Amazon登壇「Payoneer Forum」越境ECの成功事例に迫る

福島 れい [PR]

Payoneer Inc ビジネスリレーションシップマネージャーのナボン 恵子氏

 3月31日、ベルサール新宿グランドにてクロスボーダー決済ソリューションを提供するPayoneer Inc.による「The Payoneer Forum 中小企業・個人事業主向け越境ECセミナー」が開催され、越境ECに関わる4社の代表が登壇した。

 Payoneer Inc ビジネスリレーションシップマネージャーのナボン 恵子氏の挨拶に始まり、アマゾン ジャパン株式会社(以下、アマゾン ジャパン) セラーサービス事業本部 Amazon Global Selling セールスマネージャーの増田 航氏、越境ECで月商4000万を売り上げる株式会社ターム(以下、ターム社)代表取締役社長 小川 貴弘氏が講演。その後も日本郵便株式会社 国際事業部 上杉 真一郎氏、3国貿易で成果を上げる株式会社LuCent 代表取締役社長 豊田 昇氏と続き、会場は満席、越境ECに関心を持つ経営者や担当者で賑わった。

 今回は特にアマゾン ジャパンとターム社の各講演から、越境EC成功のカギを探ってみたい。

注目が集まる「越境EC」、忘れてはいけない「外貨・物流の壁」

 なぜ越境ECがこれほど注目を集めているのか?まずその理由を明らかにするところから始めようと思う。越境ECが注目を集めている理由は大きく3つ「国内消費市場の縮小」「海外市場の規模が非常に大きい」「サービスインフラの整備が進んでいる」ことだ。

 説明するまでもないかもしれないが、少子高齢化による人口の減少や労働力の減少で国内消費市場は縮小傾向にある。その一方で、世界の越境EC市場は2018年には3080億ドルになるとも言われる巨大市場なのだ。これから益々の伸びが期待される新興市場も多く、今後も拡大していくことが予想されている。

 世界市場の規模が大きいとは言え、日本国内で事業をするのと同じようにはいかないこともある。それがサービスインフラだ。国境を越えて、商品やその代金をやり取りするのは容易なことではない。今回のセミナーにおける越境EC成功のカギは”サービスインフラをうまく活用すること”にあるように思う。特に注目すべきは「外貨」と「物流」だ。

「外貨の受取り」を助けるPayoneerアカウント

 言うまでもないことだが、ビジネスを始めるには売上金を受け取る環境を整えなければならない。国内で事業を行うのであれば法人口座を開設するだろう。では、越境ECだったら?当然、”外貨”で支払われる売上金を受け取る環境を整えることになる。越境ECを行う際にAmazonを利用する方も多いと思うが、Amazon.com内での売上金に関しても、現地の法人口座がないと受け取ることができないルールになっているのだ。その一方で、現地で口座を開設するには現地法人や多数の手続きが必要となるなど費用と時間、手間がかかり負担が大きいという事実がある。

 これでは、越境ECを始められない。そんな方のためにクロスボーダー決済ソリューションを提供するのがPayoneerだ。Payoneerのアカウントサービスはオンラインで簡単に開設でき、外貨をアカウント内で一元管理、国内口座に送金することができる。現状、3種類の通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド)を使用する市場から受取り、200以上の国と地域において150種類以上の通貨で引き出すことができるようになっている。受取りができる通貨には、近日さらに3種類(カナダドル、日本円、インドルピー)が追加される予定で、日本から米国に限らず、世界各国で事業を行う際に強い味方となってくれるのだ。

 クロスボーダー決済ソリューションを利用しなくとも、決済周りの環境を整えることは可能だ。しかし、急速に拡大する越境EC市場でビジネスを行うのであれば、スピード感も重要になってくる。その意味で、簡単に手早く開設でき、世界各国で利用できるPayoneerのアカウントサービスは越境ECを行う上で揃えるべきツールの1つと言える。

Amazon.comがつくる「越境ECの土壌」

Amazon.comがつくる「越境ECの土壌」

 「物流(FBA)」「訪問者数・集客力」「参入のしやすさ」から越境ECを後押しをするのがAmazonだ。セミナーでは、アマゾン ジャパンの増田氏が、米国Amazon.comについて詳細に語り、関心を集めた。

 詳しく見ていこう。Amazon.comの1日のユニークユーザーは”1310万人”、月間で”1億7500万人”だという。この集客力は越境ECを行うにおいて非常に魅力だ。文化や言語の異なる国において独自サイトに集客するのは難しいもの。これは日本国内であっても独自サイト運営の課題として集客が挙がることからも納得いただけるのではないだろうか。現地のお客様の気持ちを考えてみても、海外の名前も知らないECサイトとなると、少なからず不安を感じてしまう。Amazonの集客力とブランドが、お客様を心地よい買い物に導いてくれることとなる。

 集客がうまくいき、注文を受けたらあとの商品発送の段階でカギとなるのが「FBA(Fulfillment by Amazon)」だ。 FBAとはAmazonの配送システムを用い、 商品の保管から注文処理・出荷・配送・返品・カスタマーサービスまでをAmazonが代行するもの。つまり、米国のFBAを活用すれば、日本から商品を一括で輸送し、注文に応じて米国国内から発送できるようになるのだ。大量輸送により配送コストが削減できることは勿論、Amazonの配送システムを利用して最短日数で商品をお客様の手元に届けることができる。

 このようなAmazonの集客力、FBAに加えて、参入のしやすさもAmazonの魅力として挙げられる。Amazonは現在世界11か国において出店モデルをとっているが、この全てにおいて共通の管理画面を使用、同じカタログページの構成をとっている。日本のAmazon.co.jpに出店したことのある事業者であれば、戸惑うことなく簡単に参入できるのだ。

このようなAmazonが提供する越境ECの環境を上手く活かせば、配送コストを抑えたり、米国に留まらず多国籍に展開することも可能になる。

Amazon.comに出品、年商2億を売り上げる秘訣とは?

Amazon.comに出品、年商2億を売り上げる秘訣とは?

 ここからは実際に、Payoneerのアカウントサービスを利用しAmazon.comに出品、年商2億円を一人で売り上げる株式会社タームの小川氏の経験について触れていく。ポイントは、大きく2つ。「徹底したデータ分析による商品の選定」と「FBAの活用」だ。

 商品の選定に関して、活用するのはAmazon.comから提供されるビジネスレポートだ。ここには出品数や売価、注文品目数など様々な情報が詰まっている。小川氏はこのビジネスレポートを徹底的に分析することで、売れる商品を推測するのだという。一例として、ホリデーシーズンに売れる商品について、「ビジネスレポートを前年、その前年とさかのぼってみると、毎年同じような商品が売れていることがわかります。これでホリデーシーズンに仕入れる商品は決まりますね。」と話し、データの分析がいかに重要かを示した。仕入れるべき商品は、実はビジネスレポートの中に示されているということなのだ。

 商品が決まったら仕入れだ。小川氏は多くの場合、日本の仕入れ先から直接アメリカのFBA宛てに商品を送っているのだという。FBAに商品が届いた後はFBAから自動で出荷されるため、小川氏は在庫数を確認するだけでよくなるのだ。FBAを利用するメリットは、発送にかかる負担を抑えられるというだけではない。現地のユーザーにとって信頼のおけるAmazonが商品を発送することで、見知らぬ海外企業から購入するという不安を解消できる。

 こうして見ていくとわかることだが、小川氏はAmazon.comの強みを活用し、越境ECを進めているのだ。その時必要となる、売上金の受取り口座にPayoneerのアカウントサービスが利用されている。越境EC成功のカギは「グローバル決済ができる口座」「迅速な物流システム」「集客ができる場」を利用し、使いこなすこと。ここにあるのではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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