【第5回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化 ~効果の出るCMの仕掛け方

土屋信博

【第1回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜なぜ、フリマアプリだったのか?
https://www.ecnomikata.com/column/10339/

【第2回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜差別化の鍵はユーザーニーズにあり https://www.ecnomikata.com/column/10436/

【第3回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜前日比5倍!?急成長の2つの要因
https://www.ecnomikata.com/column/10866/

【第4回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜CPI8円?業界に先んじたFB広告の工夫
https://www.ecnomikata.com/column/11395/

株式会社Fablicの土屋と申します。
今回は、2014年に実施した初めてのテレビCMについてお話したいと思います。

そうだ!テレビCMをやろう!

テレビCMをやる前のフリルは、今までの連載でお話ししたように広告や口コミなどの効果もあり順調にユーザー数も取扱高も増やしていました。ただ、広告や口コミではリーチできる層が限られてしまっていることが悩みでした。その当時は、今ほど「フリマアプリ」自体の認知度も高くなく、もっと多くの方に「フリル」を知っていただくにはどうしたらいいかを考えた結果、思い切ってテレビCMを実施してみよう、という結論に達しました。

当時、社内にテレビCMを実施したことがある経験者はだれもおらず、手探りでのスタートとなりました。

テレビCMへの道

まず、テレビCMを見据えた資金調達を実施し、その資金を軍資金にテレビCMの準備を開始しました。
出資先の1つであったコロプラ様がテレビCMについての知見を豊富に持っていらっしゃったので、どのようなクリエイティブでどれ程のGRP(述べ視聴率)にするかなどをアドバイスいただきながら準備を進めました。

その当時のフリルはまだ女性専用のアプリ(※1)で、他のフリマアプリに比べ利用者層が限定されていました。そのため、その限定されたユーザーの間で話題になるCM・使いたくなるCMにすることは必要条件でした。

各代理店からクリエイティブ提案を受けた時、私たち男性だけではどのようなクリエイティブ・タレントを使えばいいのかなどの判断がつかず、カスタマーサポートの女性スタッフを集めてどのクリエイティブがぐっとくるか、どんなタレントさんにフリルを紹介してほしいかなどヒアリングしました。
案の定、私たちが良いと思っていたタレントさんがサポートスタッフから支持を得ることはなく、当初の案とは別のクリエイティブで進めることになりました。

テレビCMというマスメディアを使う大掛かりなマーケティングなだけに、実際のユーザーと同じ年齢層のスタッフの声を反映させるといった意思決定は良い判断だったと思います。

※1 2015年7月より、男性もご利用いただけるようになっております。

話題のCMに「する」

話題のCMに「する」

クリエイティブも決まり、後はタレントをどうしていくか。
そうなった時に最も意識していたのは「話題になるかどうか」でした。
社内スタッフの声を反映させたCMクリエイティブは太鼓判を押せるものでしたが、それを誰に演じていただくかが問題でした。

いろいろな案が出ては消えていた時に、テレビCM開始の前クールで女性に人気だった深夜ドラマがゴールデン枠で復活するというニュースを見つけ、すぐにそのドラマのメンバーをアサインできないか代理店に相談しました。

そして、関係者の頑張りもあり無事出演いただけるタレントさんが決まりました。

テレビCMは様々な人の力を借りて作り上げられているとつくづく感じましたが、そのCM自体が話題になるかどうかは自分たちで話題になる仕掛けをどれだけ仕込めるかが重要なんだとこの出来事で感じました。

このテレビCMは、キャストのみならず制作のスタッフにもファッション業界の人たちから一目置かれている方をアサインし、制作しました。
そのおかげで、普段テレビCM開始だけでは取り上げてもらえないようなファッション系のWEBサイトでもテレビCM開始を取り上げていただくなど、思ってもみなかった部分で効果を発揮しました。
制作スタッフの件は話題性を加味して仕込んでいたわけではないのですが、結果話題作りの一端を担ってくれました。

テレビCMの効果

テレビCMを実施した結果、ユーザー数や取引件数・取扱高が増えただけではなく、平均単価が上がるなど想像とは別の部分での効果も現れ始めました。
それは、テレビCM実施前の課題であった、今までリーチしていた層とは別のユーザー層へのリーチが上手くいき、多くの人がフリルを認知して使っていただけるようになったのが大きかったと思います。


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若者のファッションから消費トレンドを考える調査機関
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著者

土屋信博 (TSUCHIYA NOBUHIRO)

2005年、株式会社ECナビ(現:VOYAGE GROUP)に新卒入社
新規事業立ち上げ、既存事業の業績拡大、組織戦略などに携わる。
2012年、株式会社コナミデジタルエンタテインメントに入社。
国内・海外向けネイティブソーシャルゲームの企画・運用・KPI分析を担当。
2014年、株式会社Fablic入社
ビジネスディベロップメント、マーケティング領域を担当。

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