【韓国越境EC事情】手作りアクセサリーで越境EC展開、「オッドブラン」

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韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。

今回のヒットショップは、 赤ちゃんやワンちゃんの足型ペンダントなどを伝統的な手作り方式で制作し、韓国に留まらず、積極的な越境ECを展開している「オッドブラン(http://jp.oddblanc.com/)」です。

「オッドブラン」は 韓国産業通商資源部から「グッドデザイン賞」を受賞したジュエリー実力家ジン·スジョンCEOが2016年に立ち上げた手作りアクセサリー通販です。

起業する数年前まで彼女は、ジュエリーに関心の多い普通の会社員でしたが、子供のギフトを自分で作りたいと思ったことをきっかけに学んだ「金属工芸」により、人生が変わったと言います。ジュエリー研究を重ねるほどあふれるアイデアや周りからの好評価が起業を決めた理由だそうです。

オッドブランは、顧客の思い出を金や銀など金属に刻んだ商品を販売しています。顧客ニーズに合わせ、赤ちゃんの足型ペンダントやカップルの指紋を刻んだネックレス、イヤリングなど様々な形態に対応しています。すべては洗練された手作り作業による商品なので、注文から発送まで7〜8日かかることもあるものの、クレーム率も低く、商品に対する価値を認められているようです。

特に、赤ちゃんの足型ペンダントは、顧客が希望する画像(赤ちゃんが描いた絵や文字など)を裏面に刻むことで他社アクセサリーとの差別化を図っています。

伝統工芸で若年層に向けた商品開発

伝統工芸で若年層に向けた商品開発伝統的な方式で若年層の好みを反映した商品を販売している

オッドブランの人気についてジンCEOは、次のように説明しています。
「韓国ならではの情緒が感じられる商品なので若年層からも反響が続いているようです。特に、自分の思い出や価値を大切にする最近のトレンドも影響していると見ています」

前回も述べましたように、韓国はネット起業へのハードルが低くEC化が非常に進んでいる市場です。これにより、ジンCEOのよう、変化する消費トレンドをいち早くキャッチし自分のブランドを立ち上げるケースが少なくありません。ネットやECに慣れている若いCEOたちは、ネットビジネスにも有利なところもあり、このような傾向は、今後も続くと思われます。

オッドブランの競争力として、伝統工芸の生産方式があります。ジンCEOは、作業室で釉薬付けの純銀を高熱の窯で焼き上げる伝統的な方式を固守しながら制作に取り組んでいます。蝶や唐草などの文様ではなく若年層の好みを反映したデザインを取り入れたことでヒット作が相次いだと言います。

これにより、昨年初旬から四半期売上が2倍以上伸びていて、流通大手が運営するポップアップショップにも出店するようなりました。また、ソウルの観光名所「仁寺洞サムジキル」に実店舗をオープン、来韓観光客からも評判が続いているようです。

オッドブランは韓国市長に留まらず、今年、グローバルECプラットフォーム「cafe24」を使用して英語、中国語、日本語のECサイトを開業し、越境ECにも参入しました。特に、日本民営放送番組でも紹介されるなど日本を含む海外ユーザに向けて積極的な展開を行っています。

ジンCEOは、中世ヨーロッパで手紙の封書として使われた「ワックスシール」のロゴを、アメリカ、中国、日本に向けて商標出願を完了するなどグローバル市場攻略に拍車をかけていく予定です。

[オッドブランのジンCEOとの一問一答]

 [オッドブランのジンCEOとの一問一答]オッドブランを率いているジン·スジョンCEO

--越境EC事業のきっかけとは?

手作り商品の取引が活発になる以前の韓国は、有名ブランドのジュエリーを除くと、安いアクセサリーがほとんどの状況でした。そのため、国内で低価格品と戦うより「ハンドメイド」の価値が高く認められる海外に目を向けました。

事業当初は、アメリカの手工芸品ECモールに出店し、販売を開始しました。最初の実績はあまりなかったものの、諦めず商品更新に継続に取り組んだ結果、顧客から好評価をいただくことも増え、売上が徐々に伸びるようになりました。その後、韓国にも手作り商品のニーズが増え実店舗をオープンしました。商品を気に入って購入した訪韓外国人から再購入の問合せを受けたことをきっかけに、越境ECに参入しました。

日本民営番組でも紹介されたオッドブランの作業室

--日本番組でも紹介されるほど、反響がある理由は?

弊社のブランドコンセプト「Seal the moment(瞬間を封印する)」を反映した「ワックスシール」商品が、日本顧客にも感性的に受け入れられたと思います。特に、アナログ感性を求める顧客に向けてカスタマイズされた商品は「世界に一つだけ」という特別さを伝えたとも思います。

また、日本はペットを飼う世帯の比率が高く、ペットと絆を感じられる足型ネックレスやブレスレットなどのニーズが高いことも原因だと見ています。

--言語圏によって違いはありますが?
英語圏の顧客は、指紋ネックレスが故人を追悼するジュエリーとして認識され、関連商品が人気です。
故人の直筆署名を商品背面に入れた商品の注文も多いですが、アメリカの老紳士が孫の誕生日プレゼントとして指輪を注文したこともあります。このように、家族と絆を大切にする世界中の顧客が弊社の潜在顧客だと見ています。

中華圏は、韓国と類似な特徴があり、子供用の迷子防止ネックレスなどが人気を集めています。販促の場合、Weibo(ウェイボ)など現地SNSの影響力が強力なため、「ワンホン(中国ネットインフルエンサー)」を活用したマーケティングを行っています。

先にもお話しましたが、日本の場合、猫や犬の足型アクセサリーが人気で、 韓国に比べると特に猫に対する愛情が格別なようです。これに加え、信頼を大事にする日本顧客の特徴を反映した商品開発やブランド認知度向上に力を入れています。

--日本市場における販促施策について

日本の顧客は、可愛らしいデザインを好む顧客が多いと分析しています。そのため、日本顧客の好みを踏まえた女性らしさを強調するオリジナル商品を継続に開発しています。最近、ソウルのお店を訪れた日本人ブロガーがレビューを書いてくださいまして、それ以後、お店を訪ねる日本観光客に、そのレビューを提示するとプレゼントをするイベントを企画しました。顧客からの反応もよかったので、このようなイベントを定期的に行う予定です。ECサイト上では、送料に敏感な日本顧客の特徴を踏まえ、全製品送料無料イベントなどを行ったりしています。

--今後の計画について

今年9月に参加した「東京インターナショナルギフト·ショー」は、日本市場の特徴やニーズの把握はもちろん、バイヤーから出店に関する提案も受けた大事な機会でした。このような展示会参加を含め、Amazon、楽天市場などモール出店も検討しているところです。また、韓流グッズ製作の実績もあるので、日本現地企画会社と共同で日本芸人グッズ製作を企画しています。

今後も、芸人グッズ、ペットの足型ペンダントなど、日本に向けたカスタム商品開発やブランド認知度向上に力を入れて行きます。

ECのミカタ編集部の見解

日本でも、ハンドメイド作品を販売できる土壌が整い、多くのクリエイターさんが商品を販売されています。もちろん中には文字入れなどにも対応されているクリエイターさんもいらっしゃいます。

そういったサービスも増える中、オードブランの商品が注目されるのは直筆サインや指紋、ペットの足型アクセサリーなど、大切な人や大切なペットの証を残す、世界で唯一のアクセサリーを作ることができる点と言えます。

作品の作り方も、釉薬付けの純銀を高熱の窯で焼き上げる伝統的な方式ということで、作品それぞれの味わいも異なるのではないでしょうか。

また、オードブランでは販促活動にもしっかりと力を入れられている様子が伺えます。日本人ブロガーの書いたブログをきっかけに企画を開催されたそうですが、他にはないオリジナル商品だからといって、商品力だけに頼るのではなく、その強みをさらに活かした販促活動も重要であることが伺えるジン·スジョンCEOのお話でした。