EC運営の経験を活かすニューウェイからの新提案。AP・FG物流を最適化。
これまで実店舗のみの運営や卸のみで事業を行ってきたアパレルをはじめとしたメーカーや小売業者のEC参入が年々増加している。しかし、物流においては通常B to BとB to Cでは仕組みが切り離されて運営されていることや、それぞれの特化したシステムやスキルを保有していないままスタートする場合もあり、実際に支援しきれないケースや効率の悪さが問題となる。
そこで、実際にEC運営の実績を持ち、アパレル分野を得意としながら、総合物流としてフルフィルメントサービスの提供を行っている株式会社ニューウェイの取締役 中西和国氏、執行役EC事業部部長 善里威史氏、営業推進部部長 小枝伸一氏にお話を伺った。
アパレルメーカーが抱える実店舗とEC両立の難しさ
--アパレルメーカーさんはどのような課題を抱えられているのでしょうか?
善里氏 弊社は、時代の流れに即し、B to BとB to C、どちらにも対応し、また双方が連携出来る物流の仕組みを作り上げました。もともと弊社はB to Bを強みとして事業を行ってきましたが、ECに代表されるB to C物流の構築は必須であると考えていました。そこで、ECの事業運営を行う企業(ヒューマニアインターナショナル)を傘下に入れることで、実際に現場で実践されるECフロント~バックオフィスのリアルな経験を吸収し土台とすることで、サービスを拡充してきました。その結果、今ではサイト構築からオーダー処理、運営代行、WEB製作、コンサルまで物流業務だけでない幅広いご支援も可能になりました。
今後はB to BとB to Cのさらなる連携とサプライチェーンをマネージメントすることが出来る物流へと進化していきたいと考えています。
中西氏 これまでもアパレルメーカー様からよくいただくご相談の中に、「すでにB to C ECを行っているが、コストや仕組みに課題を抱えている」というご相談をよくいただいてきました。それもそのはずで、もともとB to BとB to C両方を請負っている物流倉庫は少なく、別々に委託されているケースが多いのです。弊社はこういったお取引先様からの声に対応すべく事業を構築してきたのです。
小枝氏 1つの物流倉庫にB to BとB to Cをまとめることで、委託にかかるコストを下げることもできますし、店舗かECどちらかで商品が欠品になった際にも商品のやりくりを同じ場所でできるため、売り逃しがなくなります。
時代の流れから見出す、新しい物流の道筋
中西氏 弊社の立ち上げ当初は量販店中心のデリバリーに特化して事業を行っていました。その後大手紳士服メーカーなど、カテゴリーキラーと呼ばれるような企業の参入により、徐々に量販店のシェアが弱くなっていきました。その後、一貫物流として検品や検針、保管からデリバリーという事業を主軸としましたが、時代の流れで生産の場は海外へと移り、検品検針業務なども減っていきました。そしてこれを契機に、ECに特化していくという判断を下しました。B to Bの強みとヒューマニアインターナショナルの持つB to Cの知見を活かしたEC物流です。
小枝氏 ヒューマニアインターナショナルがグループ入りする前から、B to Cもやっていかなければね、という話は出ていたのですが、これが大きな契機となりました。この提携をきっかけにWMSも刷新したくらいですから。B to BとB to C両方に対応するため、システムは弊社オリジナルで作り上げており、ヒューマニアインターナショナルやお客様の現場の声を反映し、日々バージョンアップしています。
中西氏 善里氏 小枝氏 弊社は今期で30期を迎えますが、それまでには様々な困難がありました。しかしお客様と運命共同体として取り組んできたからこそ今がありますし、真心を込めて商品を取り扱うことができるのです。
一度経験したからこそ実現できる、EC運営とその効率化
中西氏 お客様から私たちにいただくご要望は大きく3つに分けられます。それは「安く・早く・正確に」というものです。これはごく当たり前の話ですが、実際にお客様の声を聞いていると経営者の方々からは「コストを抑えたい」、現場の責任者様からは「現状の管理方法がうまくいっておらず、クレームが多くなってしまっている。」というお話が多いのです。
善里氏 B to C ECはメーカー様やショップ様が、一度に何万人というお客様を抱え、品質とスピードを維持し、多くのマーケットの変化やケーススタディーから検証・改善を積み重ねて、その運用を保守していくことが求められます。
私は実際にECの事業を行ってきた経験を持ち、またこれまでECコンサルや構築の支援をしてきましたが、実際の物流の現場を知ることで初めて、いざアウトソースする側に立った時に「KPIや品質」と「コスト」の最適なバランスを見極める事や、サービスとしてそれらを維持していく為に必要となる経験が不足していることに気づきました。もちろん、失敗もしました。でもそういった経験を得て、また荷主様一社一社のご要望や悩みと向き合っているからこそ、フィットした支援が出来るようになるのだと考えています。
小枝氏 善里が経験したように自社物流にしろ、他社様からの切り替えにせよ、既に物流の仕組みがそれぞれに独自で出来上がっていることがほとんどです。私たちはグループ内でこうした課題を解決してきましたし、B to Bを中心にノウハウも蓄積されているので、B to C ECが構築され、またその構築の過程での課題を解決してきたことで、本来の要望に近い形で各社さまに合わせて最適化することが可能です。
ECの未来を見据えたトータル提案で他社に負けないサービスを
--これまで時代に即してサービスの拡充をされてきましたが、今後はどのようなサービス展開をお考えでしょうか。
善里氏 弊社はかねてからの強みであったB to BにB to Cを加え、そして現場の声を生かしてサービス展開を行ってきました。今後もアパレルや服飾雑貨を中心に、卸であっても、SPAであっても、ECのみであっても、またそれら全てであっても、という具合にトータルで事業のお手伝いができればと思っています。総合的にご提案できることによってお客様の成長段階に沿って柔軟なご提案もできます。
中西氏 今後の取り組みとしては越境ECに関するプロジェクトもスタートさせています。弊社ではデリバリーも可能ですから、社会的にも話題になっているラストワンマイルへの取り組み、そして我々の持つスペースや人を活かしたシェアリングエコノミーなどへも積極的に取り組んでいきます。そういった経験がまた次の仕組創りにつながると考えています。
善里氏 これからは顧客IDを中心にした様々な事業、システムが構築されていくでしょう。流通の形も急速に進化し、また、変化していきますから、人工知能やオートメーション化も取り入れながら、物流も進化させていく考えです。
実際に私どものお取引も、かならずしもメーカー様やショップ様だけではなくなりつつありますし、システムの担う領域もひろがっていますので、物流にも柔軟なマインドと、流通を支える為に多くの経験と検証が求められていると考えています。
時代の流れの中で物流に対するニーズはどんどん変化していきますから、アンテナを張りながら、他社様に負けないサービスを提供していきたいと思います。