カンダHD/中国・4PX 包括提携、関東で事業開始 中国向け越境EC、成田発も

 日中間のエクスプレス分野で、両国の物流会社による協業が進んでいる。カンダホールディングス(HD)は、中国の越境eコマース(EC)専門業者「ECフォワーダー」大手の4PXエクスプレス(逓四方速逓)と包括提携し、都内で新たに倉庫を受託した。これまでは子会社のペガサスグローバルエクスプレスが4PXの越境EC輸送サービスの代販を行ってきたが、関西空港発で大阪に倉庫を置き、関西地区・西日本が事業の中心だった。今後は都内倉庫で関東・東日本の集荷を図り、成田発中国向けのサービス確立を目指す。4PXは、シンガポールや台湾経由の郵便ルートや独自ルートによる中国向け越境EC輸送を行っており、中国EC最大手のアリババ・グループの指定業者として、日本発のトップクラスの輸送量を持つという。




4PX、カンダ倉庫内に

 両社は4月1日付で包括提携する。カンダHDの都内北区浮間の倉庫の1000平方㍍を4PXが借り受け、東京支店も設置する。
 4PXは2016年3月、日本法人の4PXエクスプレス・ジャパンを立ち上げ、大阪南港の「プロロジスパーク大阪5」内に延べ床面積6000平方㍍の倉庫を設置した。現在は従業員30人で運営し、日本発中国・香港・台湾など向け貨物を毎日1万5000件扱う。
 PGEはこれまで、関西地区を中心とする集荷と4PXの南港倉庫までの配送を行ってきたが、今後は浮間倉庫への集荷・配送のほか、4PXの海上貨物などの取り込みも狙う。




多様な4サービス

 4PXは中国向け越境EC輸送で、主に4サービスを提供している。個人向け一般小口貨物として、簡易通関で行郵税の適用を受ける「IMS」「CTPS」と、越境EC新税の対象となる「保税販売」と「直郵」方式による「IPS」「IES」の4サービスで、日本での代理店としてカンダHDなどが販売している。
 4PXはシンガポール・ポスト、台湾ポストと提携し、郵便輸送ルートでの海外発中国向けエクスプレス貨物直送サービス「聯郵通(ポストリンク)」を提供しており、行郵税の「IMS」「CTPS」は両ポストのルートを活用する。主に関空からシンガポールや台湾を経由し、中国全土に宅配する。課税方式は付加課税型のため、検査が発生すると税金が徴収されるが、運賃に行郵税を含むのが「IMS」、含まないのが「CTPS」だ。
 一方、越境EC新税の適用は、中国各地の地方政府が運営する「越境EC単一窓口プラットフォーム」にひもづく「保税販売」と「直郵」の輸送方式が必須となる。「IPS」は航空輸送、「IES」は海上輸送で基本的にBtoC直送。主に関空、大阪港発で香港に輸送、クロスボーダーで大陸側に入境して広東省東莞・虎門の虎門港に近い啓盈地区の保税倉庫で輸入通関して全土に宅配する。香港―東莞は、東莞税関のシステムとのADI連携で通関は事前申請可能でスムーズだ。また一部、香港でなく大連に輸送するルートも活用している。




数万の箱を全て開封

 関空発の輸出通関では、通関申告表に1件当たりの全ての小口貨物の内容を申告する。個人向け商品のために1件で最大数万品にもなるが、4PXの南港倉庫で「数万の箱を全て開封し、商品コードと申告を照らし合わせて実際の商品を確認し、ワシントン条約の違反物や危険物を取り除いている」(4PXジャパン・謝郁安取締役)。これにより、「ワンハウス・ワンマスター」による輸出通関を可能としている。
 4サービスとも、日中間のシステム連携により、ワンオーダー・ワンラベルでラストワンマイルとなる中国内の消費者に届ける。4PXの南港倉庫で小口貨物の箱を大型の袋詰めかパレタイズしており、家電からおむつまでワンパレットとし、中国向け越境ECのラベルも貼付する。
 なお南港倉庫は、アリババの物流管理会社、菜鳥(CaiNiao)の日本での指定倉庫となっており、同社の越境ECモール「天猫国際(Tモール国際)」で販売された貨物が納入される。今後はカンダHDが受託した4PXの東京の浮間倉庫も指定を受ける予定だ。
 カンダHDの上村明国際事業部営業開発担当部長は「中国政府は越境ECにかかる規定をさまざまに変更するが、4PXはその度に迅速に対応してサービスを調整し、顧客の荷物を止めない輸送を可能にしている。日本では、当社との共同販売でご利用いただく荷主を増やしていきたい」と話している。
 4PXは中国物流最大手、シノトランス・グループのシノトランス香港で副社長を務めていた李跃(ケビン・リー)氏が2004年に広東省深★で設立、DHLやUPSなどのエクスプレスサービスの代販業からスタートした。08年に越境EC事業に乗り出し、09年にシンガポール・ポストとグローバルパートナー契約、10年に同社から出資を受けたほか、eBAY中国の物流パートナーとなり、11年に越境EC専業に方針を転換。12年にアマゾン、15年にアリババのグローバル輸送の指定業者となった。16年にはアリババ傘下の菜鳥から越境EC物流プロバイダーとして唯一となる出資を獲得した。
 4PXの越境EC貨物取扱量は日200万件、物流事業の売上高は1000億円規模、今年は1600億円を目標としている。今月時点で中国内42支店、海外27カ国に支社を持ち、全倉庫を自社運営・管理している。同社の国際宅配輸送を活用するBtoCの利用者は総ユーザー60万人、アクティブユーザー20万人という。
 全世界の倉庫ネットワークは、深圳・宝安区の本部(床面積2万3000平方㍍、550人、取扱量1日当たり100万件)、英国ロンドン(3万平方㍍、280人、日4万5000件)、独フランクフルト(1万2000平方㍍、140人、日1万3500件)、チェコ・プラハ(6万5000平方㍍、日10万件)、米国ロサンゼルス(3万6000平方㍍、日3万件)、豪シドニー(1万2000平方㍍、日2万3000件)など。
 4PXはこのほか、グローバルの商品転送サービス「トランスラッシュ」で、米大手百貨店メイシーズのEC購入品の中国向け輸送などを展開。発送代行や返品サービスも全世界で提供する。商品の受け手側のニーズに基づいて、自身で出向いて貨物をピックアップできるボックスステーション「4PXグリッド」はオーストラリア200店、米国30店、香港20店などを構えている。
■会社概要
企業名:株式会社4PX EXPRESS JAPAN
本社:大阪市住之江区南港中1-4-140 2F-4  ESR倉庫レッドウッド 南港DC1
代表者:謝 郁安
設立:2016年3月
HP:https://www.4px.com/jp/


■本件に関するお問い合わせ先
・https://www.4px.com/jp/#/contactnew
・メール info.japan@4px.com