EC業界News1週間まとめ〜「働く」をシェアするTaimee/EC業界の「働く」現状〜人材獲得の課題

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週、読まれたのはこちら。
■「Taimee」サービス開始。EC業界の人手不足解消のきっかけになるか
https://ecnomikata.com/ecnews/19615/
■グルメサイト大再編時代到来か?『楽天×ぐるなび』と『カカクコム×KDDI』
https://ecnomikata.com/ecnews/19616/
■2020年、あなたは楽天とどう向き合いますか?
https://ecnomikata.com/ecnews/19548/
■楽天と西友が共同して展開する新ネットスーパーがオープンへ
https://ecnomikata.com/ecnews/19581/
■Amazon FBA海外配送が復活!FBAを使った100以上の国と地域へ
https://ecnomikata.com/ecnews/19575/
■Amazonが2018年第2四半期(~2018年6月30日)の業績を公表
https://ecnomikata.com/ecnews/19537/
■ECは地方創生の糸口になるのか。富山県朝日町から学べたこと
https://ecnomikata.com/ecnews/19435/

空いてる時間場所を求めてる時間場所を紐付け、働く場面を創造する

 今週、Taimeeの記事が読まれていました。これはどちらかというとECに直結するというよりは、ECの事業者が働く環境を作る上で、こういう考え方もあるのだと受け止めてもらえたらと思っています。

 僕が思ったのは「働くことのシェアリングエコノミー」と言った感じで、今働いて欲しい人がいると思った時に、直感的に時間と場所と働く内容を掲載すると、それを見ている人たちが働きたいと思えば、そのまま両者を引き合わせて、「働く」を実現させちゃうわけである。お互いの場所はGPSによって確認できるから、効率がよく、一番最適な人と仕事がひもづくわけです。何気無く日常を暮らす人の「空き時間」を「働く時間」に変えられ、企業側は必要とする「働く」ニーズを埋め合わせることができて、本当に必要とされる時に生産性を高くすることができるので、両者にとってウィンウィンです。

 非常に今時で、さすがこれを発表したタイミー社の社長は立教大学に在学中の学生です。ちなみに、すぐに両者を引き合わせると言っても、面接とかは・・・となるところだが、まさに、個の時代の到来といいますか、この働く人のデータは働いた企業から評価が出され、それはその人の実績として蓄積されて、次の働く場面でも生かされるわけです。

 例えば、今後、EC事業者においても、テレビに取り上げられたであるとか、商品の入荷時期やセールなど、予測を超えた仕事が発生した際に、働き手を急募できるわけで、その仕事の生産性を高めることができます。

EC業界での人材獲得は急激な成長の中で見過ごされてきた

 こういう話を見ているとEC業界においてもこれだけ市場が発展していくと、自分たちの事業を通して「働いてもらう人」をどう獲得し、売り上げなどの最大化とコストを最小限に落としていくかが課題となってくるのではないでしょうか。

 今、こうして「働く」ということをテーマにしてみましたが、EC事業者にとっても「スタッフ」をどう獲得し、育成して行くかは、事業の成長とともに課題となるように思います。

 なるほどな、と思ったのが、オジエの柳田さんの話で、採用はどうしているのかを尋ねたときに、「全く未経験の人です」と話していた。そもそも技術のある人が応募してこないし、特に技術があるからと言って、会社で活かせるかどうかわからないから、それであれば社内での教育を徹底させると。非常に合理的で納得しました。

 だから僕が思うに、オジエでいえば、基本、未経験でもよくて、ただアパレルですからアパレルで接客経験があれば、それは生かされやすいし、それをどうECで置き換えるかという話になってきて、育成も効率が良くなりそうです。現にオジエがそうやって採用しているかどうかは別としてですが、そういう風にして、リアルな世界で働くポテンシャルある人材をどうEC業界に連れてこれるかというのが重要なことなのかなと思いました。

ECが日本の「働く課題」を解決するかも?

 それはニッポンの「働く」ということに新たな可能性を与えるという捉え方もできます。というのも、以前、僕はとある大手のコールセンターの企業でアパレルの店長を重点的に採用したという話があって、なぜかと聞けばクライアントがアパレル企業の場合、専門知識やそこでのセンスが生かされるからと言っていたのです。その理由にはすごく納得がいった反面、僕はその店長の立場になって考えると、表に立つ華のある仕事から裏方寄りの地味な仕事になるので、うまく行くのかという思いも少なからずあったのです。ところが、その担当されている方からつい最近聞いたところでは、この一年間、そのような形で採用した人はその環境に満足していて離職した例は一つもないという話で、採用した側も驚いていると。

 語弊があるかもしれませんが、確かにECサイトであれば立ち仕事ではなく、土日祭日はお休みで良くシフト制に左右されないなど、ECはテクノロジーであるが故に効率よく仕事を仕組み化できれば、働く人そのものの負担を軽減できます。これはむやみに転職を繰り返しづらくなる要因としてとても重要です。

 ただ、この事実をどれだけの人が知っているかというと、まだ学生中心に知られているとは言い難く、だから、そういう魅力も知らぬままでいるからEC業界には人材が集まらない。ある意味、EC業界が急激に成長してきた故の課題ともいえるかもしれません。僕も大学に行き登壇する機会があるから、発言することの重要さとその意味を思います。

 そもそも日本は人口が減っており、そうなれば人材の取り合いで、優秀な人は以前にも増して獲得しづらくなり、多様化が求められます。それはテクノロジーの進化などで拍車がかかるでしょう。直感的な話で恐縮ですが、だからこそ、リアルなロケーションだけに固執することなく、いかにECなどで採算性を高めつつ、リアルなロケーションをどう活用して、その人の適性をどうやって最大化していくかという視点でいた方がいいと思うのです。

地方こそテクノロジーで効率化が必要なはずなのに。。。

 これは特に、地方にも言えることであって、地方にいくとすでに働き手となる「人材」がいないということになります。募集しても人が集まりません。だからこそ、ECなのではないかと思ってはいますが、実はその実態は真逆です。地方と言ってもいろいろ定義ができそうに思いますが、特にここでは、ECがほとんど浸透していない所に重きを置いて話をすると、まさにその必要性と裏腹に、そもそもECに関する情報もなく、ECを自分たちとは縁遠い存在と受け止めている節があるように思いました。

 これは、編集部の西村が自ら地方の関係者とやりとりをし、「ECは地方創生の糸口になるのか。富山県朝日町から学べたこと」という記事で、僕が感じたことです。地方における課題を書いてくれているので、ぜひ見てみてやって下さい。

 ただ僕は思います。地方においても何かしらビジネスをやって生計を立てている人がいるわけで、収支を数字に置き換えて、何年かの推移を数値化しているはずです。それが減少傾向にあるとすれば、時代の流れだとして実店舗に対して比較的利益率も高く障壁も少ないECを考慮すべきだし、それを数字になぞらえどれだけのコストの負担で成長できるかを考えながら、今のままでいいのか、変えていくのかを危機感を持って受け止めた方がいいように思います。

 以前、ここのコーナーでも書きましたが、大阪の高槻にある「びっくりカーテン」というECサイトはECをやる前まではカーテンの事業もやっておらず、家族経営で倒産寸前でしたが、一念発起して立ち上げたこのカーテンのECサイトはやっぱりその採算性の高さから立ち直り、今や30名ほどのスタッフを抱える企業にまで成長しました。

 ECは企業を立ち直らせ、かつ安定させた上で、今度、そこから生まれるのは働く人にとって比較的やりやすいと思える環境なのです。どういう人材を入れるかという視点も含めて、また、Taimeeのようなサービスも活用しながら効率化と採算性を追って、ECは「働く」を考えていくべきだと思っています。タイミー社の新しい「働く」機会の創造の話題をきっかけに、いつもと趣向を変えて、EC業界の「働く」について考察してみました。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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