をひっぱっているビジネスウーマンの方に。すると、熱狂的なネコファンがいる方が数人いたんですね。犬ファンもいたけど。うちの同じ女性にきいても、こういう女性は犬派より猫派ですよねっていう。で、お酒飲みますかって聞くと飲みますって言うんだけど、ビールは飲まないっていう。何を飲むかというと、チューハイとか。で、いつ飲みますかってきいたら、週の真ん中、仕事あと半分がんばれって、家でプシュッとリセットしてがんばっているっていう人がいた。で、週の真ん中水曜日って仮説を立てて。デザインも、猫にしようと。何人か熱狂的に猫が好きだったので、これだけは社外のお抱えのデザイナーさんにお願いして、こんな感じの猫をつくってくれっていってだしたわけです。

出した時もどうしたかというと、僕がクリエイティブ担当なんで、僕のクリエイティブな感覚で左上のを選んだんですね。でも今回ターゲットが若い女性だったので、結局若い女性にももう一回どれがいい?ときいたら、この2つが出た。おっさんの感覚ではなかった。最終的に左のをブラッシュアップして今のデザインにしました。このときにデザインを選ぶときは、個性的で世の中にないものを選ぶ。エビスビールの近い名前でエバスビールとかだめ。ラガーを真似してガガーとか。こういうのはありふれて連想的にすぐ思いつくから、世の中にないようなものをデザインとかネーミングに選ぶ。いまだにおかげさまで水曜日の猫ってのはない。

賛否両輪わかれて、その中で3〜5割の強い支持があれば良い

賛否両輪わかれるようなのを選ぶ。ネガティブ意見をつぶすんですよ、通常のやり方は。ここが嫌い、ここがきになるとかいう部分を全部取り払っちゃうから、ありふれたものになっちゃう。我々は、賛否両輪おこっていいってところからまずスタートしています。好きな人がいれば嫌いな人がいてもいい。好きな人が買ってくれればそれでいいんだと。

賛否両輪わかれて、その中で3〜5割の強い支持があれば、その熱狂的なファンの人が、うわーこんな猫ちゃん素敵、私もう絶対ジャケ買いしちゃうとか、水曜日ってなんかすてきね、気に入ったとか、こういう方が3〜5割いたらすごいです。逆に嫌いな人、猫の絵柄がいや、私犬派だしとか、私ビール飲むの金曜だけなの知っててこの名前にしてんの、とかそういう人もいて全然オッケー。

なおかつ、この比率が5割以上賛否両輪わかれた上で、このデザインすごいいい!って人が現れたらやばい。超大ヒットの兆し。あとは誰が選んだかも重要。今回はビジネスウーマンの、30代前後のやり手の、今日ここにいる方がまさにそうですが、そういう意見を重要視しています。

それからそうう人たちに憧れを持つフォロワーといわれる女性もいる。追っかけのような。今回はそういう方たちはメインターゲットから外れるので、どっちの意見をきくかというと、やはりフォロワーよりメインターゲットにより近い人の意見を聞きました。

こんなふうに我々はやってわれわれはビールを製品化しています。いまはないですが、5年位前には私が一人でやっていましたが、ようやくチームでやるようになった過渡期でした。そんな製品を市場が求めてるんですか、今回女性がターゲットのビールをつくるっていってますけど、女性がビールを欲しいって声をきいたことないですよと。むしろ低アルコール飲料にいってますよと。たしかにそうでした。猫のデザインのビールだったら買いたいとか、水曜日に飲みたいなんて聞いたことないですよ、とか。

そりゃそうだねと、俺も聞いた事ないけど、いま存在しないものは、消費者が判断できないからだと。これはいつもいうんですね。だって僕らは大手ビールメーカがひしめいていたこのビール市場に革命を起こして違うビールをつくって、日本のビール文化を変えようなんて、そんな壮大なことをたくらんでいる集団なんですよね。日本にないものを世に出そうとしているから、それは、ないよと。ないものをつくろうとしているから誰もそのニーズは言ってこないけど、これは勘でやっているわけじゃないんだと。

かくかくしかじか。僕らは氷山の一角、のほんのちょっとのニーズを汲み取って、このしたにはひょっとすると氷山があるんじゃないのかと察知する。もしくは氷山の一角も出ていないけど、インタビューの結果から、これはこういうことを言っているんじゃないのかと、われわれが、したにうもれている可能性を察知して、それを具体的な形にする、これがわれわれの仕事なんですね。

具体的にいうと、週の真ん中にふっと、のむビールが好きかな。それを誰も気づいていないかもしれないけど、そういうニーズがあるかもしれない。女性はおじさんがのむビールが嫌いなんです。大手メーカーさんのビールをのむことに抵抗を感じているんです。コンビニで大手メーカーさんのビールを買っている自分を友達に見られたくない、恥ずかしいという意見もありました。かわいらしいのを買っているといいと。だからネコの絵柄、おもしろいんじゃないかと。
こんなことを考えてやっています。

誰もつくらなかったビールつくりたいならリスクとろう

そのときに大切にしているマインド。われわれは楽天市場さんに大変お世話になって、いろいろな研修で勉強させていただいてもらって、何度かシリコンバレーに連れて行ってもらいました。シリコンバレーの大企業の創業者とか幹部の方、スタートアップ企業の方とお話しすると、みんな同じことをいうんです。失敗してもいいじゃないかと。うまくいくか誰もわからないじゃないか。リスクとろうよと。日本人はリスクとらないけど、誰もつくらなかったビールつくりたいならリスクとろうよと。

だってうまくいくかなんて誰もわからないよと、あんたそれがやりたいんだよね。小さくとって大きく育てればいいんだからと、こういわれてですね、単純な私はみんなからそう言われるんでその気になって、そうかこれでいいのかと。売れなかったら、楽天とかアマゾンで売れればいいや、店頭で売れなくてもいいやと、こういう気持ちでやって、結果的に大成功しました。

結果的に30代のオピニオンリーダーと呼ばれるビジネスウーマンの方に圧倒的支持をいただいて、幅広い女性の方に飲んでいただき、若い男性にも飲んでいただいた。ピンポイントで狙ったターゲットだけではなくて。しかも水曜日のネコを一番飲んでいる曜日は金曜日なんです、土曜日なんです笑。犬好きも飲んでいる。ネコ嫌いは買ってないかもしれませんが。すごく狭めたけど、狭めたがゆえに完全に差別化されていて、あらたに眠っていたニーズが掘り起こされて、店頭に並ぶと、このネコちゃんかわいい!ちょっと連れて帰ろうと、ジャケ買いして、インスタとかフェイスブックにあげて、シェアシェアシェアと。中には「私ビール飲めないんですけど、このビールを買ってビール好きの方に配る」という女性もいるくらい。5年くらいたって、いまもっとも女性に飲まれているビールじゃないかと思っています。

で、ほかにも差別化戦略、プロモーションについてお話ししたいと思います。まずECはじめたきっかけについてさかのぼってお話しします。楽天を含めいろんなインターネットで活躍されていて、いいとこに目をつけましたねってよくいわれますが、全然そんなことないんです。実はわれわれ楽天市場の一期生なんですね。97年に三木谷さんが5月に楽天市場をオープンして、われわれ6月に出店しています。いま同じ時期に出店したお店はほとんど残っていないと思いますけど、めずらしい一期生です。これは先見の明があったわけじゃなくて、われわれの存在を知った三木谷さんと、創業メンバーの小林正忠さんが、うちの創業時の社長のところにきて、ぜひ地ビール出店してといって、創業者が楽天市場をやろうといって、やったんですけど、結局地ビールブームがあったんで、楽天市場は開店したのはいいんですが、開店休業状態がずっと、8年続いていたんです。

最初だけ売れたから、インターネットショップは誰も担当がいなくて置き去りになっていたんですね。でも、いざそのブームが終わって、さっきお話ししたように、営業も誰も小売店が相手してくれない。売り上げが下がっていって、どうしようと思ったところで、最後に残ったのがこのECなんですね。選んだんじゃなくて、いろいろキャンペーン、営業、とかやって最後にパソコンをさわるったこともほとんどない、ネットもわからない、ましてやネットで買い物したこともない、私が一番やりたくなかった、ECだったんですね。これしか残っていないと。わかっていたんですが、いろいろきっかけがあったんです。当時、デザインをお願いしていたデザイナーさんが、副業で家具の店をやられていて、それが楽天さんの会報に出てたんです。もうかってますと。で、まじかとおもって電話したんです。売れてるってきいたんですけど、売れるね!って。どうしたら売れるんですかってきいたら、楽天さんのいわれるとおりにやると売れると言われて。

当時は僕らの会社のECC の担当の方が熱心だったのです。僕らがやる気がなくてダメな時代が8年くらい続いていたので、しょっちゅう半年ごとに担当の方が変わっていた。でもこのときはやしあきこさんという、いまの楽天市場の命の恩人の方、この方だけは私がなにをいっても、電話を切ったりいじわるしてもずーっと電話してくださった。またかけてくるから、忙しいんだよ、ネットはやりたくない!と。でもそれでも電話をかけてくるから、こいつばかじゃないかと思って、話をきいてやろうと思ったら、にこにこして、インターネットに可能性があります、こんなことをやりませんかお手伝いしますと。

こんなことをずーっと横でいわれると、さすがにやってみようかなと思ったり。あとはだめ押しで、三木谷さんの手紙を見つけちゃったんですね。やることなかったので引き出しの整理をしていたんですが、なんか汚い字の手紙を見つけた。「このたびはご出店ありがとうございました。一緒にインターネットで世界を目指しましょう。楽天市場 三木谷浩史」96年6月、オープンしたときのもの。みつけたときは7〜8年たった2003年。そうか、出店したときは三木谷さんがきたんだ、手紙でやってた時期なんだ。かたやつぶれかけたビール会社、かたやインターネットの世界で飛ぶ鳥をおとす勢いで成長している会社。で、僕が本気でインターネットをやっていこうといわれたときは2004年。2004年といえば楽天さんが、楽天球団をつくった年です。そんなときを経て、これは三木谷浩史といでの差は、能力の差もあるが、インターネットの地ビールの可能性を、信じたものとしんじてないものの差だと思ったんですね。それからいろいろな協力をえて、やっと重い腰をあげてインターネットをスタートしました。がんばってみよう、これでだめだったらもうあきらめようと思った。そんな、どうしようもない奴だったんです。

トレードというのは何かを得たらなにかを捨てる

トレードというのは何かを得たらなにかを捨てる

それで、話は変わりますが、インターネットをやり始めた頃、コードとか勉強しはじめた頃も、戦略っていうことがよくわかっていなかったんです。言葉では聞いていたけど、戦略が大事といわれても、戦略という言葉が理解できなかった。ここの写真のかたはマイケルポーターさんで、世界の戦略論の大御所の方で、とても有名なんです。彼の本はとても分厚くて、読むと眠くなっちゃうんですけど、かれの戦略論の中で、私の解釈をだいたいスライド一枚でかいつまんでまとめてみました。

戦略とは、競争上必要なトレードオフをともなう一連の活動を選び、ひとつの戦略的目標に向かって活動化のフィット感を生み出すものである、というのを私は大事だと思っているんです。とくに大事なのはオレンジのところ。トレードオフというのは何かを得たらなにかを捨てるということなんです。

みなさんもそうだと思いますが、企業経営していると全部やりたくなるじゃないですか。あれもこれも、捨てることができなくなる。でもそうじゃなくてなにかをとったらなにかを捨てるくらいの究極の選択をすること、これがトレードオフ。これが一回じゃない、一連の活動でないといけない。しかもみなさんの会社、店舗にも目標があると思うんですよ。その戦略的目標に向かって活動化のフィット感を生み出す、というのは、今同時平行型にやっていることがつながっているんですね。単発の活動じゃなくて、これもやってこれもやってというのが全部つながっていて、それが全体の効果に役立っている。何かが欠けると他にも影響するんですね。

トレードオフをともなう一連の活動を選び、ひとつの戦略的目標に向かって活動化のフィット感を生み出す、これが戦略だからこれはいらない、というのを我々はやり出しているんですけども、わかりやすくいうと、たとえば一本道をみなさんが歩いている。道が右と左に分かれる。すると普通の企業は両方にいく、僕は右に行くから君は左にいきなさいとか、右にいってだめなら左とか。これはだめなんですね。右にいったら左に捨てなさいということなので、なにかしらの理由で右にいったら左にはいけないんです。

100社トレードオフしなさいというと、確率の面では50社50社になるわけです。さらに進んでいくと、また道が分かれて行ってトレードオフ、25と25に分かれる。つまりは究極の選択を2回やっていくと、競争が4分の1に減るんですね。

これを、我々はもっと極端に、100社いたら、1社か2社しかいかない道に、あえていく。なので私ともう1社くらいしか一緒にいかない。なぜいかないかというと、険しかったり、なにかしらいくのを躊躇するくらい、何かがある。なので98は右にいく。私たちは左に進むと、1社1社で2回極端なトレードオフをしたら誰も競争相手がいなくなってくる。これが、今の我々がやっている簡単な戦略のセオリーで、これを10何年ずっとやっていると、たとえるならガラパゴス諸島に独自進化した、へんないきもの。へんな戦略をやっている、へんなやつら。こんなことになっているわけです。

まさかの高額に驚愕

事例をお話しすると、たとえばプロモーションでいえば、いろんなところで賞をもらって授賞式とかいくと、みなさんスーツで来ているんですが、ちょっと遊びがてら、長野県なんでスノーボード帰りにちょっくら寄ってみました、という、まあ東京で授賞式やってるんでそんなことはないんですけど、長野の会社だからスノーボード帰りにきましたといって、これは私なんですけど、こんな感じでいって。で、よなよなエールの空き箱を、自分でカッターでこう、切って、テープではって、スノーボード代わりにディスプレーで持って行ったんです。使い終わったら捨てようかなと思いつつ、欲しい人がいるかなと思ってオークションにかけたんですね。

10円くらいで落札したら面白いなと思って。世界にひとつのスノーボード、誰か欲しい人いませんか?1円から、とオークションにかけたんですよ。そしたらですね、想定外に入札が増えて金額が上がって行ったんです。私、青ざめまして、すぐメルマガ送ったんです。お客さんに、いま、世界にひとつだけのオークションやってます、よーくご覧ください。これはよなよなエールのスノーボードを書いていますが、ただの段ボールなんです。ただの空き缶なんですと。誤解されているかたがいたらキャンセルしますから、これをご理解の上、もう一度あらためて、完全に段ボールでも欲しい方だけお願いしますと。そうしたら、あっという間に何十通と返信が返ってきたんです。クレームの返信なんです。

みなさん同じなんです「バカにするな、わかってるんだよ。これが欲しい(笑)」と笑。それを見て、私はてっきり勘違いされて入札の金額が上がっていると思ったら、みなさん段ボールが欲しかったんですね。そこですぐ返信を書きました。大変申し訳ございませんでした。まさか皆様が段ボールが欲しいとは思いもしなかったので。がんばって落札お願いたします」と、一件1件メール返信しました。

結局、ここでいえないような金額で落札されたので、ビール数ケースと、お詫びのお手紙を書いてお送りしたんです。これを落札された方は地元長野県の白馬スキー場のふもとにあるペンションのオーナーさんだったんですね。こんな大金で買っていただいて、お詫びのしるしとして小額ですが、ビールを数ケースおくらせていただきますと。そしたらすぐメールで連絡をくれて、「すみません、落札してうれしかったのにビールまでつけていただいて申し訳ないです。でもひとこといわせてもらうと、クレームじゃないですけど、これよーく見たらこの段ボール折れてますよね」と。そりゃ段ボールをイベントで使ってるんで折れてるんですよね。

「気にせず使いますが、これペンションの入り口において家宝にします」と。本当に、こんなことを最終的には売り上げにならないと思ってやっていたんですが、結果的には売り上げにはつながったんです。お客様が大喜びで、落札できなかった方も当然よろこんでくれた。これは一番初期の頃にやったプロモーションです。

トレードオフをともなう差別化の中身

何がいいたいかというと、突き抜けた個性は、賛否両論を生み出し熱狂的ファンを生む。これがトレードオフをともなう差別化だと思うんです。これもさっきの、売り上げを簡単に捨ててるきっかけなんですけど、ものすごい労力がかかってるんですよ。交通費とか人件費とかも。ものすごい企画をやって、売り上げを捨てて満足度をとっている。あとはこれを超えるには、やはりこういうことをやるとこういうことが好きな人には受けるけど、嫌いな人は怒る。怒るどころか失うリスクもあるんですよね。でも我々はこういう会社だから、すみません、こういうノリでいつもやっていますというのをご理解いただいてるので、これが好きな人はくるけども、嫌いな人は失うというトレードでもあるわけです。

私はこういうことを、やればできるんですが、みんなにこれを強要しているわけではなくて、こういう個性を大事にして、僕はこういうことができるからやれると、でも、もっと違うことが得意な奴は、もっと違うことをやろうと。システムが好きなやつはエンジニアでおたくになれるとか、分析が得意なやつは分析でおたくになるとか、俺は仮装が得意だから仮装のプロになるとか、こういう突き抜けた個性もある意味トレードオフだと。全部突き抜けてやらなくても、何かに秀でたところを極限まで伸ばしていったら、あとはできないところがあってもいいよと。こういうトレードオフもやっているわけです。と、こんな活動をいろいろやっています。

キリンビールさんと提携も普通ならあり得ない

今日は質問を一点だけいただいています。我々、実はキリンビールさんと提携しているんです。提携して、我々のビールをつくってもらってるんですよ。日本の大企業と田舎の中小企業が組んでやるって、すごく珍しいパターンだと思います。目的は、製造能力の増強なんですね。ビールというのは投資産業で、多額な設備投資をして、ものすごくビールをつくって、できるだけ安く卸して大量に販売して、成り立つビジネスモデルなんです。なので、今、日本に300社ものクラフトビールの会社がありますが、大多数は結構経営厳しいんです。少量生産だから。でも我々はこの売り上げのカーブ、これを満額?するだけの設備投資が自前ではできないんです。数百億くらいかけないと、僕らの設備投資はまかなえないし、うまくいかなかったら。

普通5年先、10年先の設備投資するじゃないですか。僕ら5年たつと売り上げが10倍くらいになっちゃうから、そんな設備投資やってうまくいかなかったら倒産しちゃうわけですよ。だから僕らのスキームは、製造業だけどIT企業みたいなこの急カーブを成り立たせるには、誰かにつくってもらうか、あらたな企業を孫さんみたいにつかまえるしかなかったわけです。で、僕はあらたなコネはつかまえられなかったんですね。そうこうするうちに、大手ビールメーカーさんと提携するという機会があって、設備投資をせずに、大手さんが余っている設備を使って製造能力の増強を行う。これが唯一の目的なんですね。

お互いの強みを生かし、弱みを補う。大手ビールメーカーさんは、プロモーションとかをばーんとやる、みんなが好きな味のビールをつくることとかは得意なんですけど、マニア受けというか個性豊かなビールを作ることとか、個性的なプロモーションとか、デザイン、ネーミングとか、マーケティングを個性的にやることは苦手なので、彼らは王道を行ってください、我々はちっちゃな会社でしかできないところで一緒に、ビール業界を盛り上げていきましょう、クラフトビールをきっかけに、ビール業界を盛り上げていきましょうということで、キリンビールさんと意気投合して提携しています。思いはおなじなんですね、キリンビールさんも我々もビールを売り上げたい。大手4社で20数年間ビール業界が縮小していて、何をやっても歯止めがきかなかったところにクラフトビールだけは伸びている。そのトップブランドのヤッホーブルーイング、よなよなエールと一緒にやりたいと。

冷静に考えると、普通は製造委託したくないんですよ。だって自分たちで作ったビールでビジネスしているんだから。自分たちで作りたいのが普通。でも僕らはいかれてる、日本のビール業界変えたいんで、自分たちだけでは叶えられないと。だから大事な、つくるという部分をトレードオフして、大手さんに渡して。自分たちも作ってますけど、大きいのは大手さんに渡して、つくるのを捨てるかわりに、成長のこの急カーブをとった。設備投資のリスクを減らすことをとった。これはむずかしいトレードオフでした。そもそも大手はふりむいてくれないと思います。田舎の中小企業がビールつくってくれませんか、ふざけんなって。なぜできたかというと、今日お話しした、突出した個性とか、急成長をとげている、こういう企業は日本の製造業にはないので、一緒にやってみようかなと思わせる。キリンビールさんは日本を代表する企業ですがいっしょに組んで、盛り上げていきたいと思っています。

まとめ。誰も歩まない道を

戦略はトレードオフ、活動化のフィット感。今日のトレードオフは売り上げを捨てて、満足度をとる。フィット感というと、みんな相乗効果があるんですね。たとえば売りあげをすてて、お客様の満足度をとろうとする、でもすべての人に満足は与えられないので、やはりターゲットを絞るしかないんです。

ここで相関関係があるんです。満足度を熱狂的にとりたい、すると一部の人にしかそれはむずかしいから、ターゲットをめっちゃ絞ろうと。こういう構図が働きます。めっちゃ絞るなら、いろんな個性的なことができるし、そのためには僕らみたいな小さい会社の最高のパフォーマンスをしないと、刺さらないから、トップ自ら破天荒なことをしたり個性を伸ばす。

だから、個性を伸ばすこと、ターゲットを絞ること、お客さんを喜ばせること、全部つながっている。どれかが欠けてもうまくいかない。差別化は他者が躊躇するほど行う。

キリンの社長の磯崎さんにこの写真見せると大笑しますが、磯崎さんは結構PRになるますよというと、ばかいうんじゃない、真似したくないと。躊躇しちゃう。売り上げをすてられない。ありふれた製品、サービスに消費者は飽きてるんですね。一見売り上げにつながらないような取り組みは、お客さんにぱーっと入りやすいんですよ。あとから売り上げがついてくるんです。でも、この考え方は勇気が必要です。そうはいってもなあと思う、やっぱりむずかしい戦略だと思います。100人に一人の熱狂をとる。僕らは将来何年後かに日本のビールのシェアの1%をとりたいと思っています。小さいですよ。でも1%をとろうというくらいなら、世の中にないものやサービスでいい、万人受しなくてもいいと思う。

なので、インターネットは相性がいいわけです。スーパーなら週に何本売れないと置いてもらえない。ネットならずっと置いておけるから。すごくフィット感がある。目に止まってすごく記憶に残って口コミされるようなことばかりやってきたんで、広告もほとんど出さずに、いろんなファンの方が僕らを支持して広げてくれて、結果一部の方に刺さるように、設計してつくるんですけど、毎回ものすごく広い方に、今飲まれている。こんな不思議な現象が起きています。

目指しているのは世界平和。こんな活動していたら社員が幸せになってって。どん底のときに、廃棄していってみんなやめていったんですよ。ほんの10数年前まではどん底だったけど、だんだん社員だけでなくファンも幸せになって、熱狂的なファンのいる、日本のトップブランドだといわれるくらいに僕らはなっているんですが。でファンも幸せになって、取引先も、よなよなエールさんと一緒に仕事するととてもうれしい、幸せだと。

だんだん周りの人たちも幸せという言葉を使うようになって、だんだん我々はよなよなエールを通して世界を平和にできるんじゃないかと。本気で思ってます。最近スタッフも行かれてきてまして、ボブディランがノーベル文学賞とれるんだったら、よなよなエールもノーベル平和賞とれますよ!とりましょう!って、ここまでいくとかなりいっちゃってますが、そんなスタッフも増えてきて、最後に「変わり者と笑われてもいい、でも私たちはよなよなエールでみんなを幸せにするのだ」という言葉で終わります。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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