EC業界News1週間まとめ〜中国への進出で抑えておきたい経済の現実/日本企業の成功事例が聞かれない理由?

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週、読まれていたのはこちら。
■【速報】楽天、18年度第1四半期決算発表
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■セブン銀行で「現金受取サービス」が開始。
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ビジネスで急成長する中国。

 最近は、越境ECの話題も増えてきましたが、そこで注目されるのがビジネスが急成長の中国です。先日、私の知人で5年ほど、日本の大手企業の中国支社で生産管理系の仕事をしてきて、この3月に日本に帰ってきた人がいましたが、話を聞いて、中国自体のこの成長も納得できました。

 話を伺っていて、僕が感じたのは、中国というのは国自体が巨大な企業だなということでした。中国では規制をかけており、LINEなどのSNSは使うことが出来ません。すると日本の人とのコミュニケーションは必然的にweiboなどの中国産のSNSを使わざるを得なくなりますので、日本人も仕方なしに使うこととなり、利用者数も必然的に増えます。

 かつ中国国内では何においても数が限られています。例えば、決済手段にしても、日本ではSuica、WAON、nanaco、OrigamiPay、楽天ペイ、楽天Edyなど数多くありますが、中国では銀聨(Union Pay)・支付宝(Alipay/アリペイ)・微信支付(WeChat Pay) といった具合にほぼほぼ集約されていますから、そこに集中します。

 こうすることで、当然ながら利用者がまとまりますから、その分、それらの企業の影響力が大きくなって効率よく経済が回って行きますし、何より中国には膨大な人口がいますから、その経済効果はかなりのものになります。

中国は教育から徹底してそれがビジネスまで通じている

 つまり、まずは国内でのビジネスが活性化するように、国が監視を強めて、コントロールしますから、まず中国企業との利害が考慮され、日本企業がこの国に進出しても、なかなか国内の歯車にうまく適合しないといけない。

 中国で成功をつかむのには、語弊があるかもしれませんが、中国政府などとのネゴシエーションだと。そうなると、ビジネスが計画的になりづらく、そこで中国進出で考えていた事業計画通りにならない可能性も出てきて、日本企業としては非常に資金繰りなども考慮すると、結局、ビジネスそのものがうまく機能しなくなり、撤退せざるを得ないわけです。

 中国へ進出し成功を収めている企業がそれほど見られないのと、また、その成功事例がなかなか開示されていないのはこういうところにありそうに思います。

 しかも、冒頭、中国は巨大な企業のようなものだと話しましたが、それは中国の教育のあり方とも関わっているようにも僕には思えました。

 例えば、中国の方々に何かをお願いするときには、懇切丁寧にお願いしないと、業務が全うできないことも少なくなかったと言い、「この資料を作成しておいて」と言えば、その資料を作成して満足してしまい、「では、出来上がったこの資料をどうしますか?」と聞いてくることもあまりなかったようです。

中国に関しては奇を衒うことなく堅実に進めることが大事では?

 結構、愕然とする話ですが、それも中国が巨大な企業を形成して行く上で、重要な要素なのだと僕は思いました。ビジネスの仕組みは中国という国が考えるので、国民はまさに“従業員”で、言われた通りのことをしていればいいわけなのです。でも、国民にとってもそれで自分達の生活が安定するのであれば、異論はない。

 それを踏まえた上で、中国と付き合って行くことが大事なのかなと思います。文化の違いはさることながら、資本主義と共産主義の違った考え方の中に存在する企業同士がどうやってお互いのメリットを生み出して行くか、ということなのです。

 国内で新規顧客を獲得が難しくなったり、そもそも人口減少という問題もある中で、だからと言って、急成長の中国に飛びつくにしても、冷静に身の丈にあった戦略で推し進めることが重要だと思います。

 皆さん、ご存知の通り、中国のネットの普及率は群を抜いています。それは実店舗が盛んではないという現実もありますがそうした統制の中でそれが拍車をかけているというわけです。ただ、中国もまた、世界中で巻き起こるグローバル化のなかで、日本の要素も取り入れなければならないと考えているのは事実。

 日本として、まずは中国の中で既に確立されたビジネスのプラットフォームで、どうやって日本の良さを伝えるべく、入り込んでいけるか、と考えるところからではないかと思います。その意味では、越境ECは少しずつその道筋ができてきているので、上記の事情を鑑みると、大きなことは望まず、自分達の誇れる価値観を広める意思で、そこでの成功事例を作り、一個一個、詳にして皆が享受する事に、中国に関していえば活路があるように思います。

というわけで今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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