【韓国越境EC事情】 日本コンテンツ商品で越境ECに取り組む「ユーエヌジーレイヤ―」

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日本コンテンツを再解釈したデザインのアパレル商品を販売している

 韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。

 今回のヒットショップは、新世紀エヴァンゲリオンなど日本のコンテンツを再解釈したオリジナル商品を通じて、越境ECに取り組むアパレル専門通販「ユーエヌジーレイヤ―(http://unglayer.jp)」です。

 20年以上経った今も独特の雰囲気や世界観で、日本はもちろん、韓国を含め世界中にファンを持つ名作アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」。最近、あのエヴァンゲリオンを独特の視線でデザインした「アートワーク(Art Work)」Tシャツが、韓国の10〜20代女性から人気を集めているようです。そのTシャツをヒットさせたアパレル通販「ユーエヌジーレイヤ―」は、日本のコンテンツを再解釈したデザインを取り入れたアパレルアイテムを販売しています。

 レディース·メンズファッションデザイナー出身のソ·セウンCEOは、自分のブランドを立ち上げることを目指し、2015年ユーエヌジーレイヤ―のECサイトを開業しました。

 ソCEOは、事業当初からX世代(1960年代~80年代初頭までに生まれた世代)が楽しんだ日本コンテンツ(アニメや戦隊物など)を導入し若い女性をターゲットにしました。競合ブランドと差別化されたユーエヌジーレイヤ―ならではのアイテムは、個性的なファッションを好む10代女性を中心に高い人気を得ています。

エヴァンゲリオンをオマージュしたデザインフード付きアイテムが人気

 日本のコンテンツを活用した事業展開を行う理由についてソCEOは、次のよう語っています。
 「日本のコンテンツを活用すると、韓国や海外でも共感を得やすく、ファン作りもしやすいところがあり、斬新さを求める若い女性に好まれるだろうと判断しました。日本のコンテンツの世界観をオマージュした商品を販売しているところが、顧客から支持を得ていると思います。」

 実際、韓国の消費者はアニメやJ-POPなど日本文化を楽しみながら育った人が多く、ソCEOのように日本のコンテンツをビジネスアイテムとして活用する事業者が少なくありません。これは、韓国市場で日本商品へのニーズが継続している証拠でもあり、海外展開を考える日本企業は注目すべきことでしょう。

文化コンテンツの再解釈で差別化を図る

文化コンテンツの再解釈で差別化を図るルックブックページ上にシーズン別に様々な商品を掲載している

 ユーエヌジーレイヤ―は最近、エヴァンゲリオンに続き、「Furious Fistcuffs」というコンセプト商品をリリースしました。これは、90年代に1世を風靡した格闘ゲーム「ザ·キング·オブ·ファイターズ」からインスピレーションを得たものだと言います。

 また、シーズン別に20種類のスタイルを提示していて、季節別に見るとS/S(春·夏)には大胆なデザインの「クロップTシャツ」が、F/W(秋·冬)にはフード付きアイテムがベストセラーとして人気だそうです。女性ターゲットの商品が多いものの、「ユニセックススタイル」を目指しているだけに全体の顧客のうち、男性も10〜20%を占めています。

 ユーエヌジーレイヤ―ならではのオリジナル商品が人気を集めていることもあり、公式SNSアカウントのフォロワー数は10万人を突破し、2年間、毎月の売上が5倍以上増加しています。

 このように、韓国で成長を遂げたユーエヌジーレイヤ―は、今年2月、グローバルECプラットフォーム「cafe24」を通じて、日本市場にも本格参入しました。韓国に続き、日本市場で競争力と認知度を高めた後、様々な国で越境EC事業を拡大していく予定です。

ユーエヌジーレイヤ―のソCEOとの一問一答

--越境EC事業のきっかけと日本市場に参入した理由は?
 シーズンごとにリリースしたアイテムを購入したいというバイヤーや消費者からの問い合わせが日本展開の決め手となりました。特に、日本のコンテンツをベースにしながらも、特定の顧客層にアピールできる弊社商品は、マニア文化が強い日本市場でも通じると判断しました。

--日韓顧客の特徴や日本市場における販促施策は?
 韓国の顧客は、トレンドに敏感であるのに対し、日本の顧客は個性が強く、自分だけのファッションを好む傾向が強くあります。一方で、SNSをよく使うという共通点もあり、韓国と同様にインスタグラムを活用したコミュニケーションで信頼度向上に取り組んでいます。
 マーケティング活動においては、弊社のブランドに適する日本人インフルエンサーを起用し、積極的に活用しています。

--今後の事業計画を教えてください。

若者が楽しめる文化空間となるECサイトを目指すユーエヌジーレイヤー

 最近のECサイトは、若者にとって単純な販売・購入チャネルを越え、もはや文化空間であることを強く感じています。弊社は、ECモール出店より自社サイト運営に力を入れることで、ブランド認知度向上やリピーター獲得に取り組んで行く予定です。

 また、日本トレンドの中心地である東京で顧客と直接コミュニケーションしながら、商品体験もできる多彩な企画も計画しています。

ECのミカタ編集部の見解

 アニメやゲーム、J-POPなど、日本発祥の文化は韓国にとどまらず世界各国で注目を集めていることをご存知の方が多いことでしょう。今回取り上げられた「ユーエヌジーレイヤー」が扱うのは、それらのオマージュ商品とあり、その影響力の大きさを感じさせられます。また今年2月からは、日本への越境ECを始めているということで、日本人は日本の文化を逆輸入する形で楽しんでいるという見方もできるかもしれません。

 「ユーエヌジーレイヤー」が人気を集める背景にあるのは、SNSやインフルエンサーの活用だといいます。若者向けの商材であるということに加え、世界感がものをいうECサイトであることが、成果につながっている様子が伺えます。