【日本初】物流業界の課題を解決に向けてラストワンマイル協同組合が設立される

ECのミカタ編集部

ラストワンマイル協同組合(理事長:志村 直純、以下「ラストワンマイル」)は、通販配送分野初(同組合調べ)となる協同組合の設立について公表した。

低運賃実現を目指す

ラストワンマイル(東京都府中市若松町3-28-7)は、拡大を続けるネット通販市場に関連した宅配便取扱数増加や配送ドライバー不足を原因とした業界全体の運賃引き上げ、総量規制等の荷主の課題解決のため、通販配送初となる協同組合の設立について公表した。

同組合は、これまで配送業者がワンストップで担っていた受付から集荷、仕分、横持ち(運搬)、仕分、配送までの作業を荷主と分担することにより低運賃実現を目指す方針だ。

設立された組合では1都3県の運送業者23社による、インターネット通販配送を受託できるサービスを提供する計画だ。サービスの本格的な開始は2018年6月1日(金)を予定している。また同組合は、交通遺児に対する寄付活動にも取り組むとしている。 

【設立時の参加企業】
アトムロジスティクス株式会社、株式会社地区宅便、デリバリーサービス株式会社、圏央運輸商事株式会社、株式会社日本軽貨物輸送連合会、株式会社H&R、株式会社クイックス、クオリティーサービス株式会社、株式会社プラウド、日本エリアデリバリー株式会社、株式会社AIコンツェルン、株式会社トータルサポート、株式会社プレンティー、株式会社翔和サービス、株式会社ワークステーション、プロキャリーサービス株式会社、株式会社ライフポーター、安房運輸株式会社、株式会社千葉通商、株式会社ドリームネット、株式会社ティーアンドティー、エース株式会社、株式会社 WORKS (順不同)

課題を荷主と協力して解決

課題を荷主と協力して解決

近年、日本国内のみならずEC市場の拡大は目を見張るものがある。そんな中、ネット経由で購入された物品を各戸や企業に届けるために、宅配便の取扱数が増加し、配送ドライバーの人手不足や、再配達の増加に伴う長時間労働が社会問題となっている。

そうした問題に対応するために、業界では広く運賃引き上げやサービス変更の動きがあり、それに比例して荷主への負担も増加している。これらの課題を解決するために、荷主と協力して低運賃の実現や宅配大手のバイパスライン(副経路)としての役割を担う協同組合を設立することとなったのだ。

サービスの開始時は、1都3県(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)、3万個/日の配送貨物量からスタートし、1年後に5万個/日(年間1,500万個)、3年後に15万個/日(年間4,500万個)の配送貨物量を目指すとしている。さらに今後の展開として、まずは茨城県、山梨県、長野県、静岡県の運送会社を賛助会員とし、エリアの拡大を企図する。

「サービスアンカー」に特化

ラストワンマイルは、名前の通り「サービスアンカー」としての役割に特化した組合になり、コストを安く抑えられることが特徴だ。同組合によれば、荷主の利点は委託窓口の一元化により運送関連の業務が明確にできること、また運送会社も協同組合の一括受注により、各地域の運賃格差がなくなり、受託の安売りによる過当競争もなくなる利点があるとしている。

運賃体系は、「持込先」と「仕分」の組み合わせにより4つの割引プランが用意される。例えば、割引プランDの場合、荷主が営業所別に仕分けをし、各営業所に持ち込むことにより、低運賃での配送が実現できる。

EC市場と切っても切れない物流業界。拡大する市場に比例して物流量が増大し、荷主や配送業者への負担、配送料金の増加が問題となってきた。この問題に関しては、宅配便事業者や政府など各方面で解決に向けた動きが活発だが、協同組合という形での取り組みは全く新しい動きと言える。業界に携わる事業者と荷主が協力して課題解決にあたるという今回のニュース。日本の物流業界に垂れ込める暗雲に風穴を開け、新たな陽光をもたらすことに期待したい。

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